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当院の皮膚科・耳科について
皮膚と耳は、体の内側で起きている変化が「かゆみ」「赤み」「におい」といったサインになって現れる場所です。だからこそ、表面だけを見るのではなく、その奥にある原因を診ることを大切にしています。
原因までさかのぼって診る
「かゆい」という症状の裏には、感染・寄生虫・アレルギー・体質・ホルモンの異常など、さまざまな原因が隠れています。目の前の炎症を抑えるだけでなく、なぜ起きているのかを検査で確かめ、原因からコントロールします。
我慢させない、を最優先に
かゆみや痛みは、動物にとって大きなストレスです。睡眠・食欲・生活の質を落とし、掻き壊しがさらなる感染を招きます。まずはつらい症状をやわらげ、その子が快適に過ごせる状態を早くつくることを目指します。
長く付き合う病気を、ご家族と一緒に
アトピーやアレルギーは、上手に付き合っていく病気です。薬だけに頼らず、シャンプー療法・スキンケア・環境の工夫まで含めて、ご家族が続けられる現実的な管理プランを一緒に組み立てます。
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こんなサインはご相談ください
以下のような症状は、皮膚・耳の病気のサインであることがあります。慢性化・掻き壊しを防ぐため、早めのご相談をおすすめします。
皮膚のサイン
- 体をかゆがる・なめる・噛む・こすりつける
- 皮膚が赤い、ブツブツ・かさぶたがある
- 毛が抜ける・左右対称に薄くなる
- フケが多い、皮膚が脂っぽい・ベタつく
- 皮膚が黒ずむ・厚くゴワゴワしてきた
- 独特のにおいがする
耳のサイン
- 耳をかゆがる・頭をよく振る
- 耳あかが多い、耳の中が汚れている・においがする
- 耳の中が赤い・腫れている
- 耳を触られるのを嫌がる、痛がる
- 何度も外耳炎をくり返す
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主な対応疾患
かゆみや皮膚炎は「病名」ではなく「結果」です。同じように見える症状でも原因は異なり、原因によって治療がまったく変わります。
Atopic Dermatitis
遺伝的な体質を背景に、環境中のアレルゲン(ハウスダスト・花粉・カビなど)に過敏に反応して慢性的なかゆみを起こす病気です。目・口のまわり、耳、脇、内股、指の間などに症状が出やすいのが特徴です。完治させる病気というより、かゆみを管理して快適に暮らせる状態を保つ病気です。ステロイド、オクラシチニブ(アポキル)、ロキベトマブ(サイトポイント)、シャンプー療法、スキンケアなどを、その子に合わせて組み合わせます。
Cutaneous Adverse Food Reaction
特定の食物成分(多くはタンパク質)に対する反応で、季節を問わないかゆみや、皮膚炎・外耳炎・消化器症状として現れます。原因を含まない食事だけを一定期間与える「除去食試験」で診断します。原因の食物が分かれば、食事の管理で症状をコントロールできます。
Flea Allergy Dermatitis
ノミの唾液に対するアレルギーで、わずかな寄生でも背中〜しっぽの付け根に強いかゆみと皮膚炎を起こします。ノミが見つからなくても否定はできません。適切なノミ予防を継続することが、治療と予防の両方になります。
Pyoderma
皮膚の細菌(主にブドウ球菌)が過剰に増えて起こる感染症です。赤いブツブツ・膿疱・かさぶた・脱毛が見られます。多くはアレルギーなど別の皮膚疾患に続いて起こる「二次感染」のため、抗菌薬やシャンプー療法で感染を抑えると同時に、背景にある原因の管理も行います。
Malassezia Dermatitis
皮膚や外耳道に常在する酵母様真菌(マラセチア)が過剰に増えて、脂っぽさ・赤み・強いかゆみ・独特のにおいを起こします。皮膚のバリアが乱れたときやアレルギーの背景があるときに増えやすく、外耳炎の原因としても非常に多く見られます。抗真菌薬やシャンプー療法で管理します。
Otitis Externa
耳の穴から鼓膜までの「外耳道」に炎症が起こる、犬・猫にとても多い病気です。細菌・マラセチア・耳ダニといった直接の原因に加えて、その背景にアレルギーや体質・耳の構造(垂れ耳・毛が多い)などの「なりやすい理由」が隠れていることが多く、そこまで診ないとくり返します。耳垢の検査で原因を確かめ、洗浄・点耳・内服を組み合わせて治療します。
Ectoparasites
ヒゼンダニによる疥癬(激しいかゆみ・感染力が強い)、毛包に寄生するニキビダニ(アカラス/免疫状態が関わる脱毛)、外耳道に寄生する耳ダニ(黒い耳垢・強いかゆみ)などです。それぞれ検査で確認し、駆虫薬で治療します。多頭飼育では他の子への対応も検討します。
Endocrine & Other Alopecia
かゆみが強くないのに左右対称に毛が薄くなる場合、甲状腺機能低下症やクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)などホルモンの病気が背景にあることがあります。血液・ホルモン検査で全身の状態を評価し、原因となる病気の治療を行います。
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診断の流れ
「かゆみの原因は何か」を切り分けることが、遠回りに見えて一番の近道です。その子の負担が少ない検査から順に進めます。
ステップ1:問診・視診
いつから・体のどこに・季節性はあるか・食事や生活環境・これまでの治療歴などを詳しく伺います。皮膚と耳の状態を全身にわたって確認します。
ステップ2:皮膚の検査(細胞診・掻爬検査)
皮膚にテープやスライドガラスを当てて細菌・マラセチアを調べたり、皮膚を軽く掻き取ってニキビダニ・疥癬を探します。多くは麻酔なしで、その場で結果の概要をお伝えできます。
ステップ3:耳の検査(耳鏡・ビデオオトスコープ・耳垢検査)
耳鏡で外耳道や鼓膜の状態を確認し、耳垢を採って顕微鏡で細菌・マラセチア・耳ダニの有無を調べます。慢性・難治のケースでは、当院のビデオオトスコープ(耳の内視鏡)を用いて、耳道の奥や鼓膜の状態まで拡大した鮮明な画像で評価します。原因に合わせて治療薬を選びます。
ステップ4:アレルギーの除外診断
ノミ対策の徹底や、原因を含まない食事だけを与える除去食試験などで、アレルギーの関与を一つずつ確かめます。アトピー性皮膚炎は、他の原因を除外したうえで診断します。
ステップ5:血液・ホルモン検査(必要に応じて)
かゆみの少ない脱毛や、なかなか良くならないケースでは、甲状腺・副腎などのホルモンや全身状態を血液検査で評価します。
ステップ6:培養・病理検査(必要に応じて)
治りにくい感染では細菌培養・薬剤感受性検査を、腫瘍や特殊な皮膚病が疑われる場合は皮膚生検(病理検査)を行い、確定診断につなげます。
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犬アトピー性皮膚炎(CAD)の診断の進め方
犬アトピー性皮膚炎(CAD:Canine Atopic Dermatitis)は、皮膚科でとても多い慢性のかゆみの代表です。ところが、CADには「これ一つで確定できる検査」がありません。かゆみを起こす他の病気を一つずつ除外し、最後に残るものとして診断する——いわゆる除外診断です。手間はかかりますが、この手順を丁寧に踏むことが、正しい診断と、遠回りしない治療への近道になります。
下の図は、慢性のかゆみからCADの診断にたどり着くまでの流れです。上から順に、他の原因を除外していきます。
出発点
慢性のかゆみ・皮膚炎
季節性の有無、症状の出る場所、発症した年齢などを手がかりに、原因の見当をつけます。
除外 ①
外部寄生虫症
検査と駆虫・ノミ予防で、寄生虫によるかゆみを除外します。
除外 ②
微生物の感染
二次的に増えた細菌やマラセチアを治療し、それでも残るかゆみを評価します。
除外 ③
他のアレルギー性疾患
CAD以外のアレルギーを、生活環境や経過から見極めます。
除外 ④
腫瘍性疾患
頻度は高くありませんが、見逃せない病気として除外します。
最大の分かれ道
食物有害反応(AFR)を見分ける
ここで最も有用なのが「除去食試験/負荷試験」です。原因になりにくい食事だけを6〜8週間与え、かゆみが治まるかを確認します(除去食試験)。治まったら、元の食事に戻して再発するかを確かめます(負荷試験)。再発すればAFR、変わらなければCADの可能性が高いと判断します。
診断
残ったものが CAD
他の原因をすべて除外して残るのがCADです。ここまで来て初めて、自信を持って管理に進めます。
※ 上記の「除外すべき疾患」の分類は、犬アトピー性皮膚炎の国際的な診断ガイドライン(Hensel et al., BMC Veterinary Research 2015)に基づいています。
CADと診断されたら——「上手な薬の使い方」を一緒に
CADは、完治させる病気というより、上手に付き合っていく病気です。かゆみをゼロにすることだけを目指すのではなく、その子が快適に過ごせて、ご家族も無理なく続けられるバランスを一緒に探します。ステロイド・オクラシチニブ(アポキル)・ロキベトマブ(サイトポイント)などの薬を、スキンケア・保湿・サプリメント・シャンプー療法と組み合わせ、必要な薬をできるだけ少なく保つことを目標にします。季節や体調で症状は変わるため、そのつど薬の使い方を見直し、調整していきます。
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治療の考え方
皮膚・耳の治療は「かゆみを抑える」「感染を抑える」「原因を管理する」の3つを組み合わせて進めます。ひとつの薬だけに頼らず、その子とご家族が続けられる方法を一緒に選びます。
かゆみのコントロール
つらいかゆみを早くやわらげることを最優先にします。ステロイド、オクラシチニブ(アポキル/JAK阻害薬)、ロキベトマブ(サイトポイント/かゆみを起こすIL-31を中和する抗体製剤)などから、その子の状態・年齢・持病に合わせて選びます。できるだけ少ない薬で快適に過ごせる状態を目指します。
感染のコントロール
二次的に増えた細菌・マラセチアには、抗菌薬・抗真菌薬に加えて、薬用シャンプーによる外用療法が有効です。薬に頼りすぎず、洗って減らすというアプローチを組み合わせます。
スキンケア・環境の管理
皮膚のバリアを守る保湿、体質に合ったシャンプー療法、ノミ・ダニの予防、生活環境の見直しまで含めて、再発しにくい土台をつくります。ご自宅でのケア方法も具体的にご指導します。
根本原因への対応
アレルゲンの管理、食物アレルギーであれば食事療法、ホルモンの病気であればその治療など、症状の背景にある原因そのものに対応します。原因を管理できると、必要な薬を減らせることが多くあります。
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当院の麻酔へのこだわり
皮膚科・耳科の多くは、麻酔をかけずに検査・治療を進められます。ただし、ビデオオトスコープによる耳道の深部洗浄や、皮膚・耳のしこりの生検・切除を行う場合には、精密で安全な処置のために鎮静や全身麻酔が必要になります。
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