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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

HEPATOBILIARY DISEASE

犬・猫の肝臓・胆道の病気

「肝臓の数値が高い」と言われたら。沈黙の臓器のサインを見逃さないために

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり傷んでも症状が出にくいことがあります。慢性肝炎、胆嚢の粘液嚢腫、猫の胆管炎や脂肪肝——原因によって治療はまったく異なります。当院では血液検査・超音波で原因を見きわめ、内科管理から胆嚢の手術まで、その子に必要な対応を選びます。

  • 消化器科
  • 肝臓・胆道

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

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病気の概要

肝臓(かんぞう)と胆道(たんどう=胆汁の通り道と胆嚢)は、消化と全身の健康を支える大切な臓器です。肝臓は、栄養の代謝・有害物質の解毒・胆汁の産生・多くの凝固因子づくりなど、たくさんの役割を担っています。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、予備能力が高いぶん、かなり傷んでも症状が出にくいのが特徴です。そのため、健康診断の血液検査で偶然みつかることも少なくありません。ひとくちに「肝臓・胆道の病気」といっても、原因によって治療がまったく異なるため、「何が起きているのか」を見きわめることが出発点になります。

沈黙の臓器

かなり傷んでも症状が出にくい肝臓の特徴

原因しだい

内科管理から胆嚢の手術まで、治療は大きく異なる

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主な病気

肝臓・胆道の病気にはさまざまなものがあります。代表的なものを紹介します。

犬の慢性肝炎

Chronic Hepatitis

肝臓の炎症・線維化が続き、進むと肝硬変に至る病気です。銅が肝臓に異常にたまるタイプ(銅関連肝炎)が慢性肝炎のおよそ3分の1を占めるとされ、診断・治療には肝生検が重要です。

胆嚢粘液嚢腫

Gallbladder Mucocele

ゼリー状の粘液が胆嚢にたまり、超音波でキウイの断面のような模様にみえる病気です。中高齢の犬に多く、進むと胆嚢が破れて命に関わる腹膜炎を起こすため、症状がある場合は胆嚢の摘出手術が第一選択になります。

胆泥症

Biliary Sludge

胆嚢の中に泥のような濃い胆汁がたまった状態です。多くは無症状で偶然みつかり、経過観察や利胆薬で管理します。背景に胆嚢の動きの低下があることもあります。

猫の胆管炎

Feline Cholangitis

猫でもっとも多い肝臓の炎症性の病気です。細菌感染による好中球性(抗菌薬で治療)と、免疫が関わるリンパ球性(免疫を抑える治療)があり、タイプによって治療が異なります。膵炎・腸炎と同時に起こる「三臓器炎」もみられます。

肝リピドーシス(脂肪肝)

Feline Hepatic Lipidosis

猫に特徴的な病気で、食欲不振・絶食をきっかけに肝臓へ脂肪がたまり、急速に肝機能が低下します。無治療では命に関わりますが、早くから十分な栄養を入れれば回復が期待できます。食べない猫を放置しないことが何より大切です。

門脈体循環シャント

Portosystemic Shunt

血液が肝臓を通らずに全身へ回ってしまう異常な血管です。解毒されないアンモニアなどが脳に影響し、肝性脳症(ぼんやり・ふらつき・発作)を起こします。若い小型犬・猫に多く、外科的な治療を検討します。

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症状・サイン

肝臓・胆道の病気の症状は非特異的で、ほかの病気とも重なります。次のようなサインに気づいたら、ご相談ください。

  • 食欲がない・元気がない(とくに猫の食欲不振は要注意
  • 嘔吐・下痢
  • 黄疸——白目・歯ぐき・皮膚・耳が黄色い、尿が濃いオレンジ色
  • 水をよく飲む・おしっこが多い
  • お腹が張る(腹水)・体重が減る
  • 便の色が白っぽい、または黒いタール状
  • ぼんやりする・ふらつく・旋回する・発作(肝性脳症の可能性・緊急)

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診断・検査

「肝臓・胆道に問題があるか」「どれだけ働けているか」「原因は何か」を、順に確かめます。

血液検査(肝酵素・ビリルビン)

ALT・ASTは肝細胞の傷害を、ALP・GGTは胆汁のうっ滞(胆道系の障害)を反映します。ビリルビンは黄疸の程度をみます。ただしこれらは「傷害の有無」を示すものです。

肝機能検査(胆汁酸・アンモニア)

肝臓が実際にどれだけ働けているかを評価します。とくに門脈シャントや肝機能低下の判断に役立ちます。

腹部超音波検査

胆嚢(キウイ様=粘液嚢腫、胆泥、壁の厚み)・胆管の詰まり・肝臓の状態を、無麻酔・低侵襲で評価します。第一選択の画像検査です。

細胞診・肝生検(必要に応じて)

慢性肝炎の病型や銅の蓄積、胆管炎のタイプを確定するには組織の検査が必要です。生検の前には、出血に備えて凝固の検査を行います。細菌性の胆管炎では胆汁の培養も行います。

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治療

肝臓・胆道の病気は、原因・病型によって治療がまったく異なります。だからこそ、正確な診断が治療選択の前提になります。

胆嚢粘液嚢腫:胆嚢の摘出(手術)

症状がある・破裂・胆道の閉塞を伴う場合は、胆嚢を摘出する手術が第一選択です。早く手術できるほど予後が良好です。初期・無症状なら内科管理で経過をみることもあります。

肝リピドーシス:栄養管理が中心

治療の柱は早期からの十分な栄養です。鼻や食道の栄養チューブで高たんぱく・高カロリーの食事を与え、回復を支えます。基礎疾患の治療も並行します。

猫の胆管炎:タイプ別の治療

細菌性(好中球性)は抗菌薬、免疫が関わる(リンパ球性)は免疫を抑える薬で治療します。三臓器炎では膵炎・腸炎もあわせて管理します。

犬の慢性肝炎:原因に応じた管理

銅が関わる場合は銅を減らす治療と食事管理、免疫が関わる場合は免疫を抑える治療を行います。腹水や門脈圧の対症療法も加えます。

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ご家庭でできること

  • 食欲の変化を見逃さない……食欲不振・元気消失・体重減少は、肝臓・胆道の病気の初期サインです。とくに猫の「食べない」は放置しないでください。
  • 黄疸・尿や便の色に気づく……歯ぐきや白目の黄ばみ、濃いオレンジ色の尿、白っぽい・黒い便は受診の合図です。
  • 神経症状はすぐに受診……ぼんやり・ふらつき・旋回・発作は、肝性脳症の可能性があり緊急です。
  • 適正体重を保つ……肥満は脂肪肝などのリスクです。ただし急激な絶食ダイエットは逆に危険なので避けてください。
  • 診断後の管理を根気よく……処方食・投薬・栄養チューブでの給餌など、指示された管理を続けることが回復の鍵です。
療法食とは何か・なぜ獣医師の指導が要るのかを見る

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予後

予後は病気によって大きく異なります。胆嚢粘液嚢腫は早期に手術できれば予後良好ですが、破裂してからでは厳しくなります。肝リピドーシスは命に関わる病気ですが、早くから栄養をしっかり入れれば多くが回復します。慢性肝炎は、進行してから見つかると難しい一方、早期発見・原因治療で長く管理できます。

いずれの病気も、共通して大切なのは「早く気づいて、原因を見きわめること」です。当院は、肝酵素の数値ひとつをきっかけに、その奥にある原因まで丁寧に見にいくことを大切にしています。気になるサインや健診の異常があれば、どうぞご相談ください。

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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

健康診断で「肝臓の数値が高い」と言われました。すぐ治療が必要ですか?
肝酵素(ALT・ALPなど)の上昇は「肝臓に何らかの負担・傷害がある」ことを示しますが、その高さがそのまま重症度や肝機能の低下を意味するわけではありません。ステロイドや他の臓器の病気で上がることもあります。大切なのは、原因を確かめることです。胆汁酸やアンモニアで肝臓の「働き」を評価し、超音波で胆嚢や肝臓の形をみて、経過観察でよいのか治療が必要なのかを見きわめます。数値だけで慌てず、まずご相談ください。
猫が数日ごはんを食べていません。様子を見てもいいですか?
様子を見すぎないでください。猫は数日の絶食が続くと、肝臓に脂肪がたまって働かなくなる「肝リピドーシス(脂肪肝)」という重い病気を招くことがあります。とくに太り気味の猫で、ストレスや別の病気をきっかけに食べなくなると急速に進みます。無治療では命に関わる一方、早くから十分な栄養を入れれば回復が期待できる病気です。丸一日以上食べないときは、早めに受診してください。
胆嚢の「粘液嚢腫」と言われました。手術が必要ですか?
胆嚢粘液嚢腫は、ゼリー状の粘液が胆嚢にたまって詰まる病気で、進むと胆嚢が破れて命に関わる腹膜炎を起こす危険があります。症状がある場合や、破裂・胆道の閉塞を伴う場合は、胆嚢を摘出する手術が第一選択で、早く手術できるほど予後が良好です。一方、症状がなく初期の場合は、利胆薬などで内科的に管理しながら経過をみることもあります。超音波の所見と全身状態から、その子に合った方針をご提案します。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。