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古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

VESTIBULAR DISEASE

犬と猫の前庭疾患

突然の斜頸・眼振・ふらつき。見た目は衝撃的でも、その多くは回復に向かいます。

「急に首をかしげて、まっすぐ歩けない」「目が小刻みに揺れて、倒れてぐるぐる回る」——ある日突然こうした症状が現れると、多くのご家族が「脳卒中では」「もうだめかもしれない」と青ざめます。でも、これは平衡感覚をつかさどる「前庭」のトラブルであることが多く、とくに高齢の子に多い特発性前庭疾患は、見た目ほど深刻ではなく、数日〜数週で改善に向かうことがほとんどです。大切なのは、深刻な脳の病気と見分けること。落ち着いて、まずご相談ください。

  • 神経

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

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病気の概要

前庭疾患は、体の平衡感覚(バランス)をつかさどる「前庭」という仕組みが乱れることで、突然、斜頸(首をかしげる)・眼振(目が小刻みに揺れる)・ふらつき・倒れて転がるといった症状が現れる病気です。

見た目がとても激しいため「脳卒中では」「もうだめかも」とご家族を強く不安にさせますが、その多くは内耳のトラブルによるもので、とくに高齢の子に多い特発性前庭疾患は、数日〜数週で改善に向かうことがほとんどです。大切なのは、深刻な脳の病気と見分けることです。

突然

ある日いきなり発症するのが典型。前ぶれがないことも多い

2〜4週

特発性の多くはこの期間でほぼ回復(数日で改善し始める)

末梢性

原因の多くは内耳(末梢)。脳が原因の中枢性との鑑別が重要

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前庭ってなに?

前庭は、頭や体の傾き・動きを感じ取り、「今、体がどんな向きにあるか」を脳に伝える平衡感覚のセンサーです。大きく2つの部分に分かれます。

  • 末梢前庭(内耳):耳の奥にあるセンサー本体。前庭疾患の多くはここが原因
  • 中枢前庭(脳幹・小脳):内耳からの情報を処理する脳の部分。ここが原因の場合は、より慎重な対応が必要

前庭のどこかにトラブルが起きると、脳が「体が傾いている」と誤って感じ、その結果として斜頸・眼振・ふらつきが起こります。

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主な症状

これらは突然現れることが多く、ご家族を驚かせます。可能であれば、症状の様子をスマートフォンで動画に残しておいてください。眼振の向きや歩き方は、原因を見きわめる大切な手がかりになります。

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末梢性と中枢性 ― この見分けが最も重要

前庭疾患の診療では、内耳が原因の末梢性か、脳が原因の中枢性かを見分けることが何より重要です。多くは経過の良い末梢性ですが、中枢性は原因によって対応と見通しが大きく変わるためです。

見るポイント末梢性(内耳)を示唆中枢性(脳)を示唆
眼振の向き水平方向・回転性で、向きは一定垂直方向、または体位で向きが変わる
意識・元気はっきりしているぼんやりする・反応が鈍い
ほかの神経症状基本的にない(顔面神経麻痺・ホルネル症候群を伴うことはある)手足のまひ・複数の脳神経の異常・よろけ以外の異常を伴う
経過数日で改善し始めることが多い原因により進行することがある

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原因

末梢性(内耳)の原因

  • 特発性前庭疾患(原因不明・もっとも多い。高齢犬や猫に多い)
  • 中耳炎・内耳炎(外耳炎から波及することも)
  • 甲状腺機能低下症
  • 耳に強い影響を与える薬(耳毒性)
  • 猫の鼻咽頭ポリープ、腫瘍

中枢性(脳)の原因

  • 脳の炎症(髄膜脳炎など)
  • 脳腫瘍
  • 血管の障害(脳梗塞・出血)

中枢性は末梢性より頻度は低いものの、原因を特定して対応することが重要です。

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診断

  1. ステップ1問診・神経学的検査

    いつ・どのように始まったか、耳の病気や薬の使用歴などを確認します。神経学的検査で眼振の向き・意識・ほかの神経症状を調べ、末梢性か中枢性かを見きわめます。ご家庭で撮った動画がここで役立ちます。

  2. ステップ2耳の検査・血液検査

    中耳炎・内耳炎がないか耳の中を確認し、甲状腺機能低下症などの全身の病気を血液検査で調べます。

  3. ステップ3必要に応じて画像検査(MRI・CTなど)

    中枢性が疑われる場合や、中耳・内耳の状態を詳しく見たい場合は、MRI・CTなどの精密検査を検討し、提携施設へご紹介します。

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治療・家庭でのケア

特発性前庭疾患には原因を治す特別な薬はありませんが、多くは自然に回復に向かいます。治療の中心は、つらい症状をやわらげ、回復までの数日間を安全に支える支持療法です。中耳炎・甲状腺機能低下症など原因がはっきりしている場合は、その治療を行います。

  • 吐き気・めまいをやわらげる:制吐薬などで、乗り物酔いのようなつらさを軽くします
  • 脱水を防ぐ:食べられない・飲めないときは点滴で支えます
  • 安全な環境づくり:段差・家具の角・滑る床を避け、倒れてもケガをしないように整えます

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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

急に首をかしげてふらついています。脳卒中や脳の病気ですか。
急な斜頸(首をかしげる)・眼振(目が揺れる)・ふらつき・倒れて回る、といった症状の多くは「前庭疾患」によるものです。前庭は平衡感覚をつかさどる仕組みで、その大部分は内耳(末梢)にあります。とくに高齢の犬や猫に多い『特発性前庭疾患』は、脳卒中とは異なり、数日で改善し始めて2〜4週でほぼ回復することが多い病気です。ただし、まれに脳(中枢)の病気が原因のこともあり、両者を見分けるための診察が必要です。見た目が激しくても慌てず、できるだけ早くご相談ください。
末梢性と中枢性は、どう見分けるのですか。
前庭疾患は、内耳が原因の『末梢性』と、脳(脳幹・小脳)が原因の『中枢性』に分かれます。中枢性を疑うサインには、目の揺れ(眼振)が縦方向である・体位で向きが変わる、意識がぼんやりしている、ふらつき以外の神経症状(顔以外の手足のまひ・複数の脳神経の異常)がある、といった特徴があります。診察では神経学的検査でこれらを確認し、中枢性が疑われる場合はMRIなどの精密検査を検討します。末梢性の多くは経過が良好ですが、中枢性は原因により対応が変わるため、見分けることが重要です。
特発性前庭疾患は治療できますか。
特発性前庭疾患には、原因そのものを治す特別な薬はありませんが、多くは自然に回復に向かいます。治療は、つらい症状をやわらげる支持療法が中心です。吐き気やめまいを抑える薬、食べたり飲んだりできないときの点滴、そして倒れてケガをしないよう安全な環境を整えること。多くの子は数日で立って歩けるようになり、2〜4週でほぼ元に戻ります。軽い首の傾きがくせのように残ることはありますが、生活に大きな支障はないことがほとんどです。
前庭疾患の原因には、どんなものがありますか。
末梢性(内耳)では、原因が特定できない『特発性』がもっとも多く、次いで中耳・内耳の炎症(中耳炎・内耳炎)がよくみられます。ほかに、甲状腺機能低下症、耳に強い薬の影響、猫では鼻咽頭ポリープや腫瘍などがあります。中枢性(脳)では、脳の炎症・腫瘍・血管の障害(梗塞・出血)などが原因になります。原因によって治療も見通しも変わるため、まず「どこが・なぜ」を見きわめることから始めます。
ぐるぐる回って食事もできません。家ではどうすればいいですか。
まずは安全の確保が第一です。階段や段差、家具の角など、倒れたときにケガをする場所から遠ざけ、床が滑らないようにしてあげてください。無理に歩かせず、そばで支えて安心させます。吐き気で食欲が落ちることが多いので、食べられないときや水を飲めないときは、脱水を防ぐためにも早めに受診してください。症状が強い数日間を支えてあげれば、多くの子は少しずつ回復していきます。動画を撮っておくと診断の助けになります。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。