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JPS

若齢恥骨結合固定術(JPS)

生後まもない子犬にだけ行える、低侵襲な予防的手術

若齢恥骨結合固定術(JPS)は、股関節がゆるく育ちはじめた子犬に対し、骨盤の成長の力を利用して受け皿の被さりを改善する手術です。行えるのは生後およそ12〜20週の限られた時期だけ。早期に見つけられた子だけが選べる選択肢です。

  • 整形外科
  • 手術
  • 子犬

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

股関節形成不全そのものの概要・診断・治療全体の考え方については、犬の股関節形成不全のページをご覧ください。このページでは、若齢恥骨結合固定術(JPS)の内容と、受けられる時期について解説します。

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この手術の目的と適応

JPS(Juvenile Pubic Symphysiodesis)は、股関節がゆるく育ちはじめた子犬に対して行う、予防的な手術です。

目的は、これから続く骨盤の成長を利用して、大腿骨頭に対する受け皿(寛骨臼)の被さりを良くすること。関節がすり減って関節炎になる前に、育ち方そのものを良い方向へ導きます。

適応は、関節のゆるみ(PennHIPの距離指数など)や年齢をもとに慎重に判断します。関節炎の変化がまだ出ていない、軽〜中等度のゆるみをもつ子犬が良い対象とされます。

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手術の内容

骨盤の底で左右の恥骨が出会う「恥骨結合」という成長部分を、電気凝固などで**早期に閉鎖(成長を止める)**します。

すると、恥骨結合が止まった一方で骨盤の他の部分は成長を続けるため、成長にともなって左右の受け皿が内下方へと回転し、大腿骨頭を深く覆うようになります。体の成長する力そのものを使って、かみ合わせを整えていく手術です。

  • 低侵襲:切開が小さく、骨を切って固定するような大きな手術ではありません
  • 手術時間・入院ともに短く、体への負担が比較的軽いのが特長です
  • 去勢・避妊手術と同じくらいの月齢に行えるため、同時に実施できる場合があります

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手術の流れ

  1. ステップ1子犬の股関節スクリーニング・適応の判断

    関節のゆるみ・年齢を評価し、JPSが適しているかを判断します。適応の見極めが結果を大きく左右します。

  2. ステップ2術前検査・手術のご説明

    麻酔をかけるための術前検査を行い、手術の内容と時期についてご説明します。

  3. ステップ3手術当日:絶食で来院

    当日は食事を抜いてご来院ください(お水は飲ませていただいてかまいません)。

  4. ステップ4手術・麻酔覚醒後にご連絡

    低侵襲な手術のため、体への負担は比較的軽く済みます。麻酔から覚めたらお電話でご報告します。

  5. ステップ5退院・抜糸・再診

    状態に応じて退院し、7〜10日ほどで抜糸・再診を行います。その後も成長に合わせて股関節の育ち方を確認します。

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術後の経過

手術そのものの回復は比較的早く、短期間で通常の生活に戻れることが多い手術です。ただし、JPSの本当の効果はその後の骨盤の成長にともなって少しずつ現れます。数ヶ月〜成長が終わるまでの間、レントゲンなどで股関節の育ち方を追っていきます。

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予後・起こりうる合併症

適切な時期・適切な適応で行えた場合、関節炎の進行を抑え、良好な股関節機能が期待できます。低侵襲な手術のため、合併症は比較的少ない術式です。

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Q&A

よくあるご質問

どの時期に受けられますか?
行えるのは生後およそ12〜20週(理想は12〜16週ごろ)の限られた時期だけです。この時期を過ぎると骨盤の成長が進み、手術の効果がほとんど得られなくなります。そのため、素因のある犬種(大型犬など)では、子犬の早い時期に股関節のゆるみをチェックしておくことが、この選択肢を残すうえで重要になります。
手術をすれば股関節形成不全は治りますか?
JPSは「今あるゆるみを治す」手術ではなく、これから続く骨盤の成長を利用して、受け皿の被さりが良くなる方向へ導く予防的な手術です。効果には個体差があり、重度の子では将来的にほかの手術が必要になることもあります。それでも、成長前の早い段階で介入できることに大きな意味があります。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。