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病気の概要
蛋白漏出性腸症(Protein-Losing Enteropathy:PLE)は、特定の一つの病名ではなく、腸の壁から血液中の大切なタンパク質(とくにアルブミン)が過剰に漏れ出てしまう「状態」を指します。
本来、腸は栄養を吸収する場所ですが、腸に慢性の炎症やリンパの流れの障害があると、逆にタンパク質が腸の中へ漏れ出ていきます。その結果、血液中のタンパク質が不足し(低アルブミン血症)、進行すると血管内に水分を保てなくなって、腹水やむくみが生じます。
体重減少
もっとも一貫してみられるサイン。慢性の下痢を伴うことも
低アルブミン
腸からのタンパク漏れの結果。腹水・むくみの原因に
食事療法
多くの場合、治療の要。とくに低脂肪食が有効なことも
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何が背景にあるのか
PLEは「結果」であり、その裏には腸の病気が隠れています。代表的なのは次のとおりです。
- 慢性腸症(炎症性腸疾患):腸の慢性的な炎症。PLEのもっとも多い背景
- 腸リンパ管拡張症:腸のリンパ管が拡張し、タンパク質を含むリンパ液が漏れ出る。慢性腸症と併存することも多い
- 腸のリンパ腫など(まれ)
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主な症状
- 体重減少(もっとも一貫したサイン)
- 慢性的な下痢、ときどきの嘔吐、元気・食欲の低下
- おなかが水でふくれる(腹水)、手足や顔のむくみ
- 胸に水がたまって呼吸が苦しくなる(胸水)
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診断 ― 「腸からの漏れ」を突きとめる
ステップ1:血液検査で低アルブミン血症を確認
血液中のタンパク質(アルブミンなど)が下がっていないかを調べます。
ステップ2:ほかの原因を除外する
低アルブミン血症は、肝臓の病気や、腎臓からのタンパク漏れ(蛋白尿)でも起こります。これらを検査で一つずつ除外し、「腸からの漏れ」であることを確かめます。
ステップ3:腸で何が起きているかを見きわめる
超音波検査や、最終的には内視鏡・外科による腸の生検(組織検査)で、慢性腸症・腸リンパ管拡張症・腫瘍などのどれが背景にあるかを見きわめます。これが治療方針を決めます。
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治療 ― 食事療法を軸に
PLEの治療は、背景にある病気に応じて組み立てますが、多くの場合「食事療法」が治療の要になります。
食事療法
とくに腸リンパ管拡張症が関わる場合は、脂肪を極力抑えた食事が有効です。消化にやさしく、質の良いタンパク質を含む食事を、その子に合わせて選びます。
炎症を抑える・栄養を補う
炎症が強い場合は免疫を抑える治療を組み合わせます。あわせて、吸収が落ちて不足しがちなビタミンの補給や、腸内環境への配慮を行います。
誠実にお伝えすると、PLEは再発することもあり、経過が厳しい例も一定数ある油断できない病気です。一方で、食事療法がうまくはまり、長くコントロールできる子も多くいます。根気強い管理が実を結ぶ病気であり、その子とご家族が穏やかに過ごせることを目標に、一緒に続けていきます。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 犬の蛋白漏出性腸症の理解/Today's Veterinary Practice(英語) — 定義・診断・治療(食事・免疫・栄養・腸内環境)を体系的に解説。
- 犬のPLEの診断と予後/Clinician's Brief(英語) — 治療の考え方と見通しを専門家向けに整理。
- 腸リンパ管拡張症(蛋白漏出性腸症)/Veterinary Partner(VIN・英語) — 飼い主向けに、しくみとケアをわかりやすく解説。

