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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

ADDISON'S DISEASE

犬のアジソン病(副腎皮質機能低下症)

副腎のホルモンが不足する、“見つけにくい”けれど管理できる病気

「元気・食欲がないときがある」「吐いたり下したりを繰り返す」「調子に波がある」——はっきりしない不調が続くとき、その裏にアジソン病が隠れていることがあります。“偽装の名手”と呼ばれるほど診断が難しい一方、正しく見つければ、適切な管理で普通の暮らしを取り戻せる病気です。

  • 一般内科
  • ホルモンの病気
  • 見逃されやすい

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

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病気の概要

アジソン病(Addison's Disease、副腎皮質機能低下症 / Hypoadrenocorticism)は、クッシング症候群とはちょうど逆に、副腎から出るホルモンが不足してしまう病気です。不足するのは、ストレスに対応する「コルチゾール」と、体内のナトリウム・カリウムのバランスや血圧を保つ「アルドステロン」です。

この病気の最大の特徴は、症状がはっきりせず、良くなったり悪くなったりを繰り返すことです。「元気がない」「吐く・下す」「食欲にムラがある」といった、ありふれた不調として現れるため、ほかの病気と間違われやすく、いわゆる偽装の名手(グレート・プリテンダー)とも呼ばれます。

見つけにくい病気ですが、正しく診断できれば、不足したホルモンを補うことで予後はとても良好です。多くの犬が、普通に近い暮らしを取り戻せます。当院は、ありふれた症状の奥に隠れたこの病気を見逃さないことを大切にしています。

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何が起きているのか

副腎皮質から出る2種類のホルモンが不足することで、全身に影響が出ます。

コルチゾール(糖質コルチコイド)の不足

ストレスへの対応・血糖の維持・消化管の保護などができなくなります。元気消失・食欲不振・嘔吐・下痢・低血糖として現れ、ストレスがかかると一気に悪化します。

アルドステロン(鉱質コルチコイド)の不足

ナトリウムを保てず、カリウムを排出できなくなります。低ナトリウム血症・高カリウム血症が起こり、脱水・低血圧・不整脈(危険な徐脈)につながります。

多くは、免疫の異常により副腎皮質が壊されていく原発性のタイプです。ほかに、脳の下垂体からの指令不足による二次性や、クッシング症候群の治療薬の効きすぎ・ステロイドの急な中止による医原性のものもあります。

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好発・年齢

  • 若〜中年齢での発症が多く(診断時の中央値は4歳前後)、幅広い年齢で起こります。
  • 雌にやや多い傾向があります。
  • 遺伝的な素因が知られる犬種として、スタンダード・プードル、ポルトガル・ウォーター・ドッグ、ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリバー、ビアデッド・コリーなどがあります。ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアやグレート・デーンなどでもリスクが指摘されています。
  • ただし、実際にはどの犬種でも起こり得ます。

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症状・サイン

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診断・検査

診断では、「アジソン病かもしれない」を除外する検査と、確定する検査を段階的に使います。

基礎コルチゾール(スクリーニング/除外)

安静時の血中コルチゾールを測ります。“否定する”のに非常に優れた検査で、値が十分に高ければアジソン病はほぼ除外できます。ただし、低い場合は「疑い」にとどまり、これだけでは確定できません。

ACTH刺激試験(確定診断)

副腎を刺激するホルモンを注射し、コルチゾールが反応して上がるかをみます。反応がなければアジソン病と確定できる、診断の決め手となる検査です。

電解質(ナトリウム・カリウム)

古典的なタイプでは低ナトリウム・高カリウムを認めます。ただし、非定型タイプでは正常なため、これだけで判断はできません。

原発性か二次性かの鑑別

必要に応じて、下垂体からの指令ホルモン(内因性ACTH)を測り、副腎自体の問題(原発性)か、脳からの指令不足(二次性)かを見分けます。

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治療

急性期(アジソンクリーゼ)

クリーゼは救急事態です。輸液で循環・脱水・電解質・血圧を立て直すことを最優先に、不足しているホルモン(グルココルチコイド)の補充や、危険な高カリウム血症への対応を行います。多くは適切な処置で速やかに安定します。

維持療法(生涯のホルモン補充)

状態が落ち着いたら、不足したホルモンを補いながら暮らしていきます。多くの原発性では、2種類の補充を組み合わせます。

鉱質コルチコイドの補充

ナトリウム・カリウムのバランスを保つホルモンを補います。月に1回程度の注射(デソキシコルチコステロン)や、毎日の飲み薬(フルドロコルチゾン)があります。電解質をみながら量・間隔を調整します。

糖質コルチコイド(少量のステロイド)の補充

不足したコルチゾールを、少量のステロイド(プレドニゾロンなど)で補います。ふだんはごく少量で、症状をみて調整します。

関連:クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)について

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予後・ご家庭でのケア

見つけるのは難しい病気ですが、いったん診断がつき、適切に補充・管理できれば、予後はとても良好です。多くの犬が、普通に近い元気な生活を取り戻します。この「診断は難しいが、管理はできる」というのが、アジソン病のいちばん大切なメッセージです。

「なんとなく調子が悪い日が、ときどきある」——そんな小さな違和感が、この病気を見つける入り口になることがあります。はっきりしない不調が続くときは、遠慮なくご相談ください。ありふれた症状の奥にあるものまで見据えて、その子とご家族が幸せに過ごせることを目標に、選択肢を一緒に考えます。

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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

「元気がない・吐く・下痢」を繰り返します。胃腸の問題ではないのですか?
その可能性ももちろんありますが、アジソン病も“胃腸の病気のふり”をして現れることがあります。この病気は症状が非特異的で、良くなったり悪くなったりを繰り返すため、「慢性の胃腸炎」などと考えられて見逃されやすいのです。実際、原因のはっきりしない慢性的な消化器症状の犬の一部がアジソン病だったという報告もあります。特に、ストレスがかかると調子を崩す・好発犬種である、といった場合は、血液検査で一度確認する価値があります。当院は「よくある病気」で片付けず、隠れた原因まで考えます。
血液検査で「除外できた」と言われました。もう安心していいですか?
基礎コルチゾールという検査は“否定する(除外する)”のにとても優れていて、値が十分に高ければアジソン病はほぼ考えなくてよくなります。ただし、値が低い場合は「疑い」にとどまり、それだけでは確定できません。確定にはACTH刺激試験という別の検査が必要です。また、電解質(ナトリウム・カリウム)が正常でも否定はできない“非定型”のタイプもあります。当院は、検査の意味を正しくふまえて判断します。
一度診断されたら、ずっと治療が必要ですか?費用や再発も心配です。
はい、アジソン病は不足したホルモンを生涯補い続ける病気です。ご不安はもっともで、実際に多くのご家族が費用や再発を心配されます。だからこそ当院は、見通しを最初に正直にお伝えします。良い知らせは、適切に補充・管理できれば予後はとても良好で、多くの子が普通に近い生活・寿命を送れることです。通院や注射の間隔、ご家庭でのストレス時の対応まで、無理なく続けられる形を一緒に考えます。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。