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病気の概要
巨大食道症(きょだいしょくどうしょう)は、食道が広がって、食べ物を胃へ送り出す動き(ぜん動)を失ってしまう病気です。飲み込んだ食べ物や水が胃に届かず食道にたまり、やがて口から戻ってきてしまいます。
この「戻し方」は、おなかを使って吐く嘔吐とは異なる「吐出(としゅつ)」で、両者を見分けることが診断の第一歩です。そして最大の問題は、戻したものが気管に入って起こる誤嚥性肺炎——これをどう防ぐかが、この病気の管理の鍵になります。
吐出
嘔吐とは違う、前ぶれのない受動的な「戻し」。見分けが診断の鍵
誤嚥性肺炎
予後を左右する最大の合併症。防ぐことが管理の中心
縦型摂食
立てた姿勢で食べさせる工夫が、逆流と誤嚥を減らす
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「嘔吐」と「吐出」を見分ける
この2つの区別は、巨大食道症を疑ううえでとても重要です。
| 嘔吐(おうと) | 吐出(としゅつ) | |
|---|---|---|
| 前ぶれ | よだれ・落ち着かない・おなかの収縮 | ほとんどない(急にふっと戻る) |
| 力み | おなかの筋肉で勢いよく吐く | 腹圧のいきみがなく受動的 |
| 内容物 | 消化が始まった内容物・胆汁が混じる | 未消化の食べ物・水・泡(唾液)。筒状のことも |
| タイミング | さまざま | 食後などに多い |
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いちばんの脅威 ― 誤嚥性肺炎
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原因 ― 「治せる原因」が隠れていないかを探す
巨大食道症には、原因が特定できない特発性のほか、背景に別の病気が隠れていることがあります。原因によって治療が変わるため、これを探すことが治療の第一歩です。
- 重症筋無力症:神経から筋肉への信号がうまく伝わらなくなる自己免疫の病気。後天性巨大食道症の重要な原因で、これが原因なら治療で改善が期待できます
- ホルモンの病気:甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症(アジソン病)など
- 食道炎・中毒・食道をふさぐ異常など
- 先天性の血管輪異常(若い犬):生まれつき血管の走行異常が食道を締めつけるもの。外科手術で改善が期待できます
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診断
ステップ1:吐出の確認・胸部レントゲン
戻す様子(吐出)と経過をうかがい、胸部レントゲンで食道の拡張と、誤嚥性肺炎の有無を確認します。
ステップ2:背景の病気を探す
重症筋無力症を調べる血液検査(抗体検査)、甲状腺・ホルモンの検査などで、治せる原因がないかを探します。
ステップ3:必要に応じた追加検査
造影検査や内視鏡などで、食道の状態や閉塞の有無を詳しく調べることがあります。
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治療・家庭でのケア
治療は、背景にある病気の治療(重症筋無力症・ホルモン異常・血管輪異常など、原因があればその対応)と、食べさせ方の工夫を組み合わせます。特発性の場合は、後者が管理の中心になります。
誠実にお伝えすると、巨大食道症は、とくに誤嚥性肺炎を繰り返す場合には見通しが厳しいこともある病気です。一方で、治せる原因が見つかった場合や、食べさせ方の工夫がうまくはまった場合には、生活の質を保ちながら過ごせる子もいます。その子に合う方法を、根気強く一緒に探していきます。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 小動物の食道拡張(巨大食道症)/MSD(Merck)獣医マニュアル(英語) — 病態・原因・診断・管理を専門家向けに整理。
- 食道の先天性・遺伝性異常(血管輪異常を含む)/MSD(Merck)獣医マニュアル(英語) — 若齢で外科適応となる血管輪異常などを解説。
- 重症筋無力症/コーネル大学 獣医学部(英語) — 後天性巨大食道症の重要な原因である重症筋無力症を解説。

