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OSTEOSARCOMA

犬の骨肉腫

「足を痛がる」の陰にある、痛みと転移の病気。だから、痛みを取ることと、全身をみることを同時に考えます。

骨肉腫は、犬でもっとも多い原発性の骨のがんです。大型・超大型犬の四肢に多く、強い痛みを伴います。そしてもうひとつの本質が、見つかった時点で多くがすでに目に見えない転移を抱えているということ。だからこそ、痛みをしっかり取ることと、全身をみて治療を組み立てることを、同時に大切にします。

  • 腫瘍科
  • 整形外科

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

とくに気をつけたい犬種・猫種

好発(かかりやすい傾向)が知られている犬種・猫種です。必ずかかるわけではありません。

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病気の概要

骨肉腫(osteosarcoma)は、骨そのものから発生する悪性腫瘍で、犬の原発性骨腫瘍でもっとも多いタイプです(報告では骨腫瘍の8割以上)。大型・超大型犬の四肢に多く発生し、骨を内側から破壊しながら増えていきます。

好発する場所には特徴があり、前あしの手首の上・肩、後ろあしの膝まわり(橈骨遠位・上腕骨近位・大腿骨遠位・脛骨近位)に集中します。英語圏では「肘から離れ、膝に向かう」という言い回しで覚えられている、古典的な好発部位のパターンです。

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この病気の“本質” ― 痛みと、見えない転移

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好発 ― どんな子に多いか

  • 大型・超大型犬の中〜高齢に多く発生します。体格(体重)との関連が指摘されています。
  • 一部の犬種(スコティッシュ・ディアハウンド、ロットワイラーなど)でリスクが高いとの報告があります。
  • 若い年齢での発症は、予後がやや厳しい要因のひとつとされています。

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症状・気づきのサイン

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診断・検査

STEP 1

X線検査

患部の骨を撮影します。骨が溶ける像(骨融解)と、骨が増える像(骨増生)が混じるのが特徴で、骨膜反応と呼ばれる像がみられることもあります。好発部位と合わせて骨肉腫を強く疑います。

STEP 2

生検・病理検査

確定診断には、骨の組織を採って調べる生検が欠かせません。似た見た目のほかの病気(感染・別の腫瘍)と区別します。

STEP 3

全身評価・ステージング

血液検査(ALPなど)に加え、胸部の画像で肺への転移を確認します。詳しい評価やCTが必要な場合は提携施設をご紹介します。

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治療

骨肉腫の治療では、痛みをしっかり取ることを最優先にしながら、局所(足)の制御全身への治療(化学療法)を組み合わせて考えます。どの組み合わせを選ぶかは、その子の状態とご家族の希望によって変わります。

疼痛管理(すべての土台)

骨肉腫の痛みは強いため、痛みをやわらげることを最優先にします。どの治療方針を選んでも、痛みへの対応は欠かせません。

局所の制御 ― 手術・放射線

痛みの原因である病変への対応として、断脚(足の切断)のほか、患肢を残す手術放射線(痛みをやわらげる緩和放射線を含む)があります。放射線は提携施設をご紹介します。

補助化学療法(生存を延ばす鍵)

見えない転移を抑えるため、局所治療に化学療法(プラチナ系など)を組み合わせます。手術単独より生存期間が延びることが一貫して報告されています。

緩和ケア(穏やかに過ごす選択)

積極的な治療を行わず、痛み止め・ビスホスホネート・緩和放射線などで痛みをやわらげ、穏やかに過ごすことを選ぶこともできます。その選択も尊重します。

化学療法(抗がん剤治療)の総論を読む

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治療計画の考え方と予後

見通しを左右する主な要素は次のとおりです(いずれも報告による傾向で、個体差があります)。

  • 血清ALP(アルカリフォスファターゼ)の値——高いほど予後がやや厳しい
  • 発生部位(上腕骨近位や体軸〈頭部・体幹〉の発生はより慎重に)
  • 腫瘍の大きさ・転移の有無・年齢

治療はゴールではなくスタートです。手術後・治療後も、痛みの管理と定期的な胸部の評価(転移のチェック)を続け、その時々でいちばん良い過ごし方へ調整していきます。

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猫の骨肉腫について

猫の骨肉腫は、犬とは経過が異なります。犬にくらべて転移が遅く、転移する割合も低い(報告では1割未満)とされます。そのため、患部を切除する手術(断脚など)だけでも比較的良好な経過が得られることが多く、犬ほど化学療法が必須とはされていません。診断がついたら、その子に合った方針をご提案します。

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ご家庭でのケアと、当院の考え方

骨肉腫は、痛みと転移という重い課題を抱える病気です。それでも、できることは決して少なくありません。痛みを取り、その子らしい時間を守るために——年齢・費用・全身状態、どんな壁があっても、その子に何ができるかをご家族と一緒にもう一度考えます。「治すこと」だけを見つめるのではなく、その子とご家族が穏やかに、幸せに過ごせることを目標に、選択肢を一緒に探します。足の痛みが気になったら、どうか早めにご相談ください。

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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

大型犬が急に足を痛がります。骨肉腫のような重い病気の可能性もありますか。
可能性のひとつとして念頭に置く価値があります。骨肉腫は大型・超大型犬の四肢(前あしの手首の上、肩、後ろあしの膝まわりなど)に多く、しつこい跛行や、患部の腫れ・強い痛みで気づかれます。もちろん足の痛みの多くは骨肉腫ではありませんが、大型犬・中高齢で、片方の決まった場所を痛がり、腫れてきた——という場合は、X線検査で骨の状態を確認する意味があります。まずはご相談ください。早く見極めるほど、痛みへの対応も治療の選択肢も広がります。
レントゲンで転移がないと言われました。それなら安心してよいですか。
残念ながら、それだけでは安心とは言えません。骨肉腫は転移しやすいがんで、診断の時点でレントゲンに写る転移がなくても、報告では9割以上の子にすでに目に見えない微小な転移が存在するとされています。これが、局所(足)の治療だけでは不十分で、全身に効く化学療法を組み合わせる理由です。逆に言えば、だからこそ早期の全身評価と、その子に合った治療計画づくりが大切になります。
断脚(足の切断)はかわいそうで踏み切れません。ほかに方法はありますか。
断脚は選択肢のひとつであって、唯一の正解ではありません。骨肉腫の強い痛みを取り、体重をかけられる足の問題を解決する方法として断脚が選ばれることは多いですが、患肢を残す手術や放射線(痛みをやわらげる緩和放射線を含む)、そして手術を行わず痛み止めなどで穏やかに過ごす緩和ケアも、大切な選択肢です。多くの犬は三本足での生活に驚くほどよく順応しますが、その判断はご家族のお気持ちとその子の状態しだいです。それぞれで予想される経過を正直にお伝えし、一緒に決めます。
手術をしても、結局どのくらいの時間が残されているのですか。
治療によって大きく変わります。報告では、痛みへの対応をしない場合の見通しは限られますが、局所の治療(断脚など)に化学療法を組み合わせると、生存期間が延びることが一貫して示されています。ただし数字はあくまで集団の目安で、その子の状態・腫瘍の部位・検査値(ALPなど)によって幅があります。私たちが大切にしているのは、残された時間の「長さ」だけでなく「質」——痛みなく、その子らしく過ごせる時間をどう最大化するか、です。
猫にも骨肉腫はありますか。犬と同じように怖い病気ですか。
猫にも骨肉腫はありますが、犬とは経過が異なります。猫の骨肉腫は、犬にくらべて転移が遅く、報告では転移する割合も低いとされています。そのため、患部を切除する手術(断脚など)だけでも比較的良好な経過が得られることが多く、犬ほど化学療法が必須とはされていません。もちろん個体差はありますので、診断がついたら、その子に合った方針をご提案します。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。