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病気の概要
口のなか(口腔)と鼻のなか(鼻腔)にできる腫瘍は、どちらも顔まわりの、外から見えにくい場所にできるため気づかれにくく、しかも局所での広がりが強いという共通点があります。だからこそ、口臭・よだれ・鼻血といった「よくあるサイン」を見過ごさず、早く見つけて広がりを正確に把握することが、治療の選択肢を広げる鍵になります。
このページでは、口腔の腫瘍と鼻腔の腫瘍を分けて解説します。
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口腔の腫瘍
主な種類
見た目だけでは種類も良性・悪性も分かりません。生検(組織を採る検査)で正確に見極めます。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 悪性黒色腫(メラノーマ) | 犬の口腔でもっとも多い悪性腫瘍。局所での広がりが強く、リンパ節・肺へ転移しやすい。腫瘍が大きいほど注意 |
| 扁平上皮癌(SCC) | 猫の口腔でもっとも多い悪性腫瘍。犬では局所再発が多い。発生部位で予後が変わる |
| 線維肉腫 | 転移は比較的少ないが、局所での広がりが強く、広めの切除が必要 |
| エプリス(末梢性歯原性線維腫) | もっとも多い良性の口腔腫瘍 |
| 棘細胞性エナメル上皮腫 | 転移はしないが、局所で骨を壊す性質。放射線がよく効く |
症状・気づきのサイン
診断
- 生検・病理検査が確定診断のもっとも確実な方法です。細胞診は補助的に使います。
- CT(提携施設をご紹介)で、骨への広がりや手術の計画を評価します。
- 所属リンパ節の評価(腫れていなくても転移することがあります)と、胸部の画像で肺転移(とくにメラノーマで重要)を確認します。
治療
- 外科切除が主体です。断端に健常な組織を含めて広めに切除するため、下顎・上顎の部分切除などを行うことがあります。
- 放射線療法は、棘細胞性エナメル上皮腫や扁平上皮癌などでよく用いられ、手術が難しい場合や補助として選択します(提携施設をご紹介)。
予後の目安(報告値の幅)
- 扁平上皮癌(犬)は発生部位で差が大きく、口の前のほう(吻側)で完全に切除できると予後が良好で、報告では1年生存が9割前後という報告もあります。
- メラノーマは転移により、口腔腫瘍のなかでも予後が厳しめです。
- 猫の口腔扁平上皮癌は予後が厳しく、小さく前のほうに限局し切除できた例で改善の可能性があります。
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鼻腔の腫瘍
主な種類
- 犬:そのほとんどが悪性で、腺癌がもっとも多く、ほかに扁平上皮癌、軟骨肉腫・骨肉腫などがあります。
- 猫:9割以上が悪性で、リンパ腫がもっとも多く、次いで癌腫です。
いずれも局所での広がりが強く、遠くへの転移は比較的遅いのが特徴です。
症状・気づきのサイン
診断・治療
STEP 1
CT(提携施設をご紹介)
鼻腔は複雑な構造のため、平面のX線では評価が難しく、CTが第一選択です。広がりの把握と放射線の計画に欠かせません。
STEP 2
鼻腔の生検・病理検査
腫瘍の種類を確定します。CTで得た情報をもとに、適切な部位から組織を採ります。
STEP 3
種類に応じた治療
犬の鼻腔腫瘍は放射線療法が第一選択(提携施設をご紹介)。猫で多いリンパ腫は化学療法(必要に応じて放射線)によく反応することがあります。外科の役割は限定的です。
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ご家庭でのケアと、当院の考え方
口腔・鼻腔の腫瘍は、「口臭くらい」「ただの鼻炎」と思われているうちに進むことがあります。ふだんのスキンシップやお口のケアのときに、しこり・出血・左右差・食べにくさ・長引く鼻症状に気づいてあげられるのはご家族です。顔まわりの手術や放射線と聞くと不安になりますが、正確な診断と範囲の把握があってこそ、負担の少ない・意味のある治療が選べます。
顔は、その子の表情と食べる喜びが宿る場所です。だからこそ、機能とQOLを大切にしながら、その子とご家族が幸せに過ごせることを目標に、選択肢を一緒に考えます。気になる変化があれば、まずはご相談ください。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 小動物の口腔腫瘍/Merck獣医マニュアル・獣医師向け(英語) — 犬猫の口腔腫瘍の種類・診断・外科・予後を網羅した専門的リファレンス。
- 口腔腫瘍/ACVS・米国獣医外科学会(英語) — 下顎・上顎・舌の切除と術後管理(猫の経管栄養など)を飼い主向けに解説。
- 犬と猫の呼吸器系の腫瘍(鼻腔を含む)/Merck獣医マニュアル・獣医師向け(英語) — 鼻腔腫瘍の種類・局所侵襲性・CT診断・放射線・予後を解説。

