「よいフードを選べた。では、どれだけ与えればいいのか」——ここでつまずく飼い主さんは、とても多いです。パッケージの給与量表は幅が広く、その子の体格や活動量に合っているとは限りません。このページでは、獣医栄養学で使われる計算式をもとに、その子に合った量の「出発点」を一緒に見つけます。
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計算ツール
紙に印刷したときに「どのフードで計算したか」が残ります
パッケージの「kcal/100g」を入力
ドライとウェットはカロリーが3〜5倍違うため、目分量ではずれやすい組み合わせです。おやつやトッピングを足したときの割合も確かめられます。
体重を入力すると、1日の必要カロリーが表示されます。
※ 表示される数値は、獣医栄養学の標準的な計算式(RER=70×体重0.75、DER=RER×係数)にもとづく目安です。必要量には個体差があり、持病・薬・去勢避妊の有無などで変わります。実際の給与量は、体重と体型の変化を見ながら担当獣医師と調整してください。
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複数のフードを組み合わせるとき
「ドライとウェットを両方あげている」「トッピングを少し足している」——実際のごはんは、1種類だけということのほうが少ないかもしれません。計算ツールの「複数のフードを組み合わせる」にチェックを入れると、フードごとの配分をまとめて計算できます。
おやつは1日の10%まで
おやつ・ジャーキー・トッピングなど「主食以外」から摂るカロリーは、1日の10%以内にとどめ、残りの90%以上を総合栄養食(または療法食)から摂るのが基本です。国際的な獣医栄養の指針でも、大学病院の栄養科でも共通して示されている考え方です。
10%を超えると、必要なカロリーは足りていても、タンパク質・ミネラル・ビタミンといった栄養素のバランスが崩れていきます。ツールでおやつを1行足すと、それが1日の何%にあたるかが表示され、超えたときは注意が出ます。おやつをあげた日は、その分だけ主食を減らす——これが、あげながら太らせないための現実的なやり方です。
療法食に、他のものを混ぜないでください
療法食は、その病気のためにリン・タンパク質・ナトリウム・アレルゲンなどを計算して設計された食事です。他のフードやおやつを足すと、その設計から外れてしまいます。とくに食物アレルギーを調べる除去食試験の期間中は、他の食べ物・おやつ・味付きのお薬も含めて一切与えないことが必要で、少しでも混ざると検査そのものが成り立ちません。
とはいえ「療法食を食べてくれない」「何かご褒美をあげたい」というご相談は、とても多いものです。黙って混ぜるより、相談してください。その療法食で使ってよい範囲のもの、同じ目的で使える別の製品、食べやすくする工夫——選択肢は一つではありません。ご家族が続けられる形を一緒に探すのが、当院の役割だと考えています。
フードを変えるときは、7〜10日かけて
新しいフードへの切り替えは、7〜10日かけて少しずつ入れ替えるのが目安です。急に変えると下痢や嘔吐が起きやすく、そのフード自体を嫌いになってしまうこともあります。おなかが弱い子やシニアでは、14日ほどかけるとより安全です。
計算ツールの「フードの切り替えスケジュール」に、今のフードと新しいフードのカロリーを入れると、日ごとに何gずつ与えればよいかの表が出ます。ここでも量はカロリーで按分しています。ドライからウェットへの切り替えのように密度が大きく違う場合、グラムで半分ずつにすると必要量から外れてしまうためです。
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減量は「今の食事」から始めます
「目標のカロリーは1日◯kcal」——それだけ分かっても、実は動けません。今それより多く食べているのか、少ないのかが分からないからです。獣医栄養学の手順でも、減量はまず食事歴を書き出すことから始まります。
計算ツールの減量プランで「今あげている食事を入れる」にチェックを入れると、主食もおやつも1行ずつ積み上げて、今の1日の摂取カロリーを出します。そのうえで表示されるのが、次の3つです。
ステップ1:今の1日の摂取カロリー
ごはんだけでなく、おやつ・トッピング・食卓からのおすそ分け・投薬に使うおやつまで含めた合計です。ご家族の誰かが別にあげている分も入れてください。減量がうまくいかない原因は、たいていここに現れます。
ステップ2:今日から始める量(今の8割)
いきなり目標のカロリーまで落とすと、強い空腹から拾い食いや要求鳴きが増え、続かなくなります。国際的な指針では、今の摂取量の80%を出発点にする方法が示されています。ツールもこの考え方で、無理のない「今日から始める量」を出します。お使いのフードのカロリーを入れれば、そのままグラムで表示されます。
ステップ3:最終的に目指すカロリー
目標体重をもとに算出した、減量の到達点です。始める量との差は、あえて埋めません。2週間後の体重を見てから決めるべきもので、先に「何週目に何kcal」と決め打ちしても、その子の実際の代謝には合わないからです。体重を測る日と、そのときの体重の目安は表で示します。
減量中は「量を減らす」だけでは足りません
カロリーを減らすと、タンパク質・ビタミン・ミネラルも同じだけ減ります。いつものフードをただ減らしていくと、減量が進むほど栄養が足りなくなり、落としたくない筋肉のほうが落ちてしまうことがあります。減量用に設計された食事は、カロリーを抑えたまま必要な栄養素を確保できるよう作られており、国際的な指針でも、大きくカロリーを制限する場合には推奨されています。
どこまでなら今のフードのままでよいか、どの時点で切り替えるか——ここはその子の体格・持病・食べ方で変わります。ツールの数字を出発点に、当院で一緒に決めましょう。
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この計算の考え方(獣医栄養学の土台)
このツールは、獣医療で標準的に使われる2段階の計算にもとづいています。難しく見えますが、考え方はとてもシンプルです。
ステップ1:安静時に必要なカロリー(RER)を求める
まず、その子が一日じっと安静にしていても消費する最低限のエネルギー「RER(安静時エネルギー要求量)」を、体重から計算します。体の表面積に比例するため、単純な比例ではなく体重の0.75乗を使うのが特徴です。
ステップ2:その子の状態に合わせて調整する(DER)
次に、避妊去勢の有無・年齢・活動量・妊娠授乳などの「状態」に応じた係数をかけて、実際に1日に必要なカロリー「DER(1日エネルギー要求量)」を求めます。同じ体重でも、活発な子とのんびりした子では必要量が変わります。
ステップ3:フードの量に置きかえる
最後に、DER をお使いのフードのカロリー密度(100gあたり何kcalか)で割ると、1日に与えるグラム数が出ます。これを食事回数で分ければ、1回あたりの量になります。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
計算式や係数の根拠を、当院が拠りどころとする信頼できる情報源でご確認いただけます。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。
- WSAVA 世界小動物獣医師会 グローバル栄養ガイドライン(英語) — 体重管理・エネルギー要求量の評価やツールをまとめた国際的な指針。ボディコンディションスコアの判定表もこちら。
- 小動物の栄養要求/MSD(Merck)獣医マニュアル・獣医師向け(英語) — RER・DER の計算式やライフステージ別の係数を専門的に解説。
- おやつの与え方の指針/カリフォルニア大学デービス校 獣医教育病院 栄養サポートサービス(英語・PDF) — 「おやつなど主食以外は1日のカロリーの10%以内、90%以上は総合栄養食から」の根拠。犬に与えてよい野菜・果物のカロリー例も。
- 除去食試験でやりがちな間違い/タフツ大学 Petfoodology(英語) — 食物アレルギーを調べる期間中に、おやつや味付きの薬が混ざると検査が成り立たなくなる理由。
- 飼い主のためのペットフード・ガイドライン/環境省 — 安全なフードの選び方・与え方の公的な手引き。

