心電図と血圧測定は、どちらも痛みがなく、数分で終わる検査です。画像では見えない「はたらき」の異常——脈の乱れや、静かに進む高血圧——を見つけるために行います。
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心電図 ― 脈の乱れの正体を確かめる
心電図は、心臓が動くときに生じる電気の流れを波形として記録する検査です。からだにクリップや電極をつけ、数分間じっとしていただくだけで終わります。
不整脈の種類を見分ける
脈が飛ぶ、速すぎる、遅すぎる——聴診で気づいた異常が、経過を見てよいものか、治療や緊急対応が必要なものかを判断します。種類によって対応がまったく変わります。
失神・ふらつきの原因を探る
突然倒れる、意識が飛ぶといった症状の背景に、不整脈が隠れていることがあります。診察中に記録できれば、原因の特定につながります。
麻酔と手術の安全を守る
手術中は心電図を継続的に監視し、麻酔中の変化に即座に対応します。術前に不整脈が分かっていれば、麻酔の計画もそれに合わせて立てられます。
電解質の異常に気づく
カリウムなどの電解質の乱れは、波形の変化として現れることがあります。尿道閉塞など緊急の場面では、この情報が処置の順番を決めます。
一時的な不整脈をつかまえる ― ホルター心電図
診察室で記録できるのは、そのときの数分間だけです。ところが不整脈の多くは、出たり出なかったりします。「失神するのに、病院では正常」ということが起こるのはこのためです。
そこで用いるのがホルター心電図——小型の記録装置を装着して帰宅していただき、24時間ほど連続で心電図を記録する検査です。ふだんの生活の中で、いつ・どんな不整脈が・どのくらいの頻度で出ているのかが分かります。失神やふらつきの原因を確かめるとき、薬を始めたあとの効果を確認するときに力を発揮します。
当院ではホルター心電図が必要と判断した場合、外部の検査機関への委託、または専門的に対応している施設へのご紹介という形でご案内しています。装着そのものは短時間で終わり、痛みはありません。記録が終わったら装置をお返しいただき、解析結果をもとに方針をご説明します。
心電図で分かるのは電気の流れであって、弁の状態や心筋の厚みではありません。心臓の構造を見るのは超音波検査(心エコー)、大きさと肺の状態を見るのはレントゲンの役割です。3つは役割が違い、多くの場合は組み合わせて使います。
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血圧測定 ― 症状が出る前に見つかる異常
高血圧は、それ自体では症状を出しません。しかし放置すると、腎臓・目・脳・心臓を静かに傷つけ続けます。「急に目が見えなくなった」という主訴で来院し、原因が高血圧だったということも珍しくありません。
どんなときに測るか
- 慢性腎臓病の管理中(腎臓病と高血圧は互いを悪化させます)
- 甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症などホルモンの病気
- 心臓病の経過観察
- 急に目が見えなくなった、瞳が開いたまま、眼の中に出血があるとき
- 高齢期の健康診断
測り方と、数値の読み方
前肢・後肢・しっぽにカフを巻き、人と同じ要領で測定します。痛みはありません。ただし、1回の数値で判断はしません。動物は診察の緊張だけで血圧が上がるためです(白衣高血圧)。静かな環境で落ち着いてから複数回測り、平均をとります。それでも高い値が続く場合に、治療を検討します。
一般に、収縮期血圧が160mmHgを超える状態が続くと、臓器を傷つけるリスクが高まるとされています。慢性腎臓病では、この血圧の値が国際的なステージ分類(IRIS)のサブステージとしても使われ、治療方針に反映されます。
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検査の流れ
ステップ1:落ち着ける環境を整えます
測定の前に、少し時間を置いて緊張をやわらげます。とくに猫では、この時間が数値の信頼性を左右します。
ステップ2:心電図を記録します
電極をつけ、数分間の波形を記録します。痛みはなく、麻酔も必要ありません。
ステップ3:血圧を複数回測ります
カフを巻いて数回測定し、平均をとります。1回の値では判断しません。
ステップ4:結果をご説明します
その場で数値と波形をお見せしながらご説明します。定期的に測っていく場合は、次回の目安もお伝えします。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- IRIS 慢性腎臓病ステージ分類システム/国際獣医腎臓病研究グループ(英語) — 血圧によるサブステージ分類を含む一次情報。
- 動物の心血管系の検査/MSD獣医マニュアル・獣医師向け(英語) — 心電図・血圧を含む循環器の診断手順を解説。

