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3DHIP

3Dプリンター股関節インプラント(3DHIP)

骨を切らずに受け皿を広げる、関節を温存する低侵襲手術

3DHIPは、その子の骨格に合わせて3Dプリンターで作ったチタン製のインプラントを、股関節の受け皿のふち(寛骨臼縁)に「屋根(棚)」のようにかぶせて固定する手術です。骨を切らず、自分の関節を残したまま、ゆるい股関節の被さりを改善します。近年登場した、若齢犬のための新しい選択肢です。

  • 整形外科
  • 手術
  • 関節温存

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

股関節形成不全そのものの概要・診断・治療全体の考え方については、犬の股関節形成不全のページをご覧ください。このページでは、3Dプリンターインプラントによる棚形成術(3DHIP)の内容と適応について解説します。

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この手術の目的と適応

3DHIPは、その子の骨格に合わせて3Dプリンターで作製したチタン製のインプラントを、股関節の受け皿のふち(寛骨臼縁)に「屋根(棚)」のようにかぶせて固定する、比較的新しい手術です(棚形成術)。

目的は、骨を切らず・自分の関節を残したまま、浅くゆるい受け皿の被さりを増やして、大腿骨頭を安定させること。関節のゆるみを抑えて痛みをやわらげ、将来の関節炎の進行を抑えることを目指します。

主な対象は、**股関節にゆるみがあり、まだ関節炎が進んでいない若齢犬(目安としておよそ生後8ヶ月〜2歳)**です。自分の関節を温存できるこの時期に行うことに意味があります。

02

手術の内容

まずCT検査で骨盤と股関節の形を詳しく撮影し、そのデータをもとに、受け皿のふちを最適な形に延長するその子だけのインプラントを設計・作製します(医療用チタン合金を3Dプリンターで成形)。

手術では、設計どおりの位置にインプラントを受け皿のふちにかぶせ、数本のスクリューで固定します。骨を切らずに受け皿の「屋根」を広げることで、大腿骨頭を覆う面積(体重を受ける面)が即座に増え、関節が安定します。関節の動く範囲(可動域)を損なわないように設計されるのも特長です。

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手術の流れ

  1. ステップ1適応の判断・CT撮影

    関節のゆるみ・関節炎の有無を評価し、3DHIPが適しているかを判断します。適応となればCTを撮影します。

  2. ステップ2インプラントの設計・作製

    CTデータをもとに、その子専用のチタン製インプラントを設計し、3Dプリンターで作製します。

  3. ステップ3術前検査・手術のご説明

    麻酔のための術前検査を行い、手術の内容・回復の見通しをくわしくご説明します。

  4. ステップ4手術当日:絶食で来院

    当日は食事を抜いてご来院ください(お水は飲ませていただいてかまいません)。

  5. ステップ5手術・麻酔覚醒後にご連絡

    インプラントを受け皿のふちに固定します。骨を切らないため、比較的低侵襲です。麻酔から覚めたらお電話でご報告します。

  6. ステップ6退院・抜糸・再診

    状態に応じて退院し、7〜10日ほどで抜糸・再診を行います。その後も経過を確認します。

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術後の経過

骨を切らない手術のため、骨盤骨切り術に比べて体への負担が軽く、回復が早い傾向があります。とはいえ、インプラントが骨にしっかりなじむまでは運動の制限が必要です。滑らない床での短い散歩から始め、経過に合わせて少しずつ運動量を増やします。両側に形成不全がある場合、同時に手術できることもあります。

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予後・知っておきたいこと

短期〜中期の報告では、大腿骨頭の被さりの改善・痛みの軽減・速やかな回復が示されており、期待できる新しい選択肢です。一方で、比較的新しい術式のため長期成績の蓄積はこれからの分野であり、すべての症例に適応できるわけではありません。

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Q&A

よくあるご質問

3DHIPは他の手術と何が違いますか?
3DHIPは、骨を切って向きを変える骨盤骨切り術(DPO/TPO)や、関節を人工物に置き換える人工股関節置換術(THR)と違い、骨を切らず・自分の関節を残したまま、受け皿のふちにチタン製の「屋根」をかぶせて被さりを増やす手術です。CT画像からその子専用のインプラントを設計するため適合が良く、低侵襲で回復が早い、両側を同時に行いやすいといった利点があります。
どんな子が対象になりますか?
股関節にゆるみがあり、まだ関節炎が進んでいない若齢犬(目安としておよそ生後8ヶ月〜2歳)が主な対象です。自分の関節を温存できる時期に行うことに意味があります。適応の判断にはCT検査が必要で、その画像をもとにインプラントを一頭ごとに設計します。関節炎が進んでしまった関節には向かないため、早めのご相談が大切です。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。