
RABIES VACCINATION
狂犬病予防注射
狂犬病予防注射は、飼い主に課せられた「毎年の義務」です。負担ではなく納得して受けていただけるよう、なぜ必要か、品川区での手続き、集合注射と個別接種の違いまで、診察室でお話しするのと同じ言葉でご説明します。
- 犬
- 法的義務
WHY
なぜ接種が必要なのか — ヒトの健康と安全のために
狂犬病予防注射は、犬のためだけの予防ではありません。そのいちばんの目的は、ヒト(人)の命と安全を守ることにあります。狂犬病は、犬や人を含むすべての哺乳類が感染する「人と動物の共通感染症」で、いったん発症するとほぼ100%が命を落とし、有効な治療法はありません。そして世界で人が狂犬病に感染する経路の最大99%が、犬からの咬傷によるものとされています。
99%
人の狂犬病感染のうち、犬から伝播するとされる割合(WHO)
約5.9万人/年
世界で狂犬病により亡くなる人(WHO推計)
ほぼ100%
発症後の致死率。だから発症前の予防が唯一の手段
犬に予防注射を行うことは、人の狂犬病を防ぐ最も効果的で確実な方法として世界的に認められています。世界保健機関(WHO)は、犬への予防接種を柱に「2030年までに犬由来の人の狂犬病死者をゼロにする」ことを目標に掲げています。犬を守る予防が、そのまま人を守る予防になる——これが狂犬病予防注射の本質です。
日本は数少ない「狂犬病の清浄国」ですが、それは長年にわたって犬の登録と毎年の予防注射を続けてきた結果です。人やペットの往来が増えた今、海外から病原体が持ち込まれるリスクは常にあります。万が一の侵入時に流行を防げるかどうかは、日ごろどれだけの犬が免疫を持っているか(集団免疫)にかかっています。一頭一頭の接種が、その子自身と、ご家族、そして地域で暮らす人々の安全を守ることにつながります。
WORLD
世界の狂犬病の状況
日本で暮らしていると実感しにくいのですが、狂犬病は決して過去の病気ではありません。世界保健機関(WHO)によれば、狂犬病は今も150を超える国と地域で公衆衛生上の問題となっており、とくにアジアとアフリカで被害が集中しています。世界では毎年およそ5万9千人が狂犬病で亡くなり、その95%がアジア・アフリカ地域です。命を落とす人の多くは、狂犬病の犬に咬まれた人々です。
150超の国・地域
今も狂犬病が公衆衛生上の問題となっている(WHO)
95%
世界の狂犬病死者のうちアジア・アフリカが占める割合(WHO)
約40%
動物に咬まれる被害者のうち15歳未満の子ども(WHO)
とくに痛ましいのは、犠牲になる人に子どもが多いことです。狂犬病が疑われる動物に咬まれる人の約40%が、15歳未満の子どもだと報告されています。
世界の狂犬病の状況や、犬の予防接種による予防効果について、さらに詳しくは世界保健機関(WHO)のページ(英語)でご覧いただけます。
WHO「Rabies(狂犬病)」ファクトシートを見るRULES
制度のあらまし(狂犬病予防法)
狂犬病予防法により、犬の飼い主には「登録」と「毎年の予防注射」、そして交付された「鑑札」「注射済票」を犬に装着することが義務付けられています。
生後91日以上の犬
対象
飼い始めた日(または生後91日を過ぎた日)から30日以内に、お住まいの区市町村への登録が必要です。
※ 猫は狂犬病予防法の対象外です(国内で承認された猫用の狂犬病ワクチンもありません)。
毎年1回の予防注射
義務
生涯に1回の登録に加えて、狂犬病予防注射は毎年1回受けさせる義務があります(狂犬病予防法第5条)。
登録すると鑑札が交付される
鑑札
登録時に「鑑札」が交付されます。犬に装着することが法律で定められています。マイクロチップ装着犬は、環境省への登録によりマイクロチップが鑑札の代わりになります。
接種すると注射済票が交付される
済票
毎年の接種後に「狂犬病予防注射済票」が交付されます。これも犬に装着することが定められています。品川区での交付手数料は550円です。
SHINAGAWA
品川区にお住まいの方の手続き
品川区では、犬の登録・狂犬病予防注射済票の交付を区(保健所・保健センター・地域センター等)が担っています。手続きは大きく「登録(生涯に1回)」と「毎年の注射済票の交付申請」に分かれます。
GROUP OR INDIVIDUAL
集合注射と、動物病院での個別接種
狂犬病予防注射は、品川区が毎年4月に実施する「集合注射」でも、動物病院での「個別接種」でも受けられます。どちらでも法的な要件は満たせますので、その子の性格や体調にあわせてお選びください。
集合注射
- 毎年4月、決められた会場・日時で実施
- 費用を抑えやすい
- 多くの犬が集まるため、待ち時間や刺激がある
- その場での体調の診察は限られる
動物病院での個別接種
- ご都合のよい時期に受けられる
- 接種前に体調を診察したうえで実施できる
- 接種後の経過を相談しやすい
- 混合ワクチンなど他の予防と計画を立てやすい
WITH VACCINES
混合ワクチンとの接種間隔
混合ワクチン(コアワクチン・レプトスピラなど)と狂犬病予防注射は、当院では原則として同じ日には接種しません。副反応が出た場合に原因を切り分けやすく、それぞれの免疫もつきやすいため、1〜2週間ほど間隔をあけることをおすすめしています。子犬の初年度は特に接種が重なりやすいので、年間のスケジュールを一緒に組み立てます。
混合ワクチンの種類や当院の考え方、子犬の接種スケジュール、抗体検査(ワクチチェック)については、犬のワクチン・予防接種のページで詳しくご説明しています。
犬のワクチン・予防接種を見るSIDE EFFECTS
副反応と接種当日の注意
狂犬病予防注射でも、免疫反応として副反応が起こることがあります。多くは軽度で自然に回復しますが、まれに重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることがあります。
元気がない・食欲低下・注射部位の腫れや痛み
最も多くみられる反応です。安静にして様子をみてください。翌日改善しない場合は受診をご検討ください。
顔や目の周りの腫れ(ムーンフェイス)・嘔吐・下痢
アレルギー反応の可能性があります。早めに当院へご連絡ください。
虚脱・呼吸困難・歯茎の青白さ・意識消失
アナフィラキシーの可能性があり、命に関わる場合があります。すぐに当院または救急動物病院へご連絡ください。
LINKS
もっと詳しく知りたい方へ
制度や手続きの一次情報は、以下の公的機関のページでご確認いただけます。
- 厚生労働省「犬の鑑札、注射済票について」— 狂犬病予防法上の飼い主の義務(登録・毎年の予防注射・鑑札/注射済票の装着)の解説。
- 品川区「犬の登録・狂犬病予防接種」— 品川区の登録・注射済票の手続き、手数料、集合注射、マイクロチップの取り扱い。
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」— マイクロチップの情報登録サイト。特例制度の登録もこちらから。
- 厚生労働省「狂犬病に関するQ&A」— 病気そのものや、人への感染・予防についての解説。
- 世界保健機関(WHO)「Rabies」ファクトシート(英語)— 世界の狂犬病の被害と、犬の予防接種による人の狂犬病予防の効果。本文の統計の出典。
品川区の狂犬病予防注射の受け方・手続きについては、当院のコラムでもかみ砕いてご紹介しています。
品川区の狂犬病予防注射のコラムを読むQ&A
よくあるご質問
- 猫にも狂犬病予防注射は必要ですか?
- 狂犬病予防法で毎年の接種が義務付けられているのは犬だけで、猫は対象外です。また国内で承認された猫用の狂犬病ワクチンもありません。ただし狂犬病はすべての哺乳類に感染しうる病気です。海外へ渡航・輸出する場合などは事情が異なりますので、必要な場合は個別にご相談ください。
- うちの犬はまだ登録していません。どうすればいいですか?
- 生後91日以上の犬は、区市町村への登録(生涯に1回)が必要です。品川区では窓口での申請で新規登録手数料は3,000円です。マイクロチップを装着し環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」で登録すると、マイクロチップが鑑札の代わりとなり、窓口での登録手続きが不要になります。詳しい手続きは品川区の窓口でご確認ください。当院でも接種にあわせてご案内します。
- 品川区の集合注射と、動物病院での接種はどちらがよいですか?
- どちらでも法的な要件は満たせます。集合注射は毎年4月に実施され費用を抑えやすい一方、多くの犬が集まり待ち時間や環境の刺激があります。体調に不安のある子・高齢の子・持病のある子・緊張しやすい子は、動物病院での個別接種をおすすめします。診察で体調を確認したうえで接種でき、接種後の経過も相談しやすいためです。
- 混合ワクチンと狂犬病予防注射は同じ日に打てますか?
- 当院では原則として同日接種は避け、1〜2週間ほど間隔をあけて接種します。副反応が出た場合に原因を切り分けやすく、それぞれの免疫もつきやすいためです。年間のスケジュールはその子の状況にあわせてご提案します。混合ワクチンの考え方は犬のワクチン・予防接種のページで詳しくご説明しています。
- 高齢だったり持病があっても、必ず接種しなければなりませんか?
- 狂犬病予防注射は法律上の義務ですが、健康状態によっては獣医師が「猶予(延期)」を判断できる場合があります。猶予には獣医師の診察と証明が必要です。自己判断で未接種のままにせず、まずはご相談ください。その子にとって最も負担の少ない形を一緒に考えます。
- 接種時期に決まりはありますか?いつ受ければいいですか?
- 2026年(令和8年度)の法改正で、狂犬病予防注射を4〜6月に受けさせなければならないという接種時期の限定はなくなり、通年で接種できるようになりました。義務は「毎年1回」で変わりません。国は引き続き4〜6月を強化期間として案内しており、品川区の集合注射も例年4月中の実施です。当院ではご都合のよい時期にいつでも個別に接種でき、接種後は注射済票の交付申請を行います。年度内にまだ受けていない方はお早めにご相談ください。
このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。
INFORMATION
受診のご案内
〒142-0064 東京都品川区旗の台4-4-19
- 東急大井町線・池上線「旗の台駅」より徒歩5分
- 東急大井町線「荏原町駅」より徒歩3分
病院前に1台分駐車できます。使用中の場合は近隣の提携パーキングをご利用ください(1時間分のサービス券をお渡ししています)。
ご予約優先制です。
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:00〜11:30 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | − |
| 16:00〜18:30 | ● | ● | ● | ● | ● | 16:00〜18:00 | − |
休診日:日曜日・祝日
- 土曜日の午後は18:00までとなります。
- 初診は随時受け付けております。
- 往診・トリミング・麻酔処置は事前のご予約が必要です。
