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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

THR

全人工股関節置換術(THR)

傷んだ関節を人工関節に置き換え、機能を取り戻す手術

全人工股関節置換術(THR)は、関節炎が進んで傷んだ股関節を、人工のインプラント(受け皿+大腿骨頭)に置き換える手術です。数ある股関節手術のなかで、もっとも「痛みのない、正常に近い歩行」の回復が期待できる方法とされています。

  • 整形外科
  • 手術

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

股関節形成不全そのものの概要・診断・治療全体の考え方については、犬の股関節形成不全のページをご覧ください。このページでは、全人工股関節置換術(THR)の内容と適応について解説します。

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この手術の目的と適応

全人工股関節置換術(Total Hip Replacement:THR)は、関節炎で傷んだ股関節を、人工のインプラント(受け皿側のカップ+大腿骨側のステムと骨頭)にまるごと置き換える手術です。

すり減った関節面や、痛みの原因となっている変形部分を取り除き、なめらかに動く人工関節に置き換えることで、痛みのない、正常に近い歩行の回復を目指します。股関節の手術のなかで、もっとも機能回復が期待できる方法とされています。

主な適応は、股関節形成不全に続発した重度の変形性関節症で、痛みや機能低下が保存療法でコントロールできない成熟犬です。ほかに、レッグ・カルベ・ペルテス病(小型犬でも近年はマイクロ/ナノインプラントでTHRが可能)、整復できない股関節脱臼、大腿骨頭切除術(FHO)の結果に満足できない場合などにも検討されます。

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手術の内容

傷んだ大腿骨頭を切除し、大腿骨の内部にステム(軸)を、骨盤の受け皿にカップを設置して、人工の関節を組み立てます。インプラントの固定には、骨との間をセメントで固める方法と、セメントを使わず骨がインプラントに癒合するのを待つ方法(およびその組み合わせ)があり、症例に応じて選択します。

膝の手術などと違い、関節そのものを新品に置き換えるため、うまくいけば関節炎の痛みから解放され、活動的な生活を取り戻せるのが最大の特長です。

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手術の流れ

  1. ステップ1適応の判断・術前計画

    レントゲンやCTで関節の状態とインプラントのサイズを評価し、適応と計画を立てます。

  2. ステップ2術前検査・手術のご説明(別日)

    麻酔のための術前検査を行い、手術の内容・回復の見通し・合併症についてくわしくご説明します。

  3. ステップ3手術当日:絶食で来院

    当日は食事を抜いてご来院ください(お水は飲ませていただいてかまいません)。

  4. ステップ4手術・麻酔覚醒後にご連絡

    傷んだ関節をインプラントに置き換えます。麻酔から覚めたらお電話でご報告します。

  5. ステップ5入院・退院・抜糸

    数日入院し、状態に応じて退院します。7〜10日ほどで抜糸・再診を行います。

  6. ステップ6術後の運動制限とレントゲン確認

    およそ8週間は運動を制限し、インプラントが安定しているかをレントゲンで確認しながら、段階的に運動を再開します。

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術後の経過とリハビリ

人工関節が体になじみ、周囲の組織が安定するまでの術後およそ8週間の安静がとても重要です。この時期に無理をすると、人工関節の脱臼やインプラントのゆるみといった合併症につながります。

  • 早い時期から足を使い始める子が多いですが、行動範囲は必ず制限します
  • 滑らない床で、リードをつけた短い散歩から少しずつ再開します
  • レントゲンでインプラントの状態を確認しながら、通常の運動へ段階的に戻します

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予後・起こりうる合併症

確立された基準に沿って行われた場合、機能面での成功率は**およそ95%**と高く、術後の生活の質は大きく改善するとされています。一方で、5〜10%程度に合併症が起こり得ます。専門的な設備と豊富な経験を要する手術です。

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Q&A

よくあるご質問

大型犬でないと受けられませんか?
いいえ。もともと大型犬の関節炎に対して発展してきた手術ですが、近年は超小型犬から大型犬まで対応できるサイズのインプラントがあり、体格に応じた選択が可能です。体重よりも、関節炎による痛みや機能低下の程度、全身状態、骨の成長が終わっているか(一般に生後10〜12ヶ月以降)などをふまえて適応を判断します。
両方の股関節が悪い場合はどうしますか?
両側に重度の股関節形成不全がある場合でも、多くはまず状態の悪い側から片方ずつ手術します。片側の回復で反対側の負担が軽くなり、もう片方の手術が不要になる子もいます。両側とも手術が必要な場合は、片側が十分回復してから反対側を行うのが一般的です。その子の状態を見ながら計画します。
手術の成功率や合併症は?
確立された基準に沿って行われた場合、機能面での成功率はおよそ95%と高く、多くの子が痛みのない良好な歩行を取り戻します。一方で合併症が5〜10%程度に起こり得るとされ、代表的なものに人工関節の脱臼・インプラントのゆるみや沈下・骨折・感染・坐骨神経への影響があります。専門的な設備と経験を要する手術です。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。