椎間板ヘルニアそのものの概要・グレード分類・診断については、椎間板ヘルニアのページをご覧ください。このページでは、手術を検討される方に向けて、術式と術後の過ごし方を解説します。
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手術の目的と適応
椎間板ヘルニアの手術の目的は、脊髄を圧迫している逸脱した椎間板を物理的に取り除いて減圧し、神経へのダメージがそれ以上進むのを止めることです。すでに受けた神経の障害を「元どおりにする」手術ではなく、回復できる余地を守るための手術と考えてください。
手術が検討されるのは、主に次のような場合です。
- 自力で立てない・後ろ足が動かない(グレード3〜4)
- 内科(保存)治療で改善しない、または繰り返す痛み・麻痺
- 症状が短時間で急速に悪化している
- 深部痛覚が消失している(グレード5)=緊急手術の適応
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主な術式
圧迫の部位(首か背中か)と方向によって、適した術式を選びます。高度な設備・技術が必要な場合や緊急対応が必要な場合は、提携施設をご紹介することがあります。
片側椎弓切除術
Hemilaminectomy
背中(胸腰部)のヘルニアに対する代表的な減圧術。椎骨の側面の骨を一部削って窓を作り、脊髄を圧迫している逸脱した椎間板物質を取り除きます。犬の椎間板ヘルニアでもっとも多く行われる方法です。
おもな対象:胸腰部(背中の後半)のヘルニアで、後ろ足に症状が出ているケース。
腹側減圧術(ベントラルスロット)
Ventral Slot
首(頸部)のヘルニアに対する減圧術。のど側(腹側)から椎骨に窓を開け、脊髄の腹側を圧迫している椎間板物質を取り除きます。頸部椎間板ヘルニアで選択されます。
おもな対象:頸部(首)のヘルニアで、強い首の痛みや四肢の症状があるケース。
椎間板の予防的処置(必要に応じて)
Fenestration
減圧手術に併せて、変性した椎間板の内容を抜いておき、同じ部位からの再発リスクを下げる目的で行うことがあります。適応は症例ごとに判断します。
位置づけ:減圧術の補助として検討される処置。単独では減圧の効果はありません。
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術後管理とリハビリテーション
椎間板ヘルニアの手術では、手術そのものと同じくらい術後の管理とリハビリが回復を左右します。麻痺の程度によって、進め方や必要な期間は変わります。
術後早期(入院〜数日)
安静・痛みと排尿の管理
創部の管理と痛みのコントロール/自力で排尿できない時期は膀胱のケア(圧迫排尿やカテーテル)/床ずれ予防の体位変換。無理に動かさず、神経が落ち着くのを待ちます。
リハビリ期(退院後〜数週間)
段階的な機能回復
立つ・歩く練習、後肢を支える介助歩行/マッサージ・関節可動域の運動/必要に応じて水中トレッドミルなどの物理療法。滑らない環境で、区切った範囲での安静を続けます。
長期管理(数か月〜)
再発予防と生活の見直し
適正体重の維持/ジャンプ・階段・段差の制限/滑りにくい床づくり/抱き方の工夫。回復の程度を定期的に確認しながら、生活の質を保つことを目指します。
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起こりうる合併症
外科的な減圧は有効な治療ですが、脊髄を扱う手術であり、すべての手術に一定のリスクが伴います。

