本文へスキップ
古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

URINALYSIS

尿検査

腎臓のサインは、血液より先に尿に出る

尿は、腎臓が休みなく働いた結果そのものです。血液検査の数値が動くより先に、尿には変化が現れます。採るのに痛みも麻酔も要らないのに、得られる情報がとても多い——尿検査は、そういう検査です。

  • 検体検査
ANESTHESIA麻酔・鎮静
通常は不要です(強く怖がる・興奮する場合は鎮静を使うことがあります)
FASTING絶食
不要です
DURATION検査にかかる時間
尿をご持参いただければ、お預かりして検査します
RESULT結果が出るまで
院内は15〜20分ほど/培養など外部委託は1週間程度

その子の状態・検査の目的によって変わることがあります。実際の進め方は診察でご相談ください。

尿検査は、痛みも麻酔も必要とせず、それでいて腎臓・膀胱・糖の代謝まで幅広く分かる検査です。健康診断では血液検査ばかりが注目されがちですが、腎臓に関しては血液より先に尿に変化が出ることが多く、当院では血液検査とセットでおすすめしています。

01

尿検査で分かること

ひとくちに尿検査といっても、実際には3つの検査を組み合わせています。

① 見た目と濃さ(性状・尿比重)

色・濁り・においを確認し、尿比重(尿の濃さ)を測ります。腎臓が尿を濃縮できているかを見る、いちばん基本の指標です。

② 試験紙による化学検査

尿タンパク・尿糖・ケトン体・ビリルビン・潜血・pH などを調べます。腎臓病・糖尿病・膀胱炎・黄疸の手がかりになります。

③ 尿沈渣(顕微鏡で見る)

尿を遠心分離し、沈んだものを顕微鏡で観察します。赤血球・白血球・細菌・結晶・円柱・腫瘍細胞などが見えます。

尿比重 ― 「尿の濃さ」が最初のサイン

腎臓の大切な仕事のひとつが、必要な水分を再吸収して尿を濃くすることです。腎臓のはたらきが落ちると、この濃縮ができなくなり、薄い尿がたくさん出るようになります。「最近よく水を飲む」「トイレの量が増えた」という変化は、この段階で現れます。

尿比重の低下は、慢性腎臓病のほか、糖尿病・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)・子宮蓄膿症・甲状腺機能亢進症などでも起こります。ですから尿比重だけで病気は決まりません。血液検査と合わせて、どの病気が背景にあるのかを絞り込みます。

尿タンパク ― 見逃されやすい、腎臓からの警告

尿にタンパク質が漏れ出ている状態が続くと、腎臓そのものがさらに傷んでいきます。試験紙で陽性が出たときは、UPC(尿タンパク/クレアチニン比)という、より正確な指標で程度を数値化します。この値は国際的な慢性腎臓病のステージ分類(IRIS)でも、治療方針を決めるサブステージとして使われています。

膀胱炎による出血や炎症でもタンパクは出るため、尿沈渣の所見と合わせて、腎臓由来なのか下部尿路由来なのかを判断します。

尿沈渣 ― 結晶・細菌・細胞を目で見る

顕微鏡での観察は、試験紙では分からないことを教えてくれます。

見えるもの考えること
赤血球膀胱炎・結石・腫瘍・前立腺の病気など
白血球尿路の感染や炎症
細菌細菌性の膀胱炎・腎盂腎炎。必要に応じて培養と薬剤感受性検査へ
結晶ストルバイト・シュウ酸カルシウムなど。尿石症の背景を調べる手がかり
円柱腎臓の尿細管が傷んでいるサイン
腫瘍細胞膀胱・尿道の腫瘍が疑われる場合

02

尿の採り方 ― ご自宅で採っていただくコツ

診察室では緊張して排尿できない子も多く、ご自宅で採った尿があると検査がすぐ進みます。犬・猫それぞれの具体的な手順はご家庭での採尿のしかたにまとめています。ここでは要点だけをご紹介します。

  1. ステップ1清潔な容器を用意します

    尿を受けるものは、使い捨てのおたま、平らなお皿、清潔な紙コップなどで構いません。持ち運び用のシリンジ(針のない注射器)は当院でお渡ししています。猫は、システムトイレの下段に何も敷かずに溜める方法や、ペットシーツを裏返して(吸収しない面を上にして)敷く方法、専用の採尿用の砂を使う方法があります。

  2. ステップ2できれば「出はじめ」以外を受けます

    出はじめの尿には、外陰部や包皮の細菌が混ざりやすいためです。難しければ、採れた尿で構いません。

  3. ステップ3密閉して、なるべく早くお持ちください

    理想は来院直前の新しい尿です。時間が経つと、細菌が増えたり結晶ができたりして、実際とは違う所見になります。すぐに来院できない場合は、密閉して冷蔵庫で保管し、当日中にお持ちください。

  4. ステップ4採れなくても大丈夫です

    病院で採る方法があります。細いカテーテルを使う方法と、超音波で膀胱を見ながら細い針で採る方法(膀胱穿刺)です。膀胱穿刺は、細菌が混ざらない正確な検体が採れるため、感染を調べたいときにはむしろ適した方法です。多くの場合、麻酔は必要ありません。

03

当院の体制 ― 院内でできること、外部に依頼すること

尿比重・試験紙・尿沈渣は院内で行い、15〜20分ほどで結果をご説明できます。

尿沈渣は、AI搭載の分析装置で調べています

当院では、尿沈渣の観察に IDEXX の尿沈渣分析装置「セディビュー」を使っています。検体をセットすると装置が自動で顕微鏡画像を撮影し、AI(ニューラルネットワーク)による画像解析で、尿の中の有形成分を分類します。結果が出るまでは数分です。

利点は2つあります。ひとつは速さ。診察の中で結果を確認し、その日のうちに治療の方針を決められます。もうひとつは画像が残ること。実際に何が見えているのかを画面でお見せしながらご説明でき、次回以降との比較もできます。

装置が示した分類は、そのまま結論にはしません。獣医師が画像を確認し、症状や他の検査所見と合わせて判断します。機械が得意なのは「見落とさずに数えること」で、それが何を意味するのかを読むのは人の仕事だと考えています。

UPC の測定や、細菌の種類と効く抗菌薬を調べる尿培養・薬剤感受性検査は、外部の検査機関に依頼します。培養は菌を育てる時間が必要なため、結果までおおむね1週間程度かかります。

膀胱炎を繰り返す子や、抗菌薬が効きにくい子では、この培養検査が方針を大きく変えることがあります。「とりあえず抗菌薬」を続けないためにも、必要な場面ではお勧めしています。

04

結果の見かた ― 尿検査で気をつけたいこと

尿検査は、単独ではなく血液検査と組み合わせて読むものです。たとえば「尿が薄い」という一つの所見からは、腎臓病・ホルモンの病気・単に水をたくさん飲んだ——どれもが考えられます。何が起きているのかを決めるのは、いくつもの所見を重ね合わせた先です。

05

さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動します。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

ご家庭での採尿のしかた(くわしい手順) あわせて読む:血液検査(CBC・血液化学検査) 腎泌尿器科の詳しいご案内を見る

RELATED

この検査が関わる病気・診療科

この検査で調べる病気

ここに挙げたのは、この検査が診断・経過観察に関わる病気の一部です。実際に何を調べるかは、その子の症状によって変わります。

費用について

検査の費用は、項目の数・院内で行うか外部の検査機関に依頼するか・麻酔の有無によって変わります。必要と考える検査は、目的と概算の費用をご説明したうえで進めますので、気になる点は遠慮なくお聞きください。ご予算に合わせて優先順位をつけることもできます。

はじめてご来院される方へ

ご予約から診察・治療方針のご提案までの流れを、わかりやすくまとめています。

はじめての方はこちら

Q&A

よくあるご質問

自宅で採った尿を持って行ってもよいですか。
はい、大歓迎です。ご自宅のほうが落ち着いて排尿できる子が多く、動物病院では出ないこともあります。清潔な容器(使い捨てのおたま、平らな皿、ペットシーツを裏返した面など)で受け、当院でお渡しするシリンジか、密閉できる容器に入れてお持ちください。理想は来院直前の新しい尿で、難しい場合は冷蔵庫で保管し、当日中にお持ちいただくのがよいです。
どうしても尿が採れません。どうすればよいですか。
病院で採る方法があります。カテーテルを尿道から入れる方法と、超音波で膀胱を確認しながら細い針で直接採る方法(膀胱穿刺)です。膀胱穿刺は驚かれることが多いのですが、細菌が混ざらない正確な検体が採れるため、感染や細菌培養を調べたいときには最も適した方法で、通常は麻酔なしで短時間で済みます。
尿検査だけで腎臓病は分かりますか。
尿検査は腎臓病を疑うきっかけとして非常に有用ですが、単独で診断は行いません。尿が薄い(尿比重が低い)状態は腎臓病でよく見られますが、ホルモンの病気や飲水量の影響でも起こります。血液検査(クレアチニン・SDMAなど)と合わせて判断します。
尿に血が混じっていました。すぐ受診したほうがよいですか。
はい、受診をおすすめします。とくに猫のオスで、トイレに何度も行くのに尿が出ていない場合は尿道が詰まっている可能性があり、命に関わるため急いでください。血尿の原因は膀胱炎・結石・腫瘍などさまざまで、尿検査と超音波で調べます。可能であれば尿を持参いただくと診断が早く進みます。
尿だけを持って行って、結果を教えてもらうことはできますか。
できます。尿をお預かりして検査し、結果を公式LINEまたはお電話でご報告することも可能です。院内での尿検査は15〜20分ほどで終わります。ただし、症状がある場合や、結果によって治療が必要になりそうな場合は診察をおすすめしています。ご希望の方法を受付でお伝えください。
健康診断でも尿検査は受けたほうがよいですか。
おすすめしています。とくに7歳以上の猫、10歳以上の犬では、血液検査と合わせて年に1〜2回の尿検査をおすすめしています。腎臓は、はたらきが失われても症状が出にくい臓器です。尿の濃さの変化は、その最初のサインになることがあります。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。