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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

CANINE CYSTITIS

犬の膀胱炎(細菌性膀胱炎)

頻尿・血尿・排尿のしぶり。多くは細菌感染ですが、くり返すときは原因を掘り下げます

「トイレが近い」「おしっこに血が混じる」「排尿のときに何度もいきむ」——それは膀胱炎のサインかもしれません。犬の膀胱炎の多くは細菌の感染によるもので、適切な検査と治療で改善します。一方で、くり返す・治りにくい場合には、その奥に別の原因が隠れていることがあります。当院はその場しのぎで終わらせず、必要なときは根本の原因まで掘り下げます。

  • 腎泌尿器科
  • 感染

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

01

病気の概要

膀胱炎(ぼうこうえん、Cystitis)とは、尿をためる袋である膀胱の粘膜に炎症が起きた状態です。犬の膀胱炎の多くは、細菌が尿道から膀胱へ入り込んで起こる細菌性膀胱炎(さいきんせいぼうこうえん、Bacterial Cystitis)です。頻尿・血尿・排尿時のしぶりなど、生活の質に直結する不快な症状をともないます。

E. coli

もっとも多い原因菌(大腸菌)

3-5

単純な膀胱炎での抗菌薬投与期間の目安

14%

犬が生涯に一度は細菌性膀胱炎を経験するとされる割合の目安

多くの細菌性膀胱炎は、適切な抗菌薬と痛みのケアで良くなります。一方で、「くり返す」「治りにくい」膀胱炎は、その奥に結石・腫瘍・内分泌疾患などの別の原因が隠れているサインのことがあります。当院は、目の前の症状を抑えることと、必要に応じて根本の原因を掘り下げることの両方を大切にしています。

02

何が起きているのか

健康な膀胱の中は、本来ほぼ無菌に保たれています。細菌性膀胱炎の多くは、外陰部や肛門のまわりにいる細菌が尿道をさかのぼって(上行性感染)膀胱に入り込むことで起こります。もっとも多い原因菌は大腸菌(E. coli)で、そのほかブドウ球菌・連鎖球菌・プロテウスなども原因になります。

STEP 1

細菌が尿道の入り口に定着

外陰部・肛門まわりの常在菌(大腸菌など)が、尿道の出口付近に付着する。

STEP 2

尿道をさかのぼって膀胱へ(上行性感染)

細菌が尿道を上に移動し、膀胱の中へ侵入する。尿の勢いや排尿の回数が減ると、細菌が洗い流されにくくなる。

STEP 3

膀胱粘膜で増殖・炎症

細菌が膀胱の粘膜で増え、炎症が起こる。粘膜が刺激され、頻尿・血尿・排尿のしぶりといった症状が現れる。

STEP 4

放置すると上へ広がることも

治療せずにいると、感染が尿管を通じて腎臓にまで及び、腎盂腎炎(じんうじんえん)に進むことがある。

03

症状・サイン

膀胱炎は、膀胱の粘膜が刺激されることでさまざまな排尿の変化を起こします。次のようなサインに気づいたら、早めのご受診をおすすめします。

04

単純性と、くり返す膀胱炎の違い

膀胱炎の治療で最も大切な視点が、「一度きり(単純性)」なのか、「くり返す・治りにくい」のかを見極めることです。この2つは、必要な検査も治療の深さも変わります。

タイプ目安考え方
単純性(散発性)膀胱炎健康な子に、年に2回まで起こる散発的な膀胱炎。基礎疾患や尿路の異常がない尿検査で診断し、適正な抗菌薬と痛みのケアで治療。多くはここで改善します
再発性・複雑性膀胱炎年に3回以上、または半年に2回以上くり返す/治りにくい/基礎疾患をともなう尿培養で原因菌と効く薬を確かめ、画像検査で隠れた原因を探します

05

診断・検査

膀胱炎の診断は、症状だけでは確定できません。よく似た症状は結石・腫瘍などでも起こるため、尿を実際に調べることが診断の中心になります。

尿検査(尿沈渣・尿性状)

診断の出発点です。顕微鏡で赤血球・白血球・細菌・結晶の有無を調べ、あわせて尿の比重・pH・潜血・タンパクなどを評価します。膀胱炎の診断だけでなく、結石や腎臓病の手がかりも得られます。

尿培養+薬剤感受性検査

どの細菌が、どの抗菌薬に効くかを確かめる検査で、抗菌薬を選ぶ根拠になります。膀胱に細い針を刺して尿を直接採る「膀胱穿刺(ぼうこうせんし)」で採った尿が最も正確です。くり返す・治りにくい膀胱炎では特に重要です。

再発・難治のケースや、結石・腫瘍が疑われるときは、次の検査を追加します。

検査目的
腹部超音波検査(エコー)膀胱壁の厚み・腫瘤・結石の有無、腎臓や前立腺の状態を無麻酔・低侵襲で評価します
腹部レントゲン検査レントゲンに写るタイプの結石の有無や、膀胱・尿道の状態を確認します
血液検査糖尿病・クッシング症候群など、感染をくり返す背景の基礎疾患を調べます

06

治療

細菌性膀胱炎の治療には、大きく2つの柱があります。①感染をきちんと治すことと、②排尿にともなう痛み・不快感をやわらげることです。近年は、抗菌薬を必要以上に長く使わない「適正使用」の考え方が国際的な標準になっています。

適正な抗菌薬治療

感染を治す中心の治療です。ISCAID(国際的なガイドライン)にもとづき、必要な薬を必要な期間だけ使います。単純な膀胱炎では、以前より短い期間(数日程度)で治療するのが近年の考え方です。くり返す場合は、尿培養の結果に合わせて薬を選びます。

痛み・不快感のケア

膀胱炎は、排尿のたびに痛みや不快感をともないます。感染を治すのと並行して、必要に応じて痛みをやわらげるケアを行い、その子の毎日の快適さを守ります。

水分摂取と排尿のサポート

十分な水分をとり、こまめに排尿することは、細菌を洗い流す助けになります。飲水量を増やす工夫や、我慢させない環境づくりをご一緒に考えます。

隠れた原因への対処

結石・腫瘍・前立腺疾患・内分泌疾患などが見つかった場合は、その病気そのものの治療を行います。原因に手を打つことが、くり返しを止める根本的な対策になります。

07

再発を防ぐために

多くの単純な膀胱炎はしっかり治療すれば改善しますが、くり返さないためには日々の工夫と、必要に応じた再検査が役立ちます。

  • 十分な水分と、我慢させない排尿——水をこまめに飲めるようにし、散歩やトイレの機会を確保して、膀胱に尿をためこみすぎないようにします。
  • 陰部まわりの清潔——排尿後の汚れや、被毛の蒸れに気をつけます。
  • 治った後の再検査——くり返すタイプでは、治療後に尿を再検査し、細菌が本当に消えたかを確認することがあります。単純性の膀胱炎では、症状が消えていれば毎回の再検査は必須ではありません。
  • 基礎疾患の管理——糖尿病・クッシング症候群など背景の病気があるときは、その管理が再発予防に直結します。
  • 定期的な尿検査——シニア期や、過去にくり返した子では、健康診断での尿検査が早期発見に役立ちます。

膀胱炎は、その場で症状を抑えるだけなら難しくない病気です。けれども当院が大切にしているのは、「なぜこの子は膀胱炎になったのか」を問うことです。くり返すサインを見逃さず、必要なときは原因まで掘り下げる——それが、その子とご家族の毎日を守ることにつながると考えています。

08

さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

血尿が出ていますが、元気で食欲もあります。急いで受診すべきですか?
元気があっても、早めのご受診をおすすめします。血尿は膀胱炎のよくあるサインですが、原因は細菌感染だけでなく、結石・腫瘍・前立腺疾患などさまざまです。とくに「トイレに行くのに尿がほとんど出ない」「何度もいきむのに少量しか出ない」ときは、尿道がつまりかけている可能性があり緊急性が高くなります。尿検査で原因を確かめることが、遠回りのようで一番の近道です。可能であれば、ご自宅で採取した新しい尿をお持ちいただけると診断がスムーズです。
抗菌薬をもらいましたが、途中で症状がよくなりました。飲むのをやめてもいいですか?
自己判断での中止はおすすめしません。症状が落ち着いても膀胱の中に細菌が残っていることがあり、中途半端な服用は再発や、薬が効きにくい耐性菌を生む原因になります。抗菌薬は、獣医師が指示した期間・回数を最後まで守ってください。近年のガイドラインでは、単純な膀胱炎の投与期間はむしろ短く(数日程度)なる傾向にあります。飲ませにくい・副作用が心配などのお困りごとがあれば、量や種類を調整できますので、やめる前にご相談ください。
何度も膀胱炎をくり返します。体質でしょうか?
「体質」で片づけず、くり返す背景を探すことが大切です。年に複数回くり返す・治りにくい膀胱炎の裏には、結石、腫瘍、前立腺の病気、糖尿病やクッシング症候群といった内分泌疾患、尿路の構造的な問題などが隠れていることがあります。当院ではこうした場合、尿培養で原因菌と効く薬を確かめたうえで、超音波やレントゲンなどの画像検査で膀胱や周辺の臓器を丁寧に調べ、根本の原因に対処します。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。