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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

CONJUNCTIVITIS

犬と猫の結膜炎

「目が赤い」の奥にある原因を見極めることが、治療の第一歩

「白目が赤い」「目やにが増えた」「目をショボショボさせる」——結膜炎はとても身近な症状ですが、じつは病名というより、さまざまな原因が引き起こす“結果(サイン)”です。犬ではアレルギーや乾き、猫ではウイルスやクラミジアの感染が多く、まれに緑内障など緊急の病気が隠れていることもあります。だからこそ「なぜ赤いのか」を見極めることが、なにより大切です。

  • 眼科

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

01

病気の概要 ― 結膜炎という「結果」

結膜(けつまく)は、白目の表面とまぶたの裏側をおおう、うすくやわらかい膜です。ここに炎症が起きた状態が結膜炎(けつまくえん:Conjunctivitis)で、充血・目やに・まぶたの腫れ・涙の増加・目の不快感などとして現れます。とても身近な症状ですが、大切なのは、結膜炎は多くの原因が引き起こす共通の「結果」だということです。

サイン

結膜炎は診断名ではなく、原因を探すべき手がかり

97%

猫が生涯のうちに猫ヘルペスウイルスに曝露するとされる割合の上限

2

犬(多くはアレルギーや乾き)と猫(多くは感染)で原因の傾向が大きく異なる

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犬の結膜炎 ― 主な原因

犬の結膜炎は、感染そのものより、アレルギーや乾き、刺激、まぶたの形など「感染以外」の原因が背景にあることが多いのが特徴です。細菌感染はしばしば、これらに続いて二次的に起こります。

アレルギー性(アトピー関連)

花粉・ハウスダストなどへのアレルギー反応で結膜が炎症を起こします。アトピー性皮膚炎をもつ犬に多く、目のかゆみでこすって悪化させることも。左右両目に出やすい傾向があります。

乾性角結膜炎(ドライアイ)

涙の量が減って目の表面が乾き、慢性的な結膜炎とねばった目やにを起こします。放置すると角膜まで傷むため、乾性角結膜炎(ドライアイ)そのものの管理が必要です。

異物・刺激・逆さまつ毛

砂やほこり、シャンプー、逆さまつ毛(睫毛異常)などが結膜を刺激します。片目だけ急に涙や目やにが増えたときは、異物が隠れていないか確認します。

まぶたの形の異常

まぶたが内側に巻き込む眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)などがあると、まつ毛や皮膚が目の表面をこすり続け、慢性の結膜炎の原因になります。形の問題は外科で根本的に整えられることがあります。

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猫の結膜炎 ― 感染がとても多い

猫の結膜炎は、犬とは事情が異なり、感染性のものが非常に多いのが特徴です。とくに次の3つの病原体が代表的で、いずれも猫同士でうつります。

病原体特徴
猫ヘルペスウイルス(FHV-1)猫の眼の病気でもっとも多い原因。くしゃみ・鼻水を伴うことが多く、一度感染すると体内に潜伏し、ストレスや体調の変化をきっかけに再発をくり返すのが厄介な点です。
クラミジア(Chlamydia felis)子猫〜若い猫(生後2〜6か月ごろ)に多く、強い結膜の充血・むくみ、第三眼瞼の裏の濾胞(ぶつぶつ)が目立ちます。片目から始まり両目に広がることが典型的です。
マイコプラズマ(Mycoplasma)他の病原体と一緒に関わることが多く、結膜炎を悪化・遷延させる要因になります。

猫ヘルペスウイルスには、生涯のうちにきわめて多くの猫がさらされるとされます。子猫のころにかかって潜伏し、大人になってから再発する——という経過をたどることも珍しくありません。「くり返す猫の結膜炎」の背景には、このウイルスが隠れていることが多いのです。

04

「ただの結膜炎」と決めつけない ― 見分けるべき重要な病気

もっとも大切なことのひとつが、充血=結膜炎とは限らないという点です。目の赤みの奥に、視力に関わる緊急・重要な病気が隠れていることがあります。だからこそ、自己判断で目薬を続けるのではなく、まず原因を確かめる必要があります。

緑内障

Glaucoma

眼圧が上がって視神経を傷つける病気。急性では数時間〜数日で失明することもある「眼の救急」です。片目の急な強い充血・角膜の青白い濁り・痛みは要注意。緑内障は眼圧測定で見分けます。

ぶどう膜炎

Uveitis

目の内部(虹彩など)の炎症。強い充血・まぶしがる・目の濁りを起こし、全身の病気が背景にあることも。ぶどう膜炎は結膜炎と見た目が紛らわしく、対応も大きく異なります。

角膜潰瘍

Corneal Ulcer

黒目(角膜)の表面に傷ができた状態。強い痛みと充血を伴います。角膜潰瘍があるときにステロイド点眼を使うと悪化する危険があり、見分けが安全のうえでも重要です。

05

診断・検査

結膜炎の診療では、「結膜炎かどうか」よりも、「なぜ結膜が炎症しているのか」「隠れた重い病気がないか」を確かめることに重点を置きます。見た目だけでは原因を特定できないため、いくつかの基本検査を組み合わせます。

STEP 1

問診・目の観察

いつから・どちらの目に・くしゃみや鼻水を伴うか・くり返しているか、などを伺い、充血や目やにの様子、まぶたの形を観察します。

STEP 2

重要な病気を除外する3つの検査

涙の量を測るシルマー試験(ドライアイの評価)、角膜の傷を調べるフルオレセイン染色(角膜潰瘍の評価)眼圧測定(緑内障・ぶどう膜炎の評価)で、緊急・重要な病気をまず除外します。

STEP 3

原因を探す検査

異物やまつ毛の異常を確認します。猫で感染が疑われる場合は、結膜の擦過標本の観察や、猫ヘルペスウイルス・クラミジアなどを調べるPCR検査を行うことがあります。

STEP 4

原因に合わせた治療方針を決める

検査結果をもとに、原因別の治療を組み立てます。くり返す場合は、根っこにある原因(アレルギー・乾き・潜伏感染など)への対策まで一緒に考えます。

06

治療・管理

結膜炎の治療でもっとも大切なのは、原因に合わせて選ぶことです。「結膜炎の目薬」という単一の薬があるわけではなく、原因が違えば使う薬も対策もまったく変わります。

  1. ステップ1原因を取り除く・整える

    異物は取り除き、逆さまつ毛やまぶたの形の異常があれば、その治療を検討します。アレルギーや乾性角結膜炎など、背景にある病気の管理を並行して行います。

  2. ステップ2安全を確かめてから点眼を選ぶ

    角膜に傷(角膜潰瘍)がないかを必ず確かめます。角膜潰瘍があるときにステロイド点眼を使うと傷を悪化させる危険があるため、傷の有無に応じて安全な点眼を選びます。この見極めが、自己判断の点眼を避けていただきたい大きな理由です。

  3. ステップ3猫の感染性結膜炎への対応

    猫ヘルペスウイルスには抗ウイルスの考え方、クラミジアやマイコプラズマには抗菌薬(テトラサイクリン系など)の考え方で対応します。クラミジアでは同居猫もあわせて治療し、再発をくり返す潜伏感染にはストレスや体調の管理も重要です。使用する薬剤や量はその子の状態に応じて個別に判断しますので、具体的な内容は担当獣医師にご確認ください。

  4. ステップ4くり返さないための土台づくり

    その都度の目薬で終わらせず、なぜ繰り返すのか(アレルギー・乾き・潜伏感染など)を見きわめ、再発を減らす生活の工夫まで一緒に考えます。

07

ご家庭での注意と「うつるかどうか」

結膜炎は身近な症状だからこそ、ご家庭での見守りと衛生がとても役立ちます。「うつるのか」というご心配にも、正しく知っておくと落ち着いて対応できます。

心がけたいこと

  • ふだんから左右の目を見比べ、色・目やに・大きさの違いに気づけるようにする
  • 猫の多頭飼育では、症状のある子の食器やタオルを分け、こまめに手を洗う
  • 目やにを触ったら手を洗い、目をこすらない(人への感染はまれですが衛生は大切)
  • くしゃみ・鼻水を伴う・くり返す・片目だけ強い——そんなときは早めに相談する

避けたいこと

  • 原因を確かめないまま、市販の目薬(人用など)を自己判断で使う
  • 「片目の急な充血・強い痛み・見え方の変化」を数日様子見する
  • 子猫の閉じたまぶたを無理にこじ開ける

「目が赤いだけ」という段階でのご相談も歓迎です。結膜炎は、その奥にある原因を見つけられれば、多くはしっかり管理できる症状です。その子とご家族が幸せに過ごせることを目標に、原因からていねいに向き合います。

08

さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

関連:犬と猫の緑内障について(充血の奥に隠れる緊急疾患) 眼科診療のご案内を見る

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Q&A

よくあるご質問

猫の結膜炎は、ほかの猫にうつりますか?
猫の結膜炎は感染性のものがとても多く、原因によっては他の猫にうつります。とくに猫ヘルペスウイルス(FHV-1)・クラミジア(Chlamydia felis)・マイコプラズマは、目やに・くしゃみ・鼻水を介して猫同士で広がります。多頭飼育では、症状のある子の食器やタオルを分ける、こまめに手を洗う、新入り猫は数日別室で様子を見る、といった配慮が有効です。クラミジアが疑われる場合、同居の猫すべての治療を検討することもあります。診断がつけば、うつさないための具体的な対策も一緒にご案内します。
猫や犬の結膜炎は、人にうつりますか?
多くの結膜炎は人にはうつりません。猫ヘルペスウイルスは人に感染しません。ただしクラミジア(Chlamydia felis)は、まれに人(とくに免疫が下がっている方)に結膜炎を起こした報告があります。頻度はごく低く、重い病気になることはまずありませんが、目やにを触ったら手を洗う、目をこすらない、といった基本的な衛生を心がければ十分です。ご家族に免疫を抑える治療中の方や小さなお子さまがいる場合は、遠慮なくご相談ください。
目が赤いだけでも、すぐ受診したほうがよいですか?
「片目だけ」急に強く充血する・黒目が青白く濁る・目を痛がって開けられない・見え方が変わったように見える——こうした変化は、結膜炎ではなく緑内障・ぶどう膜炎・角膜潰瘍など、急ぐべき病気のサインかもしれません。これらは放置すると視力に関わります。ふだんと違う赤みや痛みのサインがあれば、その日のうちにご連絡ください。軽い充血でも、写真を撮っておいていただくと診察がスムーズです。
結膜炎を何度も繰り返します。なぜですか?
繰り返す結膜炎の裏には、根っこの原因が続いていることが少なくありません。犬ではアレルギー(アトピー)や涙の量が減る乾性角結膜炎(ドライアイ)、まぶたの内反、逆さまつ毛など。猫では猫ヘルペスウイルスの潜伏感染が、ストレスや体調の変化をきっかけに再発をくり返すことがあります。「その都度の目薬」だけでなく、なぜ繰り返すのかを一度きちんと調べることが、回数を減らす近道です。
市販の目薬(人用)を使ってもいいですか?
自己判断での使用はおすすめしません。とくに、人用の目薬にはステロイドが含まれるものがあり、もし角膜に傷(角膜潰瘍)があるときに使うと、傷を悪化させてしまう危険があります。原因が分からないまま点眼すると、かえって診断を難しくすることもあります。まずは原因を確かめ、その子の目に合った点眼を選ぶことが安全です。すでに使ってしまった場合も、何をいつ使ったか教えていただければ大丈夫です。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。