手術の前に行う検査には、はっきりした目的があります。その子が麻酔と手術に耐えられる状態かを、事前に確かめることです。麻酔をかけてから問題に気づくのと、かける前に知っておくのとでは、取れる手段がまったく違います。
このページでご説明するのは、手術当日より前に行う検査です。検査そのものは麻酔をかけずに行いますが、強く怖がる子・興奮してしまう子では、安全に検査を進めるために鎮静を使うことがあります。全身麻酔をかけるのは手術当日で、その計画をここで立てます。
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当院の術前検査
当院では、次の4つを標準の組み合わせとして行っています。身体検査(視診・触診・聴診)は、そのすべての土台です。
胸部レントゲン(2方向)
心臓の大きさと形、肺の状態を確認します。2方向撮るのは、1方向だけでは臓器が重なって見えないためです。高齢の子では、症状の出ていない肺の変化や、腫瘍の肺転移がここで見つかることがあります。
腹部の超音波検査
肝臓・脾臓・腎臓・膀胱・副腎などを観察し、症状の出ていないしこりや臓器の異常がないかを確認します。手術の内容そのものが変わることもあります。
心臓の超音波検査
弁の状態、心筋の厚み、部屋の大きさを評価します。心雑音のない子でも、猫の心筋症のように無症状で進む病気があります。麻酔中の輸液量や薬剤の選択に直結する情報です。
血液検査(CBC・生化学)
貧血や炎症の有無、肝臓・腎臓のはたらき、電解質、血糖などを調べます。多くの麻酔薬は肝臓と腎臓で代謝・排泄されるため、この2つの臓器の状態が麻酔の計画を左右します。
必要に応じて、心電図・血圧測定や追加の血液検査を組み合わせます。年齢、持病、手術の内容によって、確かめておくべきことは変わります。
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検査で何を判断しているのか
ステップ1:麻酔のリスクを評価します
全身状態と持病から、麻酔のリスクがどの程度かを分類(ASA分類)し、ご説明します。リスクがゼロの麻酔はありませんが、どの程度かを共有したうえで判断していただきたいと考えています。
ステップ2:その子専用の麻酔計画を立てます
リスクの評価をもとに、使う薬・量・組み合わせを個別に決めます。肝臓や腎臓のはたらきが落ちている場合は、代替薬の選択や投与量の調整を行います。
ステップ3:手術前に整えるべきことを決めます
脱水、貧血、電解質の乱れ、感染などが見つかれば、先に治療して状態を整えてから手術に臨みます。日程を調整することもあります。
ステップ4:ご家族にご説明します
何が分かったのか、リスクはどの程度か、当日はどう管理するのかをご説明します。ご納得いただいてから、手術の予約を進めます。
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高齢・持病があるときの考え方
「高齢だから麻酔はできない」とは考えていません。年齢そのものは病気ではないからです。大切なのは、その子の心臓・肝臓・腎臓が今どういう状態かを把握し、それに合わせた計画を立てることです。
心臓病がある場合も同じです。当院では手術を行う獣医師とは別に、麻酔専任のスタッフが術中の管理に専従し、血圧・心拍数・心電図・SpO2・EtCO2・体温を継続的に監視します。詳しくは麻酔科のページをご覧ください。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 2020 AAHA 犬と猫の麻酔・モニタリングガイドライン(米国動物病院協会・英語・PDF) — 麻酔前の評価とASA分類によるリスク判定、術中モニタリングの標準についてまとめた国際ガイドライン。

