膝蓋骨脱臼(パテラ)そのものの概要・グレード分類・診断については、膝蓋骨脱臼のページをご覧ください。このページでは、手術を検討される方に向けて、術式と術後の過ごし方を解説します。
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手術の目的と適応
手術の目的は、太ももからすねへと続く「伸展機構」の一直線を整え、お皿(膝蓋骨)を大腿骨の溝の中で安定させることです。
手術が望ましいかどうかは、グレードだけでは決まりません。症状のあるグレード2〜軽度のグレード3は良い適応とされますが、一見症状がないように見えても、関節軟骨の糜爛(びらん)などがある場合には手術が望まれることがあります。グレード4は、若齢であっても早期の手術が望まれます。
実際の術式は、病態(滑車溝の深さ・脛骨粗面のずれ・骨格変形の有無など)に合わせて、下記を組み合わせて行います。
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主な術式
手術は、個々の症例の膝の状況に合わせて、複数の術式を組み合わせて行います。なかでも滑車溝造溝術と軟部組織の矯正は、ほとんどの症例で必要となります。
滑車溝造溝術(滑車形成術)
Trochleoplasty
浅くなった大腿骨の溝(滑車溝)を深く作り直し、お皿がはまり込む「みぞ」を確保して脱臼しにくくする手術。くさび状(wedge)またはブロック状(block)に溝を掘り下げます。
脛骨粗面転位術(TTT)
Tibial Tuberosity Transposition
膝蓋靭帯が付着する脛骨のでっぱり(脛骨粗面)を切り離し、正しい位置へ移動して固定する手術。伸展機構の「一直線のズレ」そのものを補正します。
軟部組織の矯正(支帯バランス)
Soft Tissue Reconstruction
お皿の周囲を引っぱる組織(関節包・支帯)の緊張を左右で整える手術。脱臼側をゆるめ、反対側を縫い縮めて、お皿にかかる力のバランスを取ります。ほぼ全例で骨の術式に併用します。
縫工筋のリリース
Sartorius Release
内方脱臼では、内側からお皿を引っぱる縫工筋(ほうこうきん)の付着部を切離してゆるめ、内側への牽引を弱めます。軟部組織の矯正の一環として、多くの症例で併用されます。
矯正骨切り術(重度例)
Corrective Osteotomy
大腿骨や脛骨に明らかな骨格変形を伴う重度のグレード3〜4では、骨そのものを切って角度を矯正する手術が必要になることがあります。侵襲が大きく、精密な計画(CT等)を要するため、高度な設備が必要な場合は提携施設をご紹介します。
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手術の流れ
手術は、事前の検査から術後の再診まで、次のような流れで進みます。
ステップ1:術前検査・手術のご説明(別日)
手術の前に、別の日に術前検査を行い、手術についてくわしくご説明します。
ステップ2:手術当日:絶食で来院
当日は食事を抜いてご来院ください(お水は飲ませていただいてかまいません)。
ステップ3:手術・麻酔覚醒後にご連絡
手術が終わり、麻酔から覚めたら、お電話でご報告します。
ステップ4:入院(3〜5日)
術後は3〜5日ほど入院します。安静が保てないなどの事情がある場合は、早期の退院もご相談いただけます。
ステップ5:退院後7〜10日ごろ:抜糸・再診
退院からおよそ7〜10日で、抜糸と経過確認の再診を行います。
ステップ6:さらに2週間ごろ:再診
その後、2週間ほどで再診し、回復の様子を確認します。
ステップ7:その1ヶ月後:再診(問題がなければ治療終了)
さらに1ヶ月後に再診します。この時点で問題がなければ、治療は終了です。
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術後の経過
回復のペースには個体差がありますが、目安は次のとおりです。
術後2週ごろ
早ければこの頃から足を使うようになってきます。様子を見ながら、少しずつ行動範囲を広げます。
術後1ヶ月ごろ
脚への違和感が少しずつ消えてきます。
術後2ヶ月ごろ
歩行も走行も問題なくできるようになってきます。

