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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

OSTEOARTHRITIS

犬・猫の変形性関節症(関節炎)

少しずつ関節がすり減り、慢性の痛みを起こすシニアに多い疾患

「散歩に行きたがらない」「立ち上がりが遅くなった」「高い所に登らなくなった」——それは変形性関節症(関節炎)の痛みのサインかもしれません。加齢とともに関節の軟骨がすり減って起こる、犬にも猫にも非常に多い病気です。完治は難しい疾患ですが、痛みをしっかり管理することで、その子らしい毎日を長く支えることができます。

  • 整形外科
  • シニアに多い

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

とくに気をつけたい犬種・猫種

好発(かかりやすい傾向)が知られている犬種・猫種です。必ずかかるわけではありません。

01

病気の概要

変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう、Osteoarthritis:OA)は、関節のクッションである軟骨が少しずつすり減り、関節に慢性的な炎症と痛みが起こる病気です。「関節炎」「変性性関節疾患(DJD)」とも呼ばれます。

一度すり減った軟骨は元には戻らず、進行すると関節の変形(骨の増殖=骨棘)が進みます。犬では肘・膝・股関節に、猫では肘・股関節・膝などに多くみられます。加齢にともなって非常に多くなる病気で、とくにシニア期の犬と猫では、痛みに気づかれないまま進んでいることが少なくありません

大切なのは、「完治させる」病気ではなく、「痛みを管理して、快適に過ごせる状態を長く保つ」病気だと理解することです。近年は月1回の注射薬など、痛みを抑える選択肢が大きく広がっています。

02

関節で何が起きているのか

健康な関節では、骨の表面をなめらかな軟骨が覆い、関節液がクッション兼潤滑油の役割をしています。変形性関節症では、この軟骨がすり減ることで次のような悪循環が起こります。

きっかけ

軟骨のすり減り

加齢・肥満・関節への慢性的な負担や、もともとの関節疾患(下記)をきっかけに軟骨がすり減る。

進行

炎症と痛み・骨の変化

すり減った関節に炎症が起き、痛みが出る。関節のふちに骨のトゲ(骨棘)ができ、関節が変形していく。

結果

動かなくなり、さらに悪化

痛みで動かなくなると筋肉が落ち、関節を支える力が弱まってさらに負担が増える——という悪循環に。

関連ページ:股関節形成不全膝蓋骨脱臼(パテラ)前十字靭帯断裂

03

症状・サイン ― 犬と猫で違います

痛みのサインは犬と猫で大きく異なります。とくに猫は痛みを隠すのが上手で、「跛行(足を引きずる)」がはっきり出ないことが多いため、生活の中の小さな変化に気づくことが早期発見の鍵になります。

犬に多いサイン

  • 散歩に行きたがらない・すぐ疲れる
  • 立ち上がりや歩き出しが遅い・こわばる
  • 階段・段差・車の乗り降りをいやがる
  • 足を引きずる、かばう(跛行)
  • 触られるのをいやがる、元気・食欲の低下
  • 寒い日・朝に症状が強い

猫に多いサイン(気づきにくい)

  • 高い所へ登らなくなった・ジャンプをためらう
  • 毛づくろいが減り、毛並みが乱れる
  • 爪とぎや遊びが減る、寝ている時間が増える
  • トイレの出入りや排泄姿勢をつらそうにする
  • 触ると怒る・隠れる・性格が変わったように見える

04

好発・リスク因子

  • 加齢(シニア期にかけて増える)
  • 肥満・体重過多(関節への負担が増え、炎症を助長する)
  • もともとの関節疾患(股関節形成不全・膝蓋骨脱臼・前十字靭帯断裂 など)
  • 関節の骨折・外傷・脱臼の既往
  • 大型犬・活動性の高い犬(関節への負荷)
  • 遺伝的な素因・体格

05

診断・検査

痛みの評価と、関節の状態の確認を組み合わせて診断します。猫では、おうちでの様子(動画)がとても参考になります。

STEP 1

問診・生活の変化の聞き取り

いつから・どんな動きが変わったかを伺います。ご自宅での歩行・ジャンプの動画があると診断に役立ちます。

STEP 2

歩様の評価・整形外科的な触診

歩き方や、関節の痛み・腫れ・可動域・軋みなどを確認します。

STEP 3

レントゲン検査

関節のすき間の狭まり・骨棘・骨の変化などを評価します。痛みの程度とレントゲン所見は必ずしも一致しません。

STEP 4

必要に応じて追加の検査

他の病気の除外や、治療(お薬)の前の全身状態の確認のため、血液検査などを行うことがあります。

06

治療の考え方 ― 「完治」ではなく「痛みの管理」

変形性関節症は、基本的に手術で治す病気ではなく、痛みをコントロールしながら付き合っていく病気です。当院では、その子の状態・年齢・生活・ご家族の負担を考え、いくつかの方法を組み合わせる**多角的な痛みの管理(マルチモーダル)**を行います。

目標は、痛みを和らげて活動性を取り戻し、その子とご家族が快適に過ごせる毎日を長く保つこと。そのために、次のページで解説する新しい注射薬(リブレラ・ソレンシア)を軸に、体重管理・お薬・リハビリ・環境整備を組み合わせていきます。

07

痛みを抑える新しい注射薬 ― リブレラ(犬)・ソレンシア(猫)

近年、変形性関節症の痛みの治療は大きく変わりました。その中心が、抗NGF(神経成長因子)モノクローナル抗体という新しいタイプのお薬です。日本では2022年に承認され、**犬用が「リブレラ」、猫用が「ソレンシア」**として使われています。

リブレラ(犬用)

Librela / bedinvetmab

犬の変形性関節症の痛みに対する、月1回の皮下注射。犬のタンパク質から作られた抗NGFモノクローナル抗体です。

ソレンシア(猫用)

Solensia / frunevetmab

猫の変形性関節症の痛みに対する、月1回の皮下注射。猫用に最適化された抗NGFモノクローナル抗体で、国際的なガイドラインでも猫のOA疼痛の主要な治療として位置づけられています。

どうやって痛みを抑えるのか

関節の痛みには、NGF(神経成長因子)という物質が深く関わっています。リブレラ・ソレンシアは、このNGFに結合して痛みの信号が脳へ伝わるのを抑えることで、関節の痛みを和らげます。従来の消炎鎮痛薬とは、まったく異なる仕組みで働きます。

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多角的な痛みの管理

注射薬だけに頼るのではなく、次のような取り組みを組み合わせることで、より良い状態を長く保てます。とくに体重管理は、薬に匹敵するほど効果が確かです。

体重管理(最重要)

太りすぎは関節への負担と炎症を大きくします。適正体重に近づけるだけで痛みが和らぐことがあり、お薬の量を減らせることもあります。無理のない減量計画を一緒に立てます。

お薬(内服・その他)

消炎鎮痛薬(NSAIDsなど)や、痛みの伝わり方に働きかける補助的なお薬を、その子に合わせて使います。種類・量・組み合わせは、持病や体の状態を診て獣医師が判断します。

サプリメント・食事

オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は関節の炎症をやわらげ、荷重の改善に役立つことが示されています。関節ケアを配合した療法食や、グルコサミン等のサプリを補助的に用います。

リハビリ・環境整備

無理のない運動や理学療法(水中トレッドミル等)で、関節を支える筋肉を保ちます。滑らない床・段差の解消・低いトイレや踏み台など、暮らしの工夫も痛みを大きく減らします。

09

予後・ご家庭でできること

変形性関節症は慢性の病気ですが、適切な痛みの管理を続けることで、多くの子が活動性と生活の質を取り戻します。痛みの管理は「続けること」が力になります。定期的に状態を評価し、その時々に合った方法へ調整していきます。

「年のせいかな」と思っていた動きの変化が、治療で見違えるように変わることは少なくありません。犬も猫も、そしてシニアの子も、痛みを和らげる選択肢があります。その子とご家族が幸せに過ごせることを目標に、選択肢を一緒に考えます。

10

さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

コラム:シニア期の関節ケアについて読む

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Q&A

よくあるご質問

年のせいで動かないだけだと思っていました。治療する意味はありますか?
あります。「年だから仕方ない」と見えている動きの変化の多くは、実は関節の“痛み”が原因です。痛みは我慢の問題ではなく、適切に和らげることで活動性・食欲・睡眠・気持ちまで改善することが少なくありません。変形性関節症は完治を目指す病気ではありませんが、痛みを管理することで生活の質を大きく取り戻せます。何歳からでも取り組む価値があります。
リブレラ・ソレンシアはどんな薬ですか?飲み薬と何が違いますか?
どちらも「抗NGF(神経成長因子)モノクローナル抗体」という新しいタイプの痛みの治療薬で、犬用がリブレラ、猫用がソレンシアです。月に1回、動物病院で皮下注射します。従来の飲み薬(消炎鎮痛薬)とは作用のしくみが異なり、肝臓・腎臓・胃腸への負担が比較的少ないとされ、毎日の投薬が難しい子や、内臓に配慮したい子にも使いやすいのが特長です。効果を実感できるまで数週間かかることがあります。
一度始めたら、ずっと続けないといけませんか?
変形性関節症は慢性の病気のため、痛みの管理は継続が基本になります。ただし、体重管理・リハビリ・環境整備を組み合わせることで、お薬の量や頻度を抑えられることもあります。その子の状態を定期的に評価しながら、無理なく続けられる方法を一緒に組み立てます。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。