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病気の概要
フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊が運ぶ「犬糸状虫(フィラリア)」という細長い寄生虫が、心臓と肺をつなぐ血管(肺動脈)や心臓に住みつく病気です。成虫は最長で30cmほどにもなり、感染した犬では複数〜多数が寄生することもあります。
何年もかけて肺の血管や心臓をむしばみ、進行すると肺高血圧・右心不全を起こして命に関わります。犬では治療も可能ですが体への負担が大きく、毎月の予防でほぼ確実に防げる病気です。
蚊
が媒介する。散歩する子も室内中心の子も感染しうる
月1回
の予防薬を、蚊のシーズンを通じて続けることで防げる
咳
進行すると最初に出やすいサイン。運動をいやがる・失神なども
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どうやって感染するのか
フィラリアは、蚊を介して犬から犬へと運ばれます。感染のしくみを知ると、なぜ「毎月・最後まで」の予防が必要かが見えてきます。
ステップ1:蚊が、感染した犬の血を吸う
フィラリアに感染した犬の血液中には、子虫(ミクロフィラリア)がいます。蚊がその血を吸うと、子虫が蚊の体内に取り込まれます。
ステップ2:蚊の体内で、子虫が感染力をもつ幼虫に育つ
子虫は蚊の体の中で、犬に感染できる段階の幼虫へと成長します。この発育には一定以上の気温が必要で、蚊の活動時期と重なります。
ステップ3:蚊が別の犬を刺し、幼虫が入り込む
その蚊が別の犬を刺すとき、幼虫が犬の体内に入り込みます。幼虫は皮下から筋肉を移動しながら成長します。
ステップ4:数か月かけて、心臓・肺の血管で成虫になる
体内に入った幼虫は、およそ半年かけて肺動脈や心臓へたどり着き、成虫になります。予防薬は、この「成虫になる前の幼虫」を毎月まとめて駆除する仕組みです。
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症状 ― 静かに進み、気づいたときには進行していることも
初期はほとんど症状がありません。虫の数が増え、年月をかけて肺や心臓に負担がかかってくると、次のようなサインが現れます。
- 咳(最も出やすい初期サイン)
- 運動をいやがる・すぐ疲れる・散歩を渋る
- 呼吸が速い・苦しそう
- やせてくる・元気がない
- 進行すると、お腹が水でふくれる(腹水=右心不全のサイン)、失神
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診断
犬のフィラリア症は、猫と違って検査で比較的はっきりと診断できます。
ステップ1:血液検査(成虫抗原・ミクロフィラリア)
成虫がいると出る「抗原」を調べる検査と、血液中の子虫(ミクロフィラリア)を顕微鏡で探す検査を組み合わせます。この2つで、多くの感染を見つけられます。
ステップ2:レントゲン・心臓超音波検査
肺動脈や心臓の変化、肺高血圧や右心不全の程度を評価します。重症度を知り、治療方針を立てるために行います。心臓内に虫の姿が見えることもあります。
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治療 ― できるが、負担の大きい治療です
犬では、猫と違って成虫を駆除する治療(メラルソミンという注射薬による駆虫)が可能です。国際的なガイドライン(米国フィラリア協会:AHS)では、体の中の細菌(ボルバキア)を減らす抗菌薬を先に使い、その後に駆虫の注射を段階的に行う方法が推奨されています。
治療は時間も費用もかかり、犬の体にも負担が大きいものです。だからこそ、「治療できるから大丈夫」ではなく、そもそも感染させないことが、その子にとって最もやさしい選択になります。
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予防 ― 「毎月・忘れず・最後まで」でほぼ確実に防げる
フィラリア症は、正しく予防すればほぼ確実に防げます。予防のポイントは3つです。
① シーズン前に必ず検査
予防を始める前に血液検査を行い、感染していないことを確認します。感染している犬に予防薬を与えると重い反応を起こす危険があるため、この検査は欠かせません。通年予防の場合も、年に1回は検査をおすすめします。
② 蚊のシーズンを通して、毎月
関東では概ね5月ごろ〜12月ごろが予防の目安です。予防薬にはおやつタイプ・錠剤・スポットタイプ・注射など複数あり、続けやすいものを選べます。飲み忘れを防ぐ工夫も一緒に考えます。
③ 蚊が消えても、最後の1回まで
予防薬は「刺された後の幼虫」をまとめて駆除する仕組みのため、蚊がいなくなってからも1か月分を最後まで続けることが重要です。ここを省くと、予防の意味が大きく損なわれます。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 犬のフィラリア症/米国フィラリア協会(American Heartworm Society・英語) — 感染のしくみ・症状・治療・予防を、専門機関がわかりやすく解説。
- フィラリア症診療ガイドライン/CAPC(Companion Animal Parasite Council・英語) — 診断・予防・通年予防の考え方を示した最新の診療指針。
- 犬・猫・フェレットのフィラリア症/MSD(Merck)獣医マニュアル(英語) — 肺動脈を中心とした病態・大静脈症候群・治療を専門家向けに整理。

