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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

COMPLETE & BALANCED DIET

総合栄養食という「毎日の土台」

毎日のごはんは、その子の体を作り続ける「治療より前の医療」です

「何を食べるか」は、その子の一生でいちばん回数の多い健康行動です。総合栄養食は、それと水だけで健康を保てるように設計された“主食”のこと。当院は、この土台を選ぶときに「動物本来の食性」と「エビデンス」の両方を大切にします。とくにタンパク質の量と質にこだわり、炭水化物は多くを必要としない——その考え方の根拠を、獣医師の視点で丁寧に解説します。

  • 栄養・食事

毎日のごはんは、その子の体をつくる材料そのものです。病気を治す医療の手前に、「病気になりにくい体を毎日つくる」という医療がある——当院は食事をそう捉えています。その中心にあるのが「総合栄養食」です。まずは言葉の意味を正しく押さえたうえで、当院がどんな考えで主食を選ぶのかをお伝えします。

01

総合栄養食とは

総合栄養食とは、「そのフードと水だけを与えていれば、指定された成長段階の健康を維持できる」よう栄養バランスが整えられた主食です。日本では、国内流通の9割以上をカバーするペットフード公正取引協議会が、AAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準をもとに表示ルールを定めています。

ペットフードのパッケージには、必ず「目的」が表示されています。毎日の食事の中心に据えるべきは、このうち「総合栄養食」です。

4区分

ペットフードの目的表示(総合栄養食・間食・療法食・その他)

90%超

ペットフード公正取引協議会がカバーする国内流通

+水のみ

総合栄養食が単独で健康維持できる条件

目的表示位置づけ与え方
総合栄養食それと水だけで健康を維持できる主食毎日の食事の中心にする
間食(おやつ・スナック)しつけ・ごほうび・コミュニケーション用1日の総カロリーの2割以内が目安
その他の目的食(一般食・副食など)単独では栄養が不足する「おかず」総合栄養食に足して使う
療法食特定の病気の食事療法用に栄養を調整獣医師の指導のもとで使う

02

「総合栄養食」であることの証明とライフステージ

「総合栄養食」と名乗るには、栄養基準を満たしていることを次のいずれかの方法で証明する必要があります。同じ「総合栄養食」でも、裏づけの取り方が違うことを知っておくと選ぶ目が変わります。

① 分析試験(成分を分析して確認)

製品の栄養成分を実際に分析し、基準値を満たすことを確認する方法です(犬で37項目、猫で42項目)。手間が比較的少なく、多くの製品がこの方法を採用しています。ただし「体でどれだけ使えるか(消化吸収性)」までは保証しません。

② 給与試験(実際に食べさせて確認)

実際に犬や猫にそのフードを一定期間与え、健康を維持できることを確かめる方法です。手間とコストはかかりますが、「本当に体で使える栄養か」に近い裏づけが得られます。パッケージの表示で見分けられます。

もう一つ大切なのが「どの成長段階向けか」です。必要な栄養は年齢・状態で大きく変わるため、総合栄養食はライフステージごとに設計されています。その子の今の段階に合ったものを選びます。

ライフステージ対象ポイント
幼犬・幼猫期(成長期)離乳〜約12か月(大型犬はより長い)成長のためタンパク質・エネルギー・カルシウムなどの要求が高い
成犬・成猫期(維持期)成長を終えた健康な成体体重・体型を保つバランス。多くの子が長く過ごす時期
妊娠・授乳期繁殖に関わる時期幼犬・幼猫期に準じて要求が高まる
全ライフステージ対応上記を通して使える設計いちばん要求の高い成長期基準を満たす。シニアは体調で個別調整

03

当院の出発点 ― 動物本来の食性から考える

ここからが、当院の考え方です。私たちは主食を選ぶとき、まず「その動物が本来どんなものを食べて進化してきたか(食性)」に立ち返ります。犬と猫は、人と同じ食卓を囲む家族であっても、体のつくりは人とも、互いとも違うからです。

猫 ― 真性肉食動物(オブリゲート・カーニボア)

猫は、生きるために動物性の栄養を必要とする「真性肉食動物」です。タンパク質を分解してエネルギーに変える回路が常に働き、タウリンやアルギニンなど、肉に含まれる栄養を食事から必ず摂る必要があります。糖質を大量に処理する体のつくりにはなっていません。

犬 ― 肉食に軸足を置いた雑食動物

犬は猫より柔軟で、植物性の栄養もある程度利用できます。しかしその起源はオオカミであり、消化・代謝の軸足は今も肉食側にあります。人ほど炭水化物中心の食事に適応してはいません。

野生下や自然に近い環境で猫が自分から選ぶ栄養バランスを調べた研究では、おおよそタンパク質52%・脂肪36%・炭水化物12%(エネルギー比)に落ち着くことが報告されています。これは、猫が本来「高タンパク・低炭水化物」の獲物を食べて生きてきたことと一致します。

04

タンパク質の「量」と「質」にこだわる

食性から出発すると、自然と行き着くのがタンパク質です。当院がいちばんこだわるのが、このタンパク質の「量」と「質」の両方です。

量 ― まず十分な量を確保する

タンパク質は、筋肉・臓器・皮膚・被毛・免疫・酵素——体のあらゆる部品の材料です。AAFCOは、総合栄養食が満たすべき最低量を次のように定めています(乾物量あたり)。あくまで「下限」であり、当院は健康な子ではこの下限に張りつくより、余裕をもった量を基本に考えます。

対象タンパク質の最低量(乾物比・AAFCO)
成犬(維持期)18% 以上
幼犬(成長・繁殖期)22.5% 以上
成猫(維持期)26% 以上
子猫(成長・繁殖期)30% 以上

猫の最低量が犬より高いことに注目してください。これは猫が真性肉食動物であることの表れです。健康なシニアでも、筋肉量(とくに背中や後ろ足の筋肉)を保つために十分な良質タンパクが必要で、「年をとったから低タンパクに」という一律の切り替えは、かえって体を弱らせることがあります

質 ― 「使えるタンパク質」かどうか

同じ「タンパク質◯%」でも、体でどれだけ使えるかは中身しだいです。質を決めるのは、主に次の2つです。

アミノ酸のバランス(必須アミノ酸)

タンパク質はアミノ酸の集合体で、体内で作れない「必須アミノ酸」は食事から摂るしかありません。必須アミノ酸は人で9種、犬で10種、猫では11種。猫はアルギニンと、さらにタウリンまで食事必須です。動物性タンパク質は、これらをバランスよく含む点で優れています。

消化吸収性(どれだけ体に取り込めるか)

いくら数値上のタンパク質が多くても、消化・吸収されにくければ体では使えず、便として出ていくだけです。原材料の種類や加工の質によって、この「使える割合」は変わります。数字の大きさだけでなく、素材と設計の質を見ることが大切です。

05

炭水化物との付き合い方

タンパク質を大切にする一方で、当院は炭水化物を「多くは必要としない栄養素」と考えています。ここは誤解されやすいので、根拠と“歯止め”をあわせて丁寧にお伝えします。

犬や猫にとって、炭水化物は「必須栄養素」ではありません。栄養学の基準(NRC)は、健康な成犬・成猫に必要な炭水化物量を定めていません。体に必要なブドウ糖は、タンパク質や脂肪から「糖新生」という仕組みで作り出せるためです。とくに猫は、この糖新生を常時働かせて生きています。食性の面から見ても、獲物由来の食事は低炭水化物でした。

だからこそ当院は、炭水化物でカロリーの多くを埋めるより、タンパク質と脂肪を中心に据える設計を基本に考えます。

06

だから、こう選ぶ・こう切り替える

ここまでの考え方を、毎日の実践に落とすと次のようになります。難しく考えすぎず、まずは「表示を見る」ことから始めてください。

  1. ステップ1目的表示で「総合栄養食」を選ぶ

    毎日の主食は、必ず「総合栄養食」の表示があるものを。対象のライフステージ(成長期/維持期など)が、その子に合っているかも確認します。

  2. ステップ2タンパク質の量と質、原材料を見る

    主原料に動物性タンパク質がしっかり据えられているか、猫なら猫用(タウリン配合)か。数値の大きさだけでなく、素材と設計を見ます。迷ったら遠慮なくご相談ください。

  3. ステップ3炭水化物は欲張らない

    タンパク質・脂肪を中心に、炭水化物でカロリーを埋めすぎない設計を基本に。ただし「ゼロ」を目指す必要はありません。

  4. ステップ4切り替えは7〜10日かけて少しずつ

    フードを変えるときは、今までの食事に新しいものを1〜2割ずつ混ぜ、1週間から10日ほどかけて比率を上げます。急な変更は下痢・嘔吐や食べムラの原因になります。

  5. ステップ5体重・体型・うんちで“答え合わせ”をする

    いちばんの評価者はその子の体です。体重、ボディコンディションスコア(体型)、便の状態、被毛のツヤを見ながら、合っているかを確かめ、必要なら調整します。

療法食について詳しく見る

07

さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が拠りどころとする信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

「総合栄養食」と「一般食(おかずタイプ)」は何が違うのですか?
総合栄養食は、それと水だけで指定の成長段階の健康を維持できるよう栄養バランスが整えられた“主食”です。一方、一般食・副食・おやつ(間食)は、それだけでは栄養が不足するため、主食に足す・楽しみとして与えるものです。毎日の食事の中心には、必ず「総合栄養食」と表示のあるフードを据えるのが基本です。パッケージの目的表示(総合栄養食/間食/療法食/その他の目的食)を確認してください。
グレインフリー(穀物不使用)のフードのほうが体によいのですか?
「穀物が入っていない=優れている」とは一概には言えません。犬や猫に穀物そのものが有害なわけではなく、穀物アレルギーは実際にはまれです。むしろ近年は、豆類を多用した一部のグレインフリー食と拡張型心筋症との関連が指摘され、調査が続いています。当院は「穀物の有無」よりも、タンパク質の量と質、全体の栄養設計とその子への合い方を重視します。宣伝文句ではなく中身で選びましょう。
高タンパクのフードは腎臓に悪いと聞きました。本当ですか?
健康な腎臓の犬や猫では、良質なタンパク質を適切な量で与えることが腎臓を傷めるという明確な証拠はありません。「高タンパク=腎臓に悪い」というのは、すでに腎臓病がある子でのタンパク制限の話が広まったものです。ただし、すでに腎臓病と診断されている場合は制限が必要になります。持病の有無で最適解が変わるため、心配な場合はご相談ください。
手作り食だけで総合栄養食の代わりになりますか?
頭ごなしに否定はしませんが、手作り食だけで必要な栄養をすべて過不足なく満たすのは、想像以上に難しいことです。とくにカルシウムやビタミン、猫のタウリンなどは不足しやすく、長く続けると欠乏症のリスクがあります。手作りを取り入れるなら、栄養設計を確認したうえで、総合栄養食と組み合わせる形が現実的です。ぜひ一緒に設計させてください。
シニアになったら低タンパクのフードに変えるべきですか?
必ずしもそうではありません。むしろ健康な高齢の犬・猫では、筋肉量を保つために十分な良質タンパクが必要と考えられています。加齢を理由に一律でタンパクを減らすと、かえって筋肉が落ちてしまうことがあります。腎臓など持病がある場合は別途調整しますので、シニア期の食事は体の状態を見ながら個別にご提案します。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。