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病気の概要
不安と恐怖は、本来どちらも身を守るために必要な、正常な感情です。問題になるのは、その反応が強すぎるとき、あるいは危険がない場面でも起きてしまうときです。
- 恐怖:目の前にある具体的な脅威に対する反応(雷が鳴っている、知らない人が近づいてきた)
- 不安:これから何か悪いことが起きるのではないか、という予期による反応(飼い主が出かける準備を始めた)
- 恐怖症:特定の対象に対して、状況に見合わないほど極端で、繰り返し起こる恐怖反応
犬や猫がこの状態にあるとき、その子はただ怖がっているのではなく、本当に苦しんでいます。そして多くの場合、放っておいて自然によくなることはありません。
悪化する
音への恐怖は経験を重ねるごとに強まりやすい
広がる
雷だけだったものが物音全般へと広がることがある
痛みかも
シニアで急に始まった怖がりは痛みを疑う
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こんなサインはご相談ください
恐怖や不安のサインは、「震える」だけではありません。固まって動かない状態も強い恐怖の表れであり、「おとなしくしている」と誤解されやすいものです。
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シニアの「急な怖がり」は、痛みのサインかもしれません
これは、当院がとくに大切にしている視点です。
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「なだめてはいけない」は誤解です
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治療・対応
治療の土台は、安心できる環境をつくることと、怖いものに少しずつ慣らしていくことです。
安心できる隠れ場所をつくる
その子が自分で入っていける、囲われた静かな場所を用意します。窓から離れた部屋、厚手のカーテン、音楽やテレビで音をやわらげる工夫も助けになります。大切なのは、その子が自分の意思で出入りできることです。閉じ込めてはいけません。
少しずつ慣らす(脱感作・拮抗条件付け)
怖い刺激を、その子が平気でいられるごく弱いレベルから始め、良いこと(おやつ・遊び)と結びつけながら、少しずつ強くしていきます。音への恐怖では録音を使う方法もあります。焦って強い刺激に晒すことは逆効果です。
必要に応じてお薬を
恐怖が強くパニックに近い子では、まず気持ちを落ち着けなければ何も学べません。日常的に使うものと、花火大会のように日付がわかっている日に向けて使うものがあります。使用の可否やお薬は、その子の状態をみて担当獣医師が判断します。
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来院そのものが怖い子のために
病院が苦手な子は、たくさんいます。私たちにとって、それは「困った子」ではなく、私たちが工夫すべきことだと考えています。
ステップ1:キャリーバッグを「怖い合図」にしない
とくに猫では、キャリーを普段から部屋に出しておき、中で食事をとったり昼寝をしたりできるようにしておくと、来院時の負担が大きく変わります。出かける直前に押し込むのではなく、日常の一部にしておくことがコツです。
ステップ2:来院前に教えてください
「病院が苦手です」「前回パニックになりました」と、ご予約やお電話の際にお伝えください。診察の順番や進め方を調整できます。伝えていただくことは、その子を守ることにつながります。
ステップ3:待ち方を工夫する
待合室の刺激が強い子には、車内でお待ちいただいてお呼びするなどの調整をご相談いただけます。猫では、キャリーにタオルをかけて視界を遮るだけでも落ち着くことがあります。
ステップ4:必要なら事前にお薬を
恐怖がとても強い子では、来院前に不安をやわらげるお薬を使うという選択肢があります。無理に押さえつけて診察する経験を重ねるより、その子にとってはるかに負担が少なく、結果として正確な診察にもつながります。
怖がりは、その子の性格の欠点ではありません。そして、ご家族の育て方のせいでもありません。適切に手を打てば、その子が過ごしやすくなる余地は必ずあります。当院はまず体の状態を確かめ、必要に応じて行動学に精通した獣医師のオンライン診療と連携しながら、その子とご家族が穏やかに過ごせる方法を一緒に組み立てます。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 騒音過敏と筋骨格系の痛みに関する研究/Frontiers in Veterinary Science(査読論文・英語) — 本ページで紹介した、音への過敏と痛みの関連を調べた研究の原著。
- 犬の行動学的問題/Merck Veterinary Manual(英語) — 恐怖・不安の位置づけと、慣らしていく治療の考え方を専門家向けに解説。
- AVSAB ポジションステートメント(米国獣医動物行動学会・英語) — 人道的なトレーニングと、動物にやさしい診療についての公式見解。
- 日本獣医動物行動学会 — 国内で獣医行動学を専門とする学会。

