糞便検査は、地味に見えて情報量の多い検査です。下痢が続く子で原因を探すときはもちろん、症状のない健康診断でも、思いがけず寄生虫が見つかることがあります。人にうつる種類もあるため、ご家族の健康にも関わる検査です。
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糞便検査で分かること
寄生虫の卵・原虫
回虫・鉤虫・鞭虫・条虫(サナダムシ)などの虫卵や、コクシジウム・ジアルジアといった原虫を探します。下痢の原因としてよくあり、駆虫薬で対応できるものがほとんどです。
消化の状態
未消化の脂肪やでんぷんが多く残っていないかを見ます。消化・吸収がうまくいっているかの手がかりになります。
炎症・出血のサイン
粘液・血液・白血球の有無を確認します。大腸の炎症では、粘液と鮮やかな血が混じることがよくあります。
感染症の抗原
症状によっては、パルボウイルスなどの抗原を調べる検査キットを併用します。急を要する感染かどうかをその場で判断するためです。
どうやって調べるのか
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 直接法 | 便を少量スライドガラスにのせ、そのまま顕微鏡で観察します。動いている原虫や、消化の状態が分かります |
| 浮遊法(集卵法) | 比重の高い液に便を溶かし、浮いてきた虫卵を集めて観察します。少ない虫卵を見つけやすくなります |
| 染色 | 目的に応じて染色し、細菌のバランスや細胞を見やすくします |
| 遺伝子検査(PCR) | ジアルジアなど、顕微鏡では見つけにくい病原体を遺伝子で検出します。外部の検査機関に依頼します |
顕微鏡で見る検査は院内で行い、20分ほどから結果をご説明できます。遺伝子検査は外部委託となり、おおむね1週間程度かかります。
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便の採り方 ― ご家庭での準備
ステップ1:できるだけ新しい便を採ります
理想は当日の朝の便です。時間が経つと虫卵が変形したり、原虫が動かなくなったりして、見つけにくくなります。
ステップ2:親指の先ほどの量で十分です
1〜2cm角ほどあれば検査できます。下痢のときは、いちばん状態の悪い部分を少量お持ちください。
ステップ3:乾かさないように包みます
ラップや密閉できる容器に入れてお持ちください。ティッシュに包むと水分が吸われて乾いてしまいます。土や砂が付かないよう、地面に触れていない部分を採るのが理想です。
ステップ4:すぐに来院できないときは冷蔵庫で
常温で置くと、便の中の細菌が増えて実際とは違う所見になります。冷蔵庫で保管し、当日中にお持ちください。
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人にもうつる寄生虫について
犬や猫の寄生虫の中には、人にも感染するものがあります。過度に心配する必要はありませんが、知っておくと予防ができます。
| 寄生虫 | 人への関わり |
|---|---|
| 犬回虫・猫回虫 | 卵を誤って口にすると、幼虫が体内を移動して症状を起こすこと(トキソカラ症)があります。小さなお子さんでとくに注意が必要です |
| 鉤虫 | 幼虫が皮膚から侵入し、皮膚炎を起こすことがあります |
| ジアルジア | 人にも下痢を起こす原虫です |
| 条虫(瓜実条虫) | ノミを介して感染します。ノミの予防が、そのまま予防になります |
子犬・子猫は、母親から寄生虫を受け継いでいることがよくあります。当院では、お迎え直後の健康チェックで検便をおすすめし、必要に応じて計画的な駆虫を行っています。詳しくは子犬・子猫を迎えた方へをご覧ください。
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結果の見かた ― 検便で気をつけたいこと
「虫卵が見つからなかった」ことは、「寄生虫がいない」ことと同じではありません。前述のとおり、卵の出方には波があるためです。逆に、虫卵が見つかっても、症状がまったくない子もいます。その場合も、ご家族への感染を防ぐ意味で駆虫をおすすめすることがあります。
下痢が続くのに検便で異常が出ないときは、寄生虫以外の原因——食事、炎症性の腸疾患、膵臓や肝臓の病気、腫瘍など——を考え、血液検査や超音波検査へ進みます。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動します。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 消化管内の寄生虫の有無を調べる便検査/IDEXX — 検便で調べる寄生虫の種類と、検査方法・採便のしかたの解説。
- トキソカラ症(幼虫移行症)/東京都獣医師会「人と動物の共通感染症ガイダンス」 — 犬回虫・猫回虫が人に感染したときの病態と予防について、獣医師会がまとめた解説。

