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CRCL RUPTURE SURGERY

犬の前十字靭帯断裂の手術(TPLO・TTA・FLO)

術式の選び方と、術後の過ごし方

前十字靭帯断裂の手術は、断裂した靭帯を元に戻すのではなく、膝にかかる異常な力を抑えて安定した歩行を取り戻すことが目的です。このページでは、代表的な3つの術式(TPLO・TTA・FLO)の特徴と選び方、術後管理について解説します。

  • 整形外科
  • 手術

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

前十字靭帯断裂そのものの概要・進行のしくみ・診断については、前十字靭帯断裂のページをご覧ください。このページでは、手術を検討される方に向けて、術式と術後の過ごし方を解説します。

01

手術の目的と適応

外科治療の目的は、断裂した靭帯を「元に戻す」ことではなく、膝関節にかかる異常な力をコントロールし、安定した歩行を取り戻すことです。犬では、体重がかかった際に生じる脛骨の前方滑り(cranial tibial thrust)を抑えることが、外科治療の基本的な考え方になります。

症例のサイズ・活動性・膝蓋骨脱臼の有無・脛骨高平角などによって、次の術式から最適なものを選択します。

02

主な術式

代表的な術式は3つです。ここでは概要と選び方をまとめています。各術式の原理・手術の流れ・術後の経過・合併症は、それぞれの専用ページで詳しく解説しています。

TPLO:脛骨高平部水平化骨切り術

Tibial Plateau Leveling Osteotomy

脛骨を回転させて高平部の角度を調整し、体重負荷時の前方滑り(cranial tibial thrust)を力学的に無効化する手術。靭帯がなくても関節が安定します。

TPLOの詳しい解説はこちら

TTA:脛骨粗面前進術

Tibial Tuberosity Advancement

膝蓋靭帯を前方に移動させ、脛骨の前方滑りを抑制する手術。骨切りの範囲が比較的小さく、手術時間も短めです。

TTAの詳しい解説はこちら

FLO法:関節外制動術

Lateral Fabello-Tibial Suture

人工靭帯(ナイロン糸など)でファベラと脛骨を結紮し、関節の外から膝を制動する手術。骨切りを行わず、侵襲が比較的少なく手術時間も短めです。

FLO法の詳しい解説はこちら

03

術式の選び方

どの術式が良いかは一律には決まりません。体格・活動性・膝蓋骨脱臼の有無・脛骨高平角、そして年齢や持病といった条件を合わせて判断します。

術式向いているケース留意点
TPLO中型〜大型犬/活動性が高い/完全断裂・慢性症例。長期成績が安定しています骨切りを伴うため侵襲が大きく、専門設備・技術と、術後の管理・リハビリが重要です
TTA超小型犬/膝蓋骨脱臼を合併する小〜中型犬/活動性が中等度で、脛骨高平角が適している症例脛骨高平角によっては適応外。大型犬・高活動犬では制限があり、長期安定性はTPLOに劣る場合があります
FLO法高齢犬/基礎疾患がある/活動性が低い/侵襲を最小限にしたい症例糸の緩み・断裂のリスクがあり、中〜大型犬では再発しやすく、長期的な安定性には限界があります

04

術後管理とリハビリテーション

前十字靭帯断裂の外科治療では、手術そのものと同じくらい術後管理とリハビリが重要です。術後の過ごし方次第で、回復のスピードや最終的な歩行機能が大きく変わります。

術後早期(〜2週間)

安静と痛みの管理

滑らないようにし、区切った区画の中で安静に/散歩は短時間・リード着用での排泄のみ/創部の管理と感染予防/痛みのコントロール。無理に歩かせないことが最も重要です。

リハビリ期(2〜8週)

段階的な運動再開

徐々に行動範囲を広げ歩行距離を延ばす/後肢筋力の回復運動/関節可動域を保つリハビリ/必要に応じて水中トレッドミルなどの理学療法。

長期管理(8週〜)

復帰と再発予防

通常運動への段階的復帰/体重管理/関節ケアの継続/定期的なフォローアップ。TPLO・TTAではレントゲンで骨癒合を確認しながら、およそ半年後まで経過を追います。

05

起こりうる合併症

外科治療は高い成功率を持つ一方で、すべての手術には一定のリスクが伴います。

はじめてご来院される方へ

ご予約から診察・治療方針のご提案までの流れを、わかりやすくまとめています。

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Q&A

よくあるご質問

どの術式になるのか、どうやって決めますか?
症例のサイズ(体重)・活動性・膝蓋骨脱臼の有無・脛骨高平角などをもとに決定します。中〜大型で活動性が高い場合はTPLO、超小型犬や膝蓋骨脱臼を合併する小〜中型ではTTA、高齢や基礎疾患があり侵襲を抑えたい場合はFLO法、というように、その子に合った方法を診察・検査のうえでご提案します。
手術後の入院やリハビリはどれくらいですか?
数日の入院の後、退院してからは段階的なリハビリが必要です。術後およそ2週間は安静、2〜8週で少しずつ運動を再開し、8週以降に通常運動へ段階的に復帰します。TPLO・TTAではレントゲンで骨癒合を確認しながら、およそ半年後まで経過を追います。
手術をすれば関節炎にはなりませんか?
手術で膝の安定性を取り戻すことで進行を大きく抑えられますが、関節炎(変形性関節症)の進行を完全に防ぐことはできません。適切な術後管理と体重管理を続けることで、進行を最小限にし、良好な歩行機能を長く保つことを目指します。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。