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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

PNEUMONIA

犬・猫の肺炎

湿った咳と発熱、そして「食べない」。肺炎は、治せる病気です。

肺炎は、肺そのものに炎症が起きる病気です。犬や猫では、細菌の感染だけでなく、食べ物や胃の内容物が気道に入って起こる誤嚥性肺炎がとても多く、その背景には飲み込みの問題や嘔吐が隠れていることがあります。適切な抗菌薬と支持療法で回復が見込める病気である一方、原因を突き止めないと何度でもくり返します。当院は「今の肺炎を治すこと」と「なぜ起きたかを突き止めること」を、いつも同時に進めます。

  • 呼吸器科

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

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病気の概要

肺炎(はいえん、Pneumonia)は、肺そのものに炎症が起き、ガス交換を担う肺胞が分泌物や炎症細胞で埋まってしまう病気です。酸素を取り込む面積が減るため、呼吸が速くなり、咳が出て、元気と食欲が落ちます。

犬と猫の肺炎には、細菌・ウイルス・真菌・寄生虫といった感染によるものと、食べ物や胃の内容物が気道に入って起こる誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)があります。日常の診療でとくに多く出会うのは誤嚥性肺炎で、その背景には飲み込みの問題や嘔吐が隠れていることが少なくありません。

肺炎は、肺に水がたまる肺水腫と同じく「呼吸が速い・咳が出る」というサインで気づかれますが、中身も治療もまったく別の病気です。肺炎は、原因に合った治療を行えば回復が見込める病気——まず、そのことをお伝えしておきます。

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肺炎の分類

原因によって、治療も見通しも変わります。

種類原因特徴
誤嚥性肺炎食べ物・胃の内容物・薬・液体が気道に入る実地でもっとも多い。背景に別の病気が隠れていることが多い
細菌性肺炎細菌の感染単独でも、ウイルス感染に続いても起こる。培養検査で原因菌を確かめたい
ウイルス性肺炎犬ジステンパー・犬インフルエンザ・猫の上部呼吸器感染など二次的な細菌感染を合併しやすい。ワクチンで防げるものがある
真菌性肺炎真菌(カビ)の感染国内では比較的まれ。長引く呼吸器症状で疑われることがある
寄生虫性肺炎肺虫・肺吸虫・フィラリアなど予防薬と糞便検査で見つけ、防げるものが多い
吸入性・化学性煙・刺激性のガス・薬剤火災や事故のあとに起こる。感染ではないため抗菌薬が主役にならない

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誤嚥性肺炎 ― もっとも多く、もっとも「背景」が大切な肺炎

誤嚥(ごえん)は、本来は食道へ行くべきものが気道に入ってしまうことです。入ったものによる化学的な刺激で肺が傷み、そこに細菌が加わって肺炎になります。

誘因になりやすいものを挙げます。

  • 巨大食道症などの食道の病気(食べたものが胃まで運ばれず、逆流する)
  • 喉頭の麻痺、飲み込みに関わる神経・筋肉の病気
  • くり返す嘔吐(消化器の病気、腎臓や内分泌の病気などが背景にあることがある)
  • 麻酔・鎮静からの回復時(気道を守る反射が戻りきっていない時間帯)
  • 無理な強制給餌・シリンジでの投薬・流動食の急な流し込み
  • 意識のもうろうとした状態、けいれん発作のあと
  • 短頭種気道症候群など、もともと気道に負担のある子

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症状・サイン

  • 湿った咳・痰がらみの咳(乾いた咳より、ゴロゴロした音になりやすい)
  • 呼吸が速い、浅い、お腹まで使って苦しそう
  • 発熱(細菌性でみられることが多い。ただし出ないこともある)
  • 元気・食欲がない、ぐったりしている
  • 鼻から膿のような分泌物が出る
  • 運動をいやがる、すぐ疲れる

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診断・検査

胸部レントゲン検査

診断の中心です。肺炎では、肺胞が埋まったことを示す白い影が現れます。誤嚥性肺炎では、重力の影響で前方・下側の肺葉に出やすいという特徴があり、影の分布から誤嚥かどうかの見当をつけられます。治療の効き具合を追う基準にもなります。

気道からの検体採取と培養検査

気管や気管支から検体を採り、顕微鏡で炎症細胞と細菌を確認し、培養で原因菌と効く抗菌薬を調べます。抗菌薬を始める前に採るのが原則です。状態が悪い子では、無理をせず治療を先行させます。

血液検査

炎症の程度、脱水、全身への影響を評価します。敗血症の兆候があるかどうかは、治療の緊急度を左右します。背景疾患を探る手がかりにもなります。

酸素化の評価・背景疾患の検索

パルスオキシメーターなどで酸素の取り込みを確認します。あわせて、誤嚥をくり返している子では食道や飲み込みの評価を行い、「なぜ起きたか」を探ります。

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治療

抗菌薬 ― 培養にもとづいて選ぶ

細菌性の肺炎では治療の柱です。国際的なガイドラインでも、可能な限り培養と感受性の結果にもとづいて選ぶことが推奨されています。全身状態が悪い場合は、結果を待たずに注射で開始し、判明後に切り替えます。

十分な水分 ― 痰をやわらかくする

脱水は気道の分泌物を粘らせ、出しにくくします。点滴や飲水で体の水分を保つことは、それ自体が痰を出すための治療です。

ネブライザー(吸入)とクパージュ

生理食塩水などを霧状にして気道の奥に届け、粘った分泌物をゆるめます。その直後に胸を優しくたたく(クパージュ)ことで、痰の排出を促します。この組み合わせは肺炎の管理にとても有効です。

酸素・入院管理

酸素の取り込みが落ちている子には酸素室での管理を行います。食べられない・脱水が強い・敗血症の兆候があるといった場合は、入院して点滴と注射で立て直します。

抗菌薬の「期間」について

かつては4〜6週間といった長期投与が慣例でしたが、その根拠は乏しいことが国際的なガイドラインで指摘されています。現在は、投与開始から10〜14日ほどで症状・血液検査・レントゲンを見直し、続けるかどうかを判断する考え方が主流です。期間はあらかじめ決まっているのではなく、経過を見て決めるものだとご理解ください。

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ご家庭でのケア

  1. ステップ1ネブライザー(吸入)

    生理食塩水などを霧状にして吸い込ませます。キャリーやケージにチューブを入れて、10〜15分ほど過ごしてもらう形が一般的です。嫌がって暴れる場合は無理をせず、時間を短く区切ってください。

  2. ステップ2クパージュ(胸を優しくたたく)

    吸入の直後に、手のひらを軽くくぼませて胸の両側を ポンポン と軽くたたき、痰の移動を助けます。強くたたく必要はまったくありません。力の入れ方・回数・タイミングは、必ず担当獣医師の指導を受けてから始めてください。

  3. ステップ3無理のない範囲の軽い動き

    寝たきりの時間が長いと分泌物がたまります。体調に応じて、家の中を少し歩く程度の動きを促します。激しい運動や暑い時間帯の散歩は避けてください。

  4. ステップ4食事と姿勢

    食欲が落ちやすい病気です。食べやすい形状・においの立つ温度を工夫します。誤嚥のリスクがある子では、食事の姿勢や与え方を個別にご案内します。

  5. ステップ5悪化のサインを見逃さない

    呼吸数が増える、口を開けて呼吸する、食べなくなる、ぐったりする——このいずれかがあれば、次の予約を待たずにご連絡ください。

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予防

  • 誤嚥を防ぐ:くり返す嘔吐を放置しない。飲み込みに不安のある子は、食事の姿勢・形状・与え方を相談する。薬や流動食を無理に流し込まない
  • ワクチン犬ジステンパーやケンネルコフなど、ワクチンで防げる感染症があります。混合ワクチンの項目と時期をご相談ください
  • 寄生虫の予防:肺に寄生する虫やフィラリアは、通年の予防と定期的な糞便検査で防げます
  • 背景の病気の治療:巨大食道症・喉頭の麻痺・慢性の嘔吐など、誤嚥の土台になる病気の管理が、そのまま肺炎の予防になります
  • 麻酔の前後:絶食の指示を守ること、覚醒時に獣医師の管理下で見守ることが、麻酔にともなう誤嚥を減らします

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予後

適切な治療を行えば、多くの肺炎は回復が見込めます。犬の誤嚥性肺炎88頭を調べた研究では、約8割が退院に至ったと報告されています。

ただし、見通しを左右するのは肺炎そのものより背景にある病気です。巨大食道症や喉頭の麻痺のように誤嚥をくり返す土台があれば、肺炎は治っても再発します。逆に、麻酔からの回復時の一回きりの誤嚥であれば、治療後は元の生活に戻れることがほとんどです。

だからこそ当院は、肺炎の治療と並行して「なぜ起きたか」を必ず探します。その子とご家族が安心して過ごせる状態を目標に、目の前の炎症と、その奥にある理由の両方に向き合います。

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呼吸が苦しいとき、肺炎以外の可能性

「呼吸が速い・苦しそう」というサインは、肺炎以外の病気でも起こります。見た目だけでは区別がつかないため、当院では検査で見極めてから治療を決めます。

当院の診療時間終了後(夜間)に急変した場合は、下記の提携夜間救急病院へ直接ご連絡ください。 昼の休診時間や休診日の日中は、当院で対応できる場合がございますので、まずは当院まで一度ご連絡ください。

当院への電話 03-3788-4688

当院提携の夜間救急病院

※ 記載の対応時間・連絡先は変更される場合があります。受診前に各院の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

肺炎は、自宅のケアだけで治せますか?
自己判断でのケアだけで治すのは難しく、原因に合った治療が必要です。細菌性の肺炎では適切な抗菌薬が治療の柱になり、できれば気道から採った検体の培養検査で原因菌と効く薬を確かめて選びます。そのうえで、霧状のお薬を吸い込むネブライザー(吸入)や、胸を優しくたたいて分泌物の排出を促すクパージュを組み合わせます。この2つはやり方を覚えていただければご家庭でも続けられ、回復を大きく支えます。ただし、始めるかどうか・やり方は必ず担当獣医師にご相談ください。重症例では入院と酸素管理が必要になります。
咳がつらそうです。咳止めをもらえませんか?
肺炎の咳には、原則として咳止めは使いません。肺炎の咳は、肺にたまった分泌物を外へ出すための大切な働きだからです。ここを止めてしまうと分泌物が肺に居座り、かえって治りが遅くなったり悪化したりします。つらそうに見えるお気持ちはよく分かりますが、当院がご提案するのは、咳を止めることではなく、痰を出しやすくすること——十分な水分、ネブライザー、クパージュ、そして無理のない範囲の軽い運動です。ぐったりする・呼吸が速いといった変化があれば、それは咳とは別の問題として早めにご連絡ください。
抗菌薬はどのくらい飲ませますか。途中でやめてもいいですか?
自己判断での中止はしないでください。かつては4〜6週間といった長期投与が慣例でしたが、その根拠は乏しいことが国際的なガイドラインで指摘され、現在は投与開始から10〜14日ほどで、症状・血液検査・レントゲンを見直して続けるかどうかを判断する考え方が主流です。つまり、期間はあらかじめ決まっているのではなく、経過を見て決めるものです。元気になったからと途中でやめると、生き残った菌で再燃したり、薬の効かない菌を育てたりします。飲ませにくい・吐いてしまうといった困りごとがあれば、やめる前にご相談ください。
誤嚥性肺炎をくり返しています。防ぐ方法はありますか?
くり返す誤嚥性肺炎は、「肺炎」ではなく「なぜ誤嚥するのか」を治す問題です。背景には、巨大食道症などの食道の病気、喉頭の麻痺、くり返す嘔吐、神経の病気、麻酔からの回復時の一時的な問題などが隠れていることが多く、そこに手を打たない限り再発します。当院では、肺炎の治療と並行して食道や飲み込みの評価を行い、必要に応じて食事の姿勢・形状・与え方の調整や、背景疾患の治療をご提案します。「また肺炎になった」で終わらせず、そのたびに原因を一段深く探すことが、結局はいちばんの近道です。
人や同居動物にうつりますか?
原因によります。犬のケンネルコフ(犬伝染性呼吸器疾患群)や猫の上部呼吸器感染に続いて起こる肺炎では、原因の病原体が同居動物にうつることがあります。とくに子犬・子猫や高齢の子、免疫が落ちている子では注意が必要です。一方、誤嚥性肺炎はうつる病気ではありません。ヒトへの感染は一般にまれですが、ボルデテラなど一部の菌では、免疫が低下している方への感染が報告されています。同居のご家族に治療中の病気がある場合はお知らせください。診断がついた時点で、隔離が必要かどうかを具体的にお伝えします。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。