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病気の概要
認知機能不全症候群(Cognitive Dysfunction Syndrome:CDS)は、加齢に伴って脳の働きがゆっくり低下していく、いわば犬猫の「認知症」です。人のアルツハイマー病にも似た脳の変化が関わることが知られています。
夜鳴き・徘徊・昼夜の逆転・トイレの失敗などが現れ、ご家族の負担も大きくなります。完治する病気ではありませんが、生活環境の工夫・食事・お薬などを組み合わせることで、進行をゆるやかにし、つらい症状をやわらげることができます。「歳のせい」と諦める前に、できることがあります。
DISHAA
6つの領域の変化で気づく(下記)
進行性
ゆっくりと進む。早い対応が穏やかな時間を延ばす
除外診断
他の治せる病気を除いたうえで診断する
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気づきのサイン ― 「DISHAA」
認知症の変化は、次の6つの領域(頭文字をとって「DISHAA」)で現れることが知られています。これらがゆっくり・進行性に現れるのが特徴です。
| 領域 | 主な変化 |
|---|---|
| D:見当識障害 | 迷う、部屋の隅や家具の間で固まる、行き止まりから戻れない |
| I:関わりの変化 | 甘えなくなる/逆に離れられなくなる、呼びかけへの反応が鈍る |
| S:睡眠の乱れ | 夜鳴き、昼夜の逆転、夜中に歩き回る |
| H:トイレの失敗 | 覚えていたはずの場所でできなくなる、粗相が増える |
| A:活動性の変化 | 目的なく徘徊する、または無気力になる |
| A:不安の増加 | 落ち着かない、留守番を嫌がる、些細なことで動揺する |
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「認知症のようで、実は別の病気」を見逃さない
認知症の診断でもっとも大切なのは、同じような症状を起こす「治せる病気」を見逃さないことです。認知症は、他の原因を除外したうえで診断します。
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治療・管理 ― 多面的に、その子を支える
認知症に「これさえすれば治る」という特効薬はありません。効果が示されているのは、いくつかの方法を組み合わせる多面的な管理です。
生活環境の工夫
家具やトイレの配置をむやみに変えない、段差・行き止まりを減らして安全にする、昼間は光を浴びて体を動かし昼夜の区別をつける、規則正しいリズムを保つ——「変えない安心」と「適度な刺激」が助けになります。
食事・サプリメント
抗酸化物質や特定の脂肪(中鎖脂肪酸など)を含む、認知機能をサポートする食事やサプリメントが、認知機能の維持・進行の抑制に役立つことが報告されています。その子に合うものをご提案します。
お薬
夜鳴きや不安が強い場合など、症状に応じてお薬を用いることがあります(米国では犬の認知症に用いられる薬があります)。使用の可否とお薬は、その子の状態をみて担当獣医師が判断します。
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さらに詳しく知りたい方へ(参考リンク)
より深く知りたい方のために、当院が診療の拠りどころとしている信頼できる情報源をご紹介します。外部サイトへ移動し、専門的な内容や英語のページを含みます。気になる点は、遠慮なく担当獣医師におたずねください。
- 犬の認知機能不全症候群の診断・モニタリングに関するガイドライン(JAVMA・英語) — 専門家会議によるDISHAAと診断の考え方を示した最新の指針。
- 認知機能不全と不安の管理/AAHA シニアケアガイドライン(英語) — 環境・食事・薬による多面的な管理を整理。
- 猫の認知機能不全/コーネル大学 猫健康センター(英語) — 猫の認知症のサインと、他の病気との見分けを飼い主向けに解説。

