本文へスキップ
古谷動物病院古谷動物病院FURUYA ANIMAL CLINICご予約

COGNITIVE DYSFUNCTION

犬と猫の認知機能不全症候群(認知症)

夜鳴き、徘徊、トイレの失敗。加齢による脳の変化を、生活の工夫と医療で支えます。

「夜中に鳴く」「同じところをぐるぐる歩き回る」「昼夜が逆転した」「今までできていたトイレを失敗する」——高齢の犬や猫にこうした変化が現れたら、認知機能不全症候群(いわゆる認知症)かもしれません。人のアルツハイマー病にも似た、加齢に伴う脳の変化で起こります。完治する病気ではありませんが、生活環境の工夫・食事・お薬などを組み合わせることで、進行をゆるやかにし、その子とご家族の負担をやわらげることができます。「歳のせい」と諦める前に、できることがあります。

  • 神経
  • シニア

この記事は 院長/獣医師 大塚 元貴 が監修しています(最終監修日:)。

とくに気をつけたい犬種・猫種

好発(かかりやすい傾向)が知られている犬種・猫種です。必ずかかるわけではありません。

01

病気の概要

認知機能不全症候群(Cognitive Dysfunction Syndrome:CDS)は、加齢に伴って脳の働きがゆっくり低下していく、いわば犬猫の「認知症」です。人のアルツハイマー病にも似た脳の変化が関わることが知られています。

夜鳴き・徘徊・昼夜の逆転・トイレの失敗などが現れ、ご家族の負担も大きくなります。完治する病気ではありませんが、生活環境の工夫・食事・お薬などを組み合わせることで、進行をゆるやかにし、つらい症状をやわらげることができます。「歳のせい」と諦める前に、できることがあります。

DISHAA

6つの領域の変化で気づく(下記)

進行性

ゆっくりと進む。早い対応が穏やかな時間を延ばす

除外診断

他の治せる病気を除いたうえで診断する

02

気づきのサイン ― 「DISHAA」

認知症の変化は、次の6つの領域(頭文字をとって「DISHAA」)で現れることが知られています。これらがゆっくり・進行性に現れるのが特徴です。

領域主な変化
D:見当識障害迷う、部屋の隅や家具の間で固まる、行き止まりから戻れない
I:関わりの変化甘えなくなる/逆に離れられなくなる、呼びかけへの反応が鈍る
S:睡眠の乱れ夜鳴き、昼夜の逆転、夜中に歩き回る
H:トイレの失敗覚えていたはずの場所でできなくなる、粗相が増える
A:活動性の変化目的なく徘徊する、または無気力になる
A:不安の増加落ち着かない、留守番を嫌がる、些細なことで動揺する

03

「認知症のようで、実は別の病気」を見逃さない

認知症の診断でもっとも大切なのは、同じような症状を起こす「治せる病気」を見逃さないことです。認知症は、他の原因を除外したうえで診断します。

04

治療・管理 ― 多面的に、その子を支える

認知症に「これさえすれば治る」という特効薬はありません。効果が示されているのは、いくつかの方法を組み合わせる多面的な管理です。

生活環境の工夫

家具やトイレの配置をむやみに変えない、段差・行き止まりを減らして安全にする、昼間は光を浴びて体を動かし昼夜の区別をつける、規則正しいリズムを保つ——「変えない安心」と「適度な刺激」が助けになります。

食事・サプリメント

抗酸化物質や特定の脂肪(中鎖脂肪酸など)を含む、認知機能をサポートする食事やサプリメントが、認知機能の維持・進行の抑制に役立つことが報告されています。その子に合うものをご提案します。

お薬

夜鳴きや不安が強い場合など、症状に応じてお薬を用いることがあります(米国では犬の認知症に用いられる薬があります)。使用の可否とお薬は、その子の状態をみて担当獣医師が判断します。

05

さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)

より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。

はじめてご来院される方へ

ご予約から診察・治療方針のご提案までの流れを、わかりやすくまとめています。

はじめての方はこちら

Q&A

よくあるご質問

どんなサインに気づいたら認知症を疑いますか。
認知機能不全症候群では、「DISHAA(ディーシャ)」と呼ばれる6つの領域の変化がよく知られています——見当識障害(迷う・部屋の隅や家具の間で固まる)、家族との関わりの変化(甘えなくなる/逆に離れられない)、睡眠の乱れ(夜鳴き・昼夜逆転)、トイレの失敗(覚えていたはずの場所でできなくなる)、活動性の変化(徘徊、または無気力)、不安の増加。これらが「ゆっくり・進行性に」現れるのが特徴です。高齢の子でこうした変化が続くときは、一度ご相談ください。
「歳のせい」ではないのですか。調べる意味はありますか。
大いにあります。まず大切なのは、認知症に見える症状が、実は別の治療できる病気のことがある点です。たとえば、夜鳴きは痛み(関節炎など)や高血圧、甲状腺の異常が原因のことがあり、トイレの失敗は膀胱炎や尿失禁、多飲多尿を起こす病気のことがあります。目や耳の衰えが混乱の原因のこともあります。認知症は、こうした他の原因を除外したうえで診断する病気です。だからこそ「歳のせい」と片づけず、一度きちんと調べることで、治せる原因が見つかることも、認知症への適切な対応を早く始められることもあります。
認知症は治りますか。進行を遅らせることはできますか。
誠実にお伝えすると、認知機能不全症候群は完治する病気ではなく、ゆっくりと進行します。しかし、何もできないわけではありません。生活環境の工夫、認知機能をサポートする食事(抗酸化物質や特定の脂肪を含む療法食など)やサプリメント、そして症状に応じたお薬を組み合わせることで、進行をゆるやかにし、夜鳴きや不安といったつらい症状をやわらげられることが分かっています。早く始めるほど、その子とご家族の穏やかな時間を長く保ちやすくなります。
家庭ではどんな工夫ができますか。
認知症の子には「変えないこと」と「安心できること」が助けになります。家具の配置やトイレの場所をむやみに変えない、段差や行き止まりを減らして安全にする、昼間はしっかり光を浴びて体を動かし夜との区別をつける、規則正しい生活リズムを保つ、といった工夫が有効です。夜鳴きには、日中の活動量を増やす・寝る前のルーティンを整える・不安をやわらげる環境づくりが役立ちます。無理に叱らないことも大切です。ご家庭の状況に合わせて、具体的な工夫を一緒に考えます。
猫も認知症になりますか。
はい、猫にも認知機能不全症候群(猫の認知症)があります。高齢の猫で、大きな声で鳴く(とくに夜間)・トイレ以外での粗相・徘徊・昼夜の乱れ・触られ方への反応の変化などがみられます。ただし猫では、これらの症状が甲状腺機能亢進症・高血圧・関節炎・腎臓病など、別の病気のサインであることもとても多いため、まずそれらを調べることが特に重要です。そのうえで認知症と考えられる場合は、犬と同様に環境の工夫や食事・サプリメントなどで支えます。

このページは一般的な情報提供を目的としています。実際の診断・治療方針は その子の状態によって異なります。個別の症状や薬の使い方については、 自己判断せず担当獣医師にご相談ください。