01
病気の概要
犬パルボウイルス感染症は、激しい嘔吐と血の混じった下痢を起こす、命に関わる胃腸の感染症です。ウイルスは腸や骨髄などの細胞分裂が盛んな組織を攻撃するため、とくに成長期の子犬(ワクチン未完了の子)で重症化します。
ウイルスは環境の中でとても長く生き、強い感染力を持ちます。発症すると急速に脱水・ショックへ進みますが、早期からの集中的な治療で多くの子を救え、ワクチンできちんと予防できる病気です。
子犬
とくにワクチン未完了の子犬で重症化しやすい
数か月〜1年
ウイルスが環境中で生き残る期間。強い感染力
75〜90%
集中的な支持療法での救命率(無治療では約1割)
02
感染経路 ― 便を介して、環境から
ステップ1:感染犬の便にウイルスが大量に出る
感染した犬の便には、大量のパルボウイルスが排出されます。
ステップ2:口から入って感染する(糞口感染)
その便やウイルスで汚れたものを口にすることで感染します。地面のにおいを嗅ぐ・なめる子犬は、とくに口に入りやすくなります。
ステップ3:環境・人を介して間接的にも広がる
ウイルスは非常に丈夫で、環境中で数か月〜1年ほど生き残ります。靴・衣服・食器・地面などを介して、間接的に持ち込まれることもあります。
03
主な症状
- 元気消失・食欲低下・発熱(初期)
- 激しい嘔吐
- 生臭いにおいのある、水様〜血の混じった下痢
- 急速な脱水、ぐったりして立てない
- ショック(歯ぐきが白い・体が冷たい・意識がもうろう)
04
診断・治療
診断は、症状に加えて、便中のウイルスを調べる検査(抗原検査)や血液検査(白血球の減少など)で行います。治療は、ウイルスそのものを叩く薬ではなく、体を支えて回復を待つ集中的な支持療法が中心です。
05
予防 ― ワクチンで確実に防げる
パルボウイルス感染症は、ワクチン(犬の中心的なワクチンに含まれます)で確実に予防できる病気です。
子犬のワクチンスケジュール
母乳由来の免疫が残る間はワクチンが効きにくいため、生後6〜8週ごろから始め、3〜4週間隔で16週齢ごろまで複数回接種するのが一般的です。この完了までは、まだ十分な免疫がありません。
接種完了までの過ごし方
ワクチンが完了するまでは、他の犬との接触や不特定多数が集まる場所を避けます。子犬を迎えたら、接種計画とそれまでの過ごし方を一緒に立てましょう。
06
さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 犬のパルボウイルス感染症/コーネル大学 獣医学部(英語) — 感染から治療までを飼い主向けにわかりやすく解説。
- 犬パルボウイルス感染症/ASPCApro(英語) — 疫学・消毒(次亜塩素酸)・多頭環境での管理を整理した専門情報。
- 犬のワクチン接種ガイドライン/WSAVA(世界小動物獣医師会・英語) — パルボを含む中心的ワクチンの接種スケジュールを示した国際的な指針。

