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COLUMN

疾患・症状

その歩き方、股関節形成不全かもしれません

「お尻を振って歩く姿がかわいい」「走るとき後ろ足が揃うのはクセ?」。その何気ない歩き方に、将来の歩行困難につながるサインが隠れていることがあります。成長期に発症しやすい股関節形成不全の早期発見についてお話しします。

大型犬を家族に迎えた飼い主様にとって、愛犬がシニアになっても自分の足で散歩を楽しめることは、何よりの願いではないでしょうか。その鍵を握るのが、成長期に発症しやすい「股関節形成不全(HD:Hip Dysplasia)」の早期発見です。

股関節形成不全のメカニズム

股関節形成不全とは、太ももの骨(大腿骨頭)とそれを受け止める骨盤のくぼみ(寛骨臼)がうまく噛み合わず、関節に「緩み」が生じてしまう病気です。

骨の成長と筋肉の発達のアンバランス

この病気の主な原因は、遺伝的要因と成長期の環境要因(栄養や運動)の組み合わせと考えられています。特に大型犬は、生後数ヶ月から1歳にかけて驚異的なスピードで骨が成長します。

しかし急激に伸びる骨のスピードに対し、周囲を支える筋肉や軟部組織の成長が追いつかないことがあります。すると関節を固定する力が不足し、大腿骨頭が関節から外れかかった「緩んだ状態」になってしまいます。この「緩み」が、すべての問題の始まりです。

様子見の間に進行する「二次的な関節炎」のリスク

関節に緩みがある状態で、活発な成長期のワンちゃんが運動を続けると、本来ならピッタリ噛み合っているはずの関節面が擦れ合い、軟骨が少しずつ摩耗していきます。

軟骨が削れると炎症が起き、強い痛みが生じます。これを放置すると、将来的に変性性関節疾患(DJD)と呼ばれる痛みを伴う関節炎へと移行し、足を引きずる、立ち上がれなくなるといった深刻な歩行困難を招く恐れがあります。骨が変形してしまう前に、この連鎖を食い止めることが極めて重要です。

「早期発見」の大切さ

「まだ子犬だから」「痛がっていないから大丈夫」と判断するのは禁物です。股関節形成不全のケアにおいては、何より早期発見が予後を左右します。

1歳までの診断がその後を左右する

股関節形成不全の多くは、生後4ヶ月から12ヶ月の間に進行します。実は骨が固まりきっていないこの若齢期こそ、治療の選択肢がもっとも多い時期です。

早期発見できれば、体重管理や運動制限、内科的なアプローチによって進行を遅らせることが可能です。また重症化が予測される場合には、成長期にしか行えない外科的手法によって正常な関節の発育を促せることがあります。しかし1歳を過ぎて骨が成熟してからでは、選択肢が大幅に狭まってしまいます。

ご家族に見つけてほしい3つの初期サイン

ワンちゃんは本能的に痛みを隠そうとする動物です。飼い主様から見て「痛がっている」とわかる状態のときは、すでにかなり進行しているケースもあります。まずはご自宅や日々のお散歩で、動きを観察してみましょう。

  1. ステップ1腰を左右に大きく振る「モンローウォーク」

    お尻を左右に振って歩く姿は一見愛らしく見えますが、股関節の緩みを補おうとして腰全体を使っているサインかもしれません。

  2. ステップ2うさぎのように跳ねる「バニーホップ」

    走るときに左右の後ろ足を同時に着地させ、ウサギのようにピョンピョンと跳ねる走り方です。股関節に負担をかけないよう工夫して走っているのかもしれません。

  3. ステップ3散歩中に座り込む・段差をためらう

    元気に歩いていたのに急に座り込んだり、玄関の段差や車の乗り降りをためらったりする場合は、関節に違和感や痛みを感じているサインかもしれません。

当院での整形外科検査

大型犬の健やかな成長をサポートするため、専門的な整形外科検査を実施しています。

専門的な触診による緩みの確認

実際に股関節を動かし、関節の緩みを判定する触診を行います。オルトラニ試験・バーデン試験と呼ばれ、関節が緩む際の手応え(クリック音)を確認する重要な検査です。力が入っていると難しい場合があるため、鎮静剤や麻酔を使用することもあります。

レントゲン撮影とリスク評価

必要に応じてレントゲン撮影を行い、股関節の状態を確認します。その結果から将来関節炎を発症するリスクを予測し、ご家族の生活スタイルに合わせた管理や治療をご提案します。検査の詳細は整形外科のページもご覧ください。

「少し歩き方が気になるけれど、気のせいかな」と感じることがあれば、一度ご相談ください。ずっと一緒に楽しくお散歩をするために、大切なご家族の健康をサポートします。

監修:古谷動物病院

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。

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