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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

FLO

FLO法(関節外制動術)

骨を切らず、関節の外から膝を支えて線維化を待つ手術

FLO法は、人工の糸を膝の外側にかけて関節を制動する手術です。骨を切らないため体への負担が小さく、手術時間も短めです。糸そのものが一生支え続けるのではなく、糸が支えているあいだに関節のまわりに丈夫な線維組織ができ、それが膝を安定させる——という考え方の手術です。

  • 整形外科
  • 手術

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

前十字靭帯断裂そのものの概要・診断については前十字靭帯断裂のページを、3つの術式の比較と選び方については手術のページをご覧ください。このページでは、FLO法(関節外制動術、英語では extracapsular lateral suture stabilisation / lateral fabello-tibial suture)について詳しく解説します。

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この手術の目的と適応

FLO法は1970年代から行われてきた、もっとも歴史の長い術式です。膝の外側で、大腿骨の裏にある小さな骨(ファベラ)と脛骨の上端に開けた孔とのあいだに人工の糸を通し、関節の外側から膝を制動します。

TPLOやTTAが骨の形を変えて力を打ち消す手術であるのに対し、FLO法は骨には手をつけず、外から支えを足す手術です。糸が支えているあいだに関節のまわりに丈夫な線維組織ができ、最終的にはその線維化が膝の安定を担います。糸はいわば、線維化ができるまでの足場です。

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手術の内容

膝の外側の皮膚を切開し、関節内と半月板を確認したうえで、脛骨の上端に細い孔を開けます。ファベラの周囲にかけた人工の糸をこの孔に通し、8の字を描くように張って固定します。骨を切らないため、骨がつくのを待つ工程がありません。

糸には強度の高い人工素材が用いられ、専用の金具で締結する方法などがあります。締める強さは強すぎても弱すぎてもいけません。強すぎれば関節の動きが制限され、弱すぎれば不安定さが残ります。

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半月板の確認

前十字靭帯が断裂した膝では、内側半月板も同時に傷んでいることが少なくありません。FLO法でも手術の際に関節内と半月板を確認し、損傷があれば処置します。

手術のときに無傷だった半月板が後から損傷する遅発性半月板損傷は、この術式では最大7%と報告されています。順調だったのに急に足を挙げたときは、この可能性を考えて早めにご相談ください。

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手術の流れ

  1. ステップ1診断・術式の検討

    触診とレントゲンで膝の不安定性と関節炎の程度を評価し、体格・年齢・持病をふまえて術式を検討します。

  2. ステップ2術前検査・手術のご説明(別日)

    麻酔のための術前検査を行い、手術の内容・回復までの見通し・起こりうる合併症をくわしくご説明します。持病がある場合は麻酔計画も併せてご説明します。

  3. ステップ3手術当日:絶食で来院

    当日は食事を抜いてご来院ください(お水は飲ませていただいてかまいません)。

  4. ステップ4手術・麻酔覚醒後にご連絡

    関節内と半月板を確認したうえで、糸をかけて関節を制動します。麻酔から覚めたらお電話でご報告します。

  5. ステップ5入院・退院・抜糸

    状態に応じて入院期間を決めます。7〜10日ほどで抜糸・再診を行います。

  6. ステップ66〜8週の運動制限を経て段階的に再開

    線維化が進むまでしっかり運動を制限し、経過を見ながら段階的に通常の運動へ戻します。

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術後の経過とリハビリ

骨を切らない手術ですが、回復を急いではいけないという点は骨切り術と変わりません。膝を支える線維組織ができあがるまでのあいだに無理をすると、糸が緩んだり切れたりして、手術の効果そのものが損なわれます。

  • 〜2週:室内でのケージ・サークル管理。排泄はリードをつけた短時間のみ
  • 2〜6週:滑らない床で、リードをつけた短い散歩から少しずつ。走る・跳ぶ・階段は禁止
  • 6〜8週:経過を確認しながら、歩く時間を段階的に延ばします
  • 8週以降:問題がなければ通常の運動へ。以降も定期的に膝の状態を確認します

体重管理は、この術式ではとくに重要です。体重がそのまま糸にかかる力になるためです。必要に応じて食事の内容と量も一緒に見直します。

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予後・起こりうる合併症

臨床評価ではおよそ85%で満足のいく結果が得られ、飼い主の82%が良好な機能回復を報告したとされています。一方で、歩き方が完全に正常と評価されるのは6割程度とする報告もあり、骨切り術と比べて機能回復の水準にはやや幅があります。

また、関節外制動術を受けた犬の10〜20%が生涯のうちに再治療や再手術を必要とするという報告もあります。長期的な安定性という点では骨切り術に及ばない、というのが率直なところです。

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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

糸はいつか切れたり伸びたりしませんか?
その可能性はあります。ただしこの手術は、糸が一生支え続けることを前提にしていません。糸が関節を安定させているあいだに、関節のまわりに丈夫な線維組織(瘢痕組織)ができ、最終的にはそれが膝を支えます。とはいえ、線維化が十分にできる前に糸が緩んだり切れたりすると不安定さが残るため、術後の運動制限がとくに重要になります。
大型犬には向かないのですか?
大きい子や活動性の高い子では、糸にかかる力が大きく、伸びや破断が起こりやすくなります。若い犬や大型犬ではこの術式のあとに合併症が生じやすいと報告されており、当院でも中〜大型で活動性の高い子にはTPLOをおすすめすることが多くなります。一方、高齢・基礎疾患があって麻酔時間や侵襲を抑えたい場合には、この方法が最善の選択になることもあります。
骨を切らないのなら、運動制限は短くて済みますか?
いいえ。骨がつくのを待つ必要はありませんが、膝を支える線維組織ができるのを待つ必要があります。術後6〜8週間はしっかり運動を制限してください。この時期に走ったり跳んだりすると、糸が緩んで手術の効果が損なわれます。骨切り術より「治りが早い」わけではない、とご理解ください。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。