
BLOOD DONOR
輸血ドナー登録のお願い
その一度の献血が、どこかの子の明日をつくります
犬と猫の医療には、人のような血液バンクがありません。輸血が必要になったとき頼りになるのは、そのときに来てくれる健康な犬・猫だけです。当院では、いざというときにご協力いただけるドナーを募集しています。負担もリスクも隠さずお伝えしたうえで、ご判断ください。
- 犬
- 猫
- ご協力のお願い
WHY
なぜ、ご協力をお願いするのか
人の医療では、献血された血液が血液センターで検査・保存され、必要な病院へ届けられます。犬と猫の医療に、その仕組みはありません。輸血が必要になったとき、それぞれの動物病院が自力で血液を確保するほかないのが日本の現状です。
当院が扱えるのは、採ったその日に使う新鮮全血だけです。冷蔵・冷凍で保存した血液製剤の在庫は持っていません。つまり、輸血が必要になったその日に来てくださる子がいて、はじめて輸血ができます。
そして輸血が必要になる場面は、たいてい前触れなくやってきます。昨日まで元気だった子が、今日、赤血球を失って呼吸を荒くしている。その状況で、条件の合うドナーを一から探すのでは間に合いません。あらかじめ登録してくださる方がいることが、そのまま助けられる命の数になります。
WHEN
輸血が必要になるとき
輸血は、失われた赤血球や血を止める成分を補い、その子が自分の力で回復するまでの時間を稼ぐ治療です。次のような場面で必要になります。
免疫の異常で赤血球が壊される
腫瘍やけがによる大出血
血が止まらなくなる病気・中毒
慢性の重い貧血
当院は、かかりつけ医と高度医療施設の間をつなぐ1.5次診療を担っています。夜間や休診日の急変も含め、輸血が要る場面に立ち会う機会は決して少なくありません。
免疫介在性溶血性貧血(IMHA)のページを見るDONOR
ドナーになれる子の条件
条件は、日本小動物血液療法研究会がまとめた「日本における犬と猫の献血指針の提案」を土台に、当院の運用として定めています。ドナーの子の安全と、輸血を受ける子の安全の両方を守るためのものです。
| 犬 | 猫 | |
|---|---|---|
| 年齢 | 満1歳〜8歳 | 満1歳〜8歳 |
| 体重 | 15kg以上 | 4kg以上 |
| 性別 | 妊娠・出産の経験がない雌(避妊済み)/交配の予定がない雄 | 妊娠・出産の経験がない雌(避妊済み)/交配の予定がない雄 |
| 暮らし方 | 室内・室外は問いません | 完全室内飼育のみ |
| 予防 | 狂犬病予防注射/5種以上の混合ワクチン/フィラリア・ノミダニの通年予防 | 3種以上の混合ワクチン/ノミダニ予防 |
| 感染症 | フィラリア・バベシア症が陰性であること | 猫白血病ウイルス(FeLV)・猫免疫不全ウイルス(FIV)・猫コロナウイルス・ヘモプラズマが陰性であること |
| 体調 | 持病がなく、健康チェックの結果に問題がないこと | 持病がなく、健康チェックの結果に問題がないこと |
こんな場合は、ドナーとしてお預かりできません
過去に輸血を受けたことがある
他の子の血液に触れたことで抗体ができている可能性があり、受け取る側に強い反応が出るおそれがあります。指針でもドナーには適さないとされています。
妊娠・出産の経験がある
妊娠中に赤ちゃんの血液型に対する抗体ができることがあるためです。同じ理由で、交配の予定がある子も対象外としています。
外に出る猫
猫のウイルス感染症は、外でのけんかや接触でうつります。検査で陰性でも、感染したばかりの時期は見つけられません。猫は完全室内飼育の子に限らせていただいています。
持病がある・お薬を飲んでいる
その子自身の体調が最優先です。また、血液に移行するお薬もあります。ビタミン剤や整腸剤など問題にならないものもあるので、まずはご相談ください。
採血のあいだ、じっとしているのが難しい
首の血管から数分間かけて採血します。強い恐怖を示す子に無理をさせることはしません。鎮静を使っても難しいと判断した場合は、その場で中止します。
CHECKUP
登録のときの健康チェック(無料)
ご登録にあたって、身体検査・血液検査(血球計算と血液化学検査)・尿検査・糞便検査・血液型判定・感染症の検査を行います。一般的な健康診断の範囲は、当院で負担します。それ以上の詳しい検査をご希望の場合は、オプションとしてご相談ください。
この検査は、輸血を受ける子の安全のためだけに行うのではありません。その子自身が献血できる体調かどうかを確かめるためのものでもあります。結果はすべてお渡しし、ご説明します。ドナー登録をきっかけに、気づかれていなかった病気が見つかることもあります。
登録後も、年に1回は同じ検査を受けていただきます。感染症は、あとから感染することがあるためです(ドナーの感染症検査は最低でも年1回とする国際的な合意があります)。
血液検査でわかることを見るFLOW
登録から献血までの流れ
ステップ1:ご相談
診察のときに受付・獣医師へお声がけいただくか、お電話・公式LINEでご連絡ください。条件に当てはまるか、その場で一緒に確認します。ステップ2:健康チェックと血液型判定
ご予約のうえでご来院いただき、上記の検査を行います。空腹の状態でお越しいただくとスムーズです。ステップ3:ご登録
検査結果に問題がなければ、ドナーとして登録させていただきます。血液型と連絡先をお預かりします。ステップ4:必要になったら、ご連絡
輸血が必要な子が現れたとき、血液型が合う子の飼い主様へ、診療時間内に公式LINE(場合によってはお電話)でご連絡します。難しいときは、そうお伝えください。ステップ5:献血当日
当日の体調を確認してから採血します。お預かりの時間は、鎮静を使う場合を含めておよそ2〜3時間です。ステップ6:次回まで
次の献血までは3か月以上あけます。年1回の健康チェックで体調を確認しながら、長くお付き合いいただければ幸いです。
ON THE DAY
献血当日のこと
当日は、まず体調と血液の濃さ(PCV)を確認します。少しでも気になる点があれば、その日は見送ります。採血は首の血管(頸静脈)から行い、その部分の毛を手のひらほどの範囲で刈らせていただきます。
20mL/kg
犬の1回あたりの採血量の上限
10mL/kg
猫の1回あたりの採血量の上限
3か月以上
次の献血まであける期間
採血量の上限と間隔は、日本小動物血液療法研究会の献血指針にもとづく数値です。当院はこの上限を超えません。
猫は、じっとしていることが難しいため鎮静を使うことがほとんどです。犬でも、緊張が強い子には鎮静を使います。鎮静を使う場合は、その必要性と危険性をご説明し、同意をいただいてから行います。
採血のあとは、失われた分を補う輸液を行い、院内でゆっくり休んでいただきます。食事をとって、歩き方や様子に問題がないことを確認してからのお帰りです。当日は激しい運動を控えていただき、翌日からは通常どおりで構いません。
HONESTY
負担とリスクも、正直にお伝えします
献血は、その子にとって「何も起こらないこと」ではありません。ご家族に判断していただくために、起こりうることをすべてお伝えします。
- 一時的に血液が薄くなります。上限まで採血した場合、血液の濃さ(PCV)は犬でおよそ10%、猫でおよそ5%下がると見込まれます。当日は疲れて眠ることがあります。
- 鎮静の危険性をゼロにはできません。鎮静薬は動物の恐怖と危険を減らすために使いますが、まれに予期しない反応が起こります。手術前と同じ確認を行い、処置中は監視を続けます。
- 首の毛を刈ります。生えそろうまでには時間がかかり、長毛の子ではしばらく目立ちます。採血した部分に、一時的な内出血が出ることもあります。
- 病院で過ごす時間そのものが、その子にとってはストレスです。怖がる様子が強いときは、途中でも中止します。ご家族が「今日はやめておきたい」とおっしゃった時点で、理由を伺わずに中止します。
他の子を助けるために、目の前のその子とご家族に無理を強いることがあってはなりません。ご協力いただくすべての子が、これまでどおり幸せに過ごせることが大前提です。
BLOOD TYPE
犬と猫の血液型のはなし
犬にも猫にも血液型があり、人とは分類のしかたが違います。輸血の現場でとくに重要なのが、次の点です。
犬
輸血で重要なのは DEA1.1 という型で、陽性と陰性に分かれます。犬はもともと他の血液型に対する抗体を持っていることが少ないため、はじめての輸血では反応が起こりにくいとされています。ただし実際に起こることもあるため、当院では毎回、血液型と適合性を確認します。
猫
A型・B型・AB型に分かれます。猫は生まれつき他の型に対する抗体を持っていることが多く、はじめての輸血でも重い溶血反応が起こりえます。血液型の判定を省くことは、決してできません。
血液型が合っていても、それだけでは安全とは言えません。輸血の前には、ドナーの血液と受ける子の血液を実際に混ぜて反応を見る「交差適合試験(クロスマッチ)」を行い、固まったり壊れたりしないことを確かめます。ドナー登録のときに血液型を調べておくのは、いざというときに、この確認から始められるようにするためです。
THANKS
当院からのお礼
ご協力への感謝の気持ちとして、次のご用意をしています。
- 登録のときの健康チェックは無料です。一般的な健康診断の範囲(身体検査・血液検査・尿検査・糞便検査・血液型判定・感染症検査)を当院で負担します。
- 条件を満たす場合、会員プラン「わんにゃんプライム」に無料でご加入いただけます。健康診断・ワクチン・予防薬が会員価格になるプランです。詳しい特典と加入条件はプライムのページをご覧ください。
- 献血当日の処置について、ご負担いただく費用はありません。
LINKS
もっと詳しく知りたい方へ
このページの条件や数値は、次の資料にもとづいています。専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 日本小動物血液療法研究会「日本における犬と猫の献血指針の提案」(動物臨床医学 2013年)— ドナーの年齢・体重・必要な予防・感染症検査、採血量の上限と間隔の出典。
- 同「犬および猫における輸血方法指針の提案」(動物臨床医学 2016年)— 血液型の適合、交差適合試験、輸血中の観察項目についての国内の指針。
- 犬猫の献血動物の感染症スクリーニングに関するACVIM合意声明(JVIM・英語)— ドナーの感染症検査を最低でも年1回とする国際的な合意。
Q&A
よくあるご質問
- 登録したら、必ず献血しなければいけませんか。
- いいえ。ご連絡は差し上げますが、そのときのご都合や体調で「今回は難しい」とお答えいただいて構いません。理由を伺うこともしませんし、その後のご連絡を控えることもありません。登録は「お願いできるかもしれない方の名簿」であって、約束ではありません。
- うちの子の体に負担はありませんか。
- まったく無いとは申し上げません。上限まで採血すると、血液の濃さ(PCV)が犬でおよそ10%、猫でおよそ5%ほど一時的に下がります。多くの子は数日から数週間で戻りますが、当日は疲れて眠ることもあります。だからこそ当日の体調確認、採血量の上限、3か月以上の間隔を厳密に守っています。
- 鎮静は必ず使うのですか。安全ですか。
- 猫はほとんどの場合、鎮静が必要です。犬も、じっとしているのが難しい子には使います。鎮静は動物の恐怖と危険(動いて血管を傷つけるなど)を減らすためのものですが、麻酔・鎮静である以上、予期しない反応の可能性をゼロにはできません。ですから手術前と同じように、事前に健康状態を確認したうえで、鎮静についても必ず同意をいただいてから行います。
- 毛刈りはしますか。どのくらいで元に戻りますか。
- 首の血管から採血するため、その部分の毛を手のひらほどの範囲で刈らせていただきます。毛が生えそろうまでの期間は毛質によって差があり、長毛の子ではしばらく目立ちます。トリミングやショーのご予定がある場合は、事前にお知らせください。
- 費用はかかりますか。
- 登録のときの一般的な健康診断の範囲は当院で負担します。それ以上の検査をご希望の場合はオプションとしてご相談ください。献血当日の処置についても、ご負担いただくことはありません。
- どのくらいの頻度で連絡が来ますか。
- 輸血が必要な子が現れたときだけなので、決まっていません。年に何度もご連絡することもあれば、登録いただいたまま一度もお願いしないこともあります。ご連絡は診療時間内に、公式LINE(場合によってはお電話)で差し上げます。
- 献血の間隔はどのくらい空けますか。
- 3か月以上あけることを原則としています。指針では、血液の成分が回復することだけを考えれば3週間で足りるとされていますが、その子の負担を考えて3か月以上としています。緊急のときでも3週間より短い間隔でお願いすることはありません。
- もし、うちの子が輸血を受ける側になったら。
- 当院が扱えるのは採ったその日に使う新鮮全血だけなので、そのときに条件の合うドナーを探すことになります。登録いただいた方には、その状況もふくめて包み隠さずお話しします。ドナー登録は「いざというとき、お互いさま」で支え合う仕組みでもあります。
- 高齢になったら、どうなりますか。
- 9歳を迎えられたら、ドナーとしてはご卒業です。長いあいだ、ありがとうございます。以降も年1回の健康診断で、その子の体調を見守らせてください。
CONTACT
ご登録・ご相談
「うちの子は条件に当てはまるだろうか」という段階のご相談で構いません。診察のときに受付・獣医師へお声がけいただくか、下記からご連絡ください。
ご連絡は診療時間内にお願いします。診療時間は下の「受診のご案内」をご覧ください。はじめてご来院される方は、はじめての方へもあわせてご覧ください。
このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。
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| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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- 土曜日の午後は18:00までとなります。
- 初診は随時受け付けております。
- 往診・トリミング・麻酔処置は事前のご予約が必要です。
