今日受診すべきか、様子を見てよいか
足を引きずるとき、いちばん知りたいのは「いま連れて行くべきか」だと思います。目安をお示しします。
| こんなとき | どうしていただきたいか |
|---|---|
| 急に後ろ足が両方とも動かない・立てない | すぐにお電話ください。背骨の問題のことがあり、時間が予後を左右します |
| 足が地面に着かない、ぶらぶらしている | その日のうちに受診してください |
| 腫れている・熱を持っている・形がふだんと違う | その日のうちに受診してください |
| 高いところから落ちた、ぶつけた、挟んだあと | 歩けていてもその日のうちにご相談ください |
| 数日〜1週間、軽く引きずるのが続いている | ご予約のうえ受診してください |
| 走ったあとだけ、少し引きずるがすぐ戻る | 記録して、くり返すなら受診してください |
まず見ていただきたい4つのこと
診察でいちばん役に立つのは、ご家族が見ている情報です。
- どの足か — 前か後ろか、左右どちらか。分かりにくいときは、歩いているところを後ろから見ると、沈む側の足が分かりやすくなります
- いつからか、どんなときか — 朝起きたとき/散歩のあと/ずっと。動きはじめだけ硬いのか、動くほど悪くなるのか
- 痛がるか — 触ると嫌がる、抱っこを嫌がる、鳴く。痛がらなくても病気でないとは限りません
- 見た目の変化 — 腫れ、熱っぽさ、爪の割れ、肉球の傷、脚の形
年齢と犬種で、疑うものが変わります
同じ「足を引きずる」でも、その子の年齢と体格で、まず考えるものが変わります。
成長期の小型犬 膝のお皿がずれる膝蓋骨脱臼、股関節の骨頭が壊れるレッグ・カルベ・ペルテス病、そして骨折。ソファからの飛び降りや抱っこからの落下でも前脚は折れます。
若い〜成犬の中型・大型犬 膝の前十字靭帯断裂、股関節形成不全。前十字靭帯は「走っていて急に足を上げた」という形で始まることがあります。
シニア 変形性関節症が増えます。「散歩を嫌がる」「立ち上がりが遅い」という形で出るため、年のせいと思われがちです。骨の腫瘍が跛行で見つかることもあります。
猫 猫は痛みを隠すのが上手で、引きずる姿を見せないまま、高いところに登らなくなる・毛づくろいが減るといった形で現れることがあります。関節炎は猫にも多い病気です。若いオス猫が思い当たる外傷なく急に後ろ足を痛がるときは、猫特有の大腿骨頭すべり症も疑います。猫の後ろ足の痛みについては猫の股関節の病気もご覧ください。
やらないでいただきたいこと
- 揉んだり、伸ばしたりしない — 骨折や靭帯の損傷があるときは悪化させます
- 「様子を見る」をくり返さない — とくに小型犬の前脚の骨折や、膝蓋骨脱臼は、時間が経つほど治療が難しくなります
- 叱らない — 歩かない・動かないのは、わがままではなく痛みです
受診したら、何をするか
まず触診を行います。どの関節に痛みがあるのか、どの方向に動かすと嫌がるのか、関節がぐらついていないか。画像だけでは分からないことを、手で確かめます。
そのうえで必要に応じてレントゲン検査を行い、骨や関節の形を確認します。背骨の問題が疑われるときや、複雑な骨折では、CT・MRIによる精密検査を提携施設にご紹介することがあります。
すべての跛行に手術が必要なわけではありません。安静と痛み止めで良くなるもの、体重管理と生活の工夫で楽になるものも多くあります。手術をする場合も、しない場合も、なぜそう考えるのかを必ずご説明します。
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