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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

CATARACT

犬と猫の白内障

水晶体が白く濁り、放置すると別の病気を呼ぶ眼科疾患

「目の中が白く濁ってきた」「最近ものにぶつかるようになった」——それは白内障かもしれません。白内障はカメラのレンズにあたる水晶体が濁る病気で、進行すると視力を失うだけでなく、ぶどう膜炎や緑内障といった別の病気を引き起こすことがあります。加齢による自然な変化との見分けも含め、正しく知ることが大切です。

  • 眼科

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

とくに気をつけたい犬種・猫種

好発(かかりやすい傾向)が知られている犬種・猫種です。必ずかかるわけではありません。

01

病気の概要

白内障(はくないしょう:Cataract)は、眼の中でカメラのレンズの役割をする**水晶体(すいしょうたい)**が白く濁ってしまう病気です。透明であるはずの水晶体のタンパク質が変性して濁ると、光が網膜まで届きにくくなり、視界がかすみ、進行すると視力を失います。濁りは水晶体の一部から始まることも、全体に広がることもあります。

75–80%

糖尿病の犬が診断から約1年以内に白内障を発症する割合

6–10

老年性白内障が現れ始める年齢の目安

4段階

初発・未熟・成熟・過熟という進行の段階

02

原因 ― 白内障はひとつではない

「白内障」とひとくくりにされがちですが、原因はさまざまで、原因によって進み方も対応も異なります。

原因特徴
遺伝性・若年性もっとも多い原因。特定の犬種で遺伝的に発症する。若い年齢から進むことがある。
糖尿病性糖尿病の犬に高率に発生。進行が速く、合併症(ぶどう膜炎)を起こしやすい。
加齢性(老年性)6〜10歳以降に加齢とともに生じる。進行はゆるやかなことが多い。
外傷性眼のケガで水晶体が傷つくことで生じる。
続発性ぶどう膜炎・進行性網膜萎縮など、他の眼の病気に続いて生じる。

03

好発犬種

遺伝性・若年性の白内障は、特定の犬種で多くみられます。次のような犬種では、若いうちからの目の観察が大切です。

犬種傾向
シー・ズー白内障が比較的多く報告される犬種のひとつ。
ビション・フリーゼ若年性白内障が品種の健康調査で上位に挙がる。
マルチーズ白毛で目のまわりの変化が目立ちやすく、白内障にも留意する。

このほか、トイ・プードルやミニチュア・ダックスフンドなど多くの犬種で遺伝性白内障が知られています。猫の白内障は犬よりまれで、多くはぶどう膜炎などに続発します。

04

核硬化症との違い ― 「白い=白内障」ではない

高齢の犬や猫で「目の中が青灰色にうっすら濁ってきた」とき、それは白内障ではなく**核硬化症(かくこうかしょう/レンズ核硬化)**という、加齢による自然な変化であることがよくあります。両者は見た目が似ていますが、意味はまったく異なります。

核硬化症(加齢の自然な変化)

加齢により水晶体の中心(核)が密になり、青灰色に見える現象です。視力はほぼ保たれ、多くの場合、治療は必要ありません。7歳前後から徐々に見られる、いわば「目の白髪」のような変化です。

白内障(治療の対象になる病気)

水晶体のタンパクが変性して濁る病気で、進行すると視力に影響し、ぶどう膜炎や緑内障などの合併症を招くことがあります。核硬化症とは対応が異なるため、区別が重要です。

05

進行段階と合併症

白内障は、濁りの広がりによって大きく4つの段階に分けられます。段階が進むほど、視力への影響と合併症のリスクが高まります。

A

初発(しょはつ)白内障

濁りが水晶体のごく一部にとどまる段階。視力への影響はほとんどなく、健診などで偶然見つかることもあります。

B

未熟(みじゅく)白内障

濁りが広がりつつあるが、まだ透明な部分が残る段階。視力が徐々に落ち始めます。手術を検討するなら、合併症が出る前のこの時期までが目安のひとつです。

C

成熟(せいじゅく)白内障

水晶体全体が白く濁り、その眼ではほとんど見えなくなる段階です。

D

過熟(かじゅく)白内障 ― 合併症に注意

濁った水晶体が変性・収縮し、タンパクが漏れ出す段階。水晶体起因性ぶどう膜炎(LIU)を起こしやすく、続発緑内障・水晶体脱臼・網膜剥離へとつながる危険があります。

06

診断・検査

白内障の診断では、濁りが本当に白内障なのか(核硬化症との区別)、どの段階か、合併症はないか、そして手術で視力が戻る見込みがあるか、を総合的に評価します。

  • 眼の観察:拡大鏡・スリットランプなどで水晶体の濁りの位置と性状を確認します。
  • 眼圧測定:合併している緑内障がないかを確認します。
  • 眼底・網膜の評価:濁りで奥が見えにくい場合は、超音波検査や網膜機能の検査で、網膜が正常に働いているか(手術で視力が戻る見込みがあるか)を調べます。
  • 全身のチェック:とくに糖尿病など、背景にある病気の有無を確認します。

07

治療・管理

いちど濁った水晶体を透明に戻す薬はありません。視力を取り戻す唯一の確立した方法は手術です。一方で、手術を選ばない場合でも、合併症を抑える管理が眼を守るうえで重要になります。

  1. ステップ1手術(超音波乳化吸引術+眼内レンズ)

    濁った水晶体を超音波で細かく砕いて吸い出し、人工の眼内レンズを入れて視力の回復を図る手術です(人の白内障手術と同じ考え方)。合併症が出る前の早い段階で行うほど成績が良いとされます。高度な設備・専門性が必要なため、当院では適応を見きわめたうえで、体制の整った提携施設をご紹介することがあります。

  2. ステップ2ぶどう膜炎の点眼管理

    手術までの期間や、手術を選ばない場合には、水晶体起因性ぶどう膜炎を抑える抗炎症の点眼などで、合併症の進行を抑えます(使用する薬剤は状態に応じて個別に判断します。具体的な内容は担当獣医師にご確認ください)。

  3. ステップ3背景疾患のコントロール

    糖尿病性の白内障では、糖尿病そのものの血糖管理を並行して行うことが、眼と全身の両方にとって重要です。

  4. ステップ4定期的なモニタリング

    手術を急がない段階でも、定期的に眼圧と眼の状態をチェックし、緑内障などの合併症を早期にとらえられるようにします。

08

ご家庭での早期発見

白内障は、早い段階で気づけるほど選択肢が広がる病気です。ふだんの様子から、次のような変化に気づいてあげてください。

こんな様子に気づいたら

  • 目の中(黒目の奥)が白く・青白く濁って見える
  • ものや家具にぶつかる、段差でつまずく
  • 暗い場所や夜の散歩を嫌がるようになった
  • 目を痛がる・充血する(合併症のサインのことも)
  • 糖尿病と診断されている

心がけたいこと

  • 「白い」と感じたら、核硬化症との区別のために一度検査を受ける
  • 好発犬種は若いうちから目の様子を気にかける
  • 糖尿病の子は、目の定期チェックを治療に組み込む
  • 手術を検討するなら、合併症が出る前の早い段階で相談する

「白くなってきた気がする」という段階でのご相談も歓迎です。それが治療の要らない核硬化症なのか、対応が必要な白内障なのかを見きわめること自体が、大切な第一歩です。その子とご家族が幸せに過ごせることを目標に、選択肢を一緒に考えます。

09

さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

関連:犬と猫の緑内障について(白内障から続発することがあります) 眼科診療のご案内を見る

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Q&A

よくあるご質問

目が白く濁ってきました。これは白内障ですか?
一概には言えません。とくに高齢の子で「目の中が青灰色にうっすら濁る」場合、白内障ではなく核硬化症(かくこうかしょう)という加齢による自然な変化のことがよくあります。核硬化症は水晶体の中心が加齢で密になるもので、視力はほぼ保たれ、治療も基本的に必要ありません。一方、白内障は水晶体のタンパクが変性して濁る病気で、進行すると視力に影響します。この2つは見た目が似ているため、区別には眼科的な検査が必要です。「白くなってきた」と感じたら、まずは自己判断せず一度ご相談ください。
白内障は目薬で治りますか?
残念ながら、いちど濁ってしまった水晶体を点眼薬で透明に戻すことはできません。市販・処方を問わず「白内障の進行を遅らせる」とされる点眼はありますが、濁りそのものを消す効果は証明されていません。視力を取り戻す方法として確立しているのは手術(超音波乳化吸引術)です。点眼は、手術までの期間や、手術を選ばない場合に、合併症であるぶどう膜炎を抑える目的で使うことがあります。使い方は状態に応じてご案内します。
手術をしないと、どうなりますか?
白内障は視力低下だけで終わらないことがあります。進行して過熟期になると、水晶体からタンパクが漏れ出して「水晶体起因性ぶどう膜炎(LIU)」という眼の中の炎症を起こし、これが続くと続発緑内障・水晶体脱臼・網膜剥離といった、より治療が難しい状態につながることがあります。とくに糖尿病性の白内障は進行が速く、LIUも強く出やすいため注意が必要です。手術をしない場合でも、これらの合併症を抑えるための点眼管理と定期的な眼のチェックをおすすめします。
高齢ですが、手術は受けられますか?
年齢そのものが手術できない理由になるわけではありません。全身の健康状態・麻酔のリスク・網膜が正常に機能しているか(手術で視力が戻る見込みがあるか)などを、術前の検査で総合的に評価して判断します。高齢でも条件が整えば手術で視力を取り戻せる子もいますし、逆に手術を選ばずに合併症を管理していく道もあります。その子とご家族にとって何が幸せかを一緒に考え、無理のない選択肢をご提案します。
糖尿病と言われました。目も気をつけたほうがいいですか?
はい、とても重要です。糖尿病の犬では、血糖コントロールの良し悪しにかかわらず、診断からおおよそ1年以内に約75〜80%が白内障を発症すると報告されています。しかも糖尿病性白内障は進行が速く、水晶体起因性ぶどう膜炎を強く起こしやすいという特徴があります。糖尿病と診断されたら、目の状態も定期的にチェックし、濁りや充血に気づいたら早めにご相談ください。早い段階での対応が、視力と眼の健康を守ることにつながります。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。