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URINARY INCONTINENCE

犬と猫の尿失禁

寝ている間に、知らないうちに漏れてしまう。多くは治療でコントロールできます。

「寝ている間に、寝床が濡れている」「本人は気づかないうちに、床にポタポタと尿の跡がある」——それは尿失禁かもしれません。尿失禁は、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態で、避妊手術をしたメス犬に多くみられます。「おもらし」を叱っても解決しませんし、その子のせいでもありません。原因の多くは治療でよくコントロールでき、若い子では生まれつきの構造の問題が隠れていることもあります。まずは原因を見きわめることから始めましょう。

  • 泌尿器

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

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病気の概要

尿失禁は、自分の意思とは関係なく、無意識のうちに尿が漏れてしまう状態です。とくに寝ている間やリラックスしているときに、寝床が濡れるのが典型的なサインです。

「おもらし」に見えても、その子がわざとしているわけでも、しつけの問題でもありません。原因の多くは治療でよくコントロールでき、若い子では生まれつきの構造の問題が隠れていることもあります。まずは原因を見きわめることが大切です。

無意識

寝ている間・安静時に漏れるのが典型。本人は気づかない

避妊メス犬

に多い(USMI)。中〜大型犬で多くみられる

治療反応◎

多くはお薬でよくコントロールできる

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まず見分ける ―「尿失禁」か「頻尿」か「しつけ」か

似て見えても、次の3つは原因も対応もまったく異なります。この見分けが診療の出発点です。

尿失禁頻尿・排尿痛不適切な排尿(しつけ)
意識無意識に漏れる本人が「したそう」にする意識的に別の場所でする
典型寝床が濡れる・安静時に漏れる何度も少しずつ・痛そうに力む特定の場所・状況でする
主な背景括約筋の力の低下、構造異常など膀胱炎・結石・膀胱の刺激など環境・不安・マーキングなど

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主な原因

尿道括約筋機能不全(USMI)― もっとも多い

尿の出口を締める筋肉の力が弱まり、尿をためておけなくなる状態です。避妊手術をした中〜大型のメス犬に多く、性ホルモンの低下が関わると考えられています。避妊後、数か月〜数年たってから現れることもあります。

異所性尿管 ― 若い子の持続的な漏れ

腎臓から膀胱へ尿を運ぶ管(尿管)が、本来とは違う場所につながっている生まれつきの異常です。子犬のころからずっと漏れが続く場合に疑い、画像検査で確認します。

このほか、膀胱炎などの感染、結石、神経の障害、膀胱にたまりすぎた尿があふれる「溢流(いつりゅう)性」など、さまざまな原因があります。

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診断

  1. ステップ1問診・尿検査

    「いつ・どんなときに漏れるか」を確認し、まず尿検査で膀胱炎などの感染がないかを調べます。感染があれば、その治療を優先します。

  2. ステップ2身体検査・画像検査

    超音波検査などで膀胱・尿道・腎臓の状態を確認します。若い子で生まれつきの構造異常(異所性尿管など)が疑われる場合は、造影を含む詳しい画像検査を行います。

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治療 ― 原因に合わせて

  • 感染が原因なら、その治療(抗菌薬など)を行います
  • 異所性尿管など生まれつきの構造異常には、外科的な治療が検討されます
  • 生活の工夫:漏れによる皮膚のかぶれを防ぐため、寝床を清潔に保つ・吸水シートを使うなど

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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

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Q&A

よくあるご質問

「尿失禁」と「頻尿」「おもらし」はどう違うのですか。
見分けが大切です。尿失禁は、本人が意識しないうちに尿が漏れてしまう状態で、とくに『寝ている間・リラックスしているときに寝床が濡れる』のが典型的なサインです。一方、膀胱炎などでみられる頻尿・排尿痛は、本人が「したそうにする」「何度も少しずつする」「痛そうに力む」もので、意識的な排尿の異常です。しつけの失敗(不適切な場所での排尿)とも異なります。どのタイプかによって疑う病気が変わるため、可能であれば「いつ・どんな状況で漏れるか」を観察してお伝えください。
避妊手術をしてから漏れるようになりました。手術が原因ですか。
避妊手術をしたメス犬でみられる尿失禁の多くは、『尿道括約筋機能不全(USMI)』と呼ばれるものです。これは、尿の出口を締める筋肉の力が、性ホルモンの低下などに伴って弱まり、尿をためておく力が落ちることで起こります。中〜大型のメス犬に多く、避妊後、数か月〜数年たってから現れることもあります。手術が引き金の一つになることはありますが、避妊には子宮蓄膿症や乳腺腫瘍の予防など大きな利点があります。そしてこのタイプの尿失禁は、多くがお薬でよくコントロールできます。
治療でよくなりますか。
はい、多くの尿失禁は治療でコントロールできます。もっとも多いUSMIには、尿道を締める力を高めるお薬(フェニルプロパノールアミンなど)がよく効き、多くの子で漏れが大きく改善します。単剤で不十分な場合は、ホルモン製剤などを組み合わせることもあります。まず膀胱炎などの感染がないかを確認し、感染があればその治療を優先します。若い子で生まれつきの構造異常(異所性尿管など)が原因の場合は、外科的な治療が必要になることもあります。原因に応じて、最適な方法をご提案します。
子犬のころからずっと漏れています。原因は違うのですか。
生まれたときから、あるいは子犬のころからずっと尿漏れが続いている場合は、『異所性尿管』という生まれつきの構造の異常が隠れていることがあります。これは、腎臓から膀胱へ尿を運ぶ管(尿管)が、本来つながるべき場所ではないところ(膀胱の出口より先や尿道など)につながっているために、尿がためられずに漏れてしまう状態です。若い子の持続的な尿漏れでは、この可能性を念頭に、超音波や造影などの画像検査で確認します。異所性尿管は外科的な治療が検討されます。
おもらしを叱った方がいいですか。
いいえ、叱らないでください。尿失禁は、その子がわざとしているわけでも、しつけができていないわけでもなく、体の仕組みの問題で「無意識に」漏れてしまうものです。叱っても改善せず、その子を不安にさせるだけです。大切なのは、原因を見きわめて適切な治療を行うこと。そして、漏れによる皮膚のかぶれを防ぐために寝床を清潔に保つ、吸水シートを使うといった生活の工夫です。対応に困ったら、抱え込まずにご相談ください。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。